2012年9月2日(前編)・9月9日(後編)放送
思い出を置いてきた家
■家の屋根はトタンで劣化が激しく、一部をビニールシートで覆っている状態
■玄関先には段差があり、高齢の母がつまずく恐れがあるので危険
■玄関土間から部屋や廊下に上がるには40センチ以上の段差を登らなくてはならず、高齢の母にとっては大変
■縁側の廊下には隙間が空いていて、そこから隙間風が入ってくるのでとても寒い。さらに埃や虫も入ってきてしまう
■トイレは母屋から離れていて、扉を開けてさらに部屋から4メートルもの長い廊下の先にある。廊下には薄いガラス窓が並んでいて、冬場の寒さは過酷
■トイレの手洗い場はなんと家の外側に設置されていて、手を洗うときには窓を開けて手洗いをしなければならない
■庭には池があるが、ヒビが入ってしまっているので水が全く溜まらない状態になっている
■冷蔵庫は台所と少し離れている納戸にあるので家事がしにくい
■お風呂場は洗い場の入り口に10センチの段差があり、お風呂に入るためには大きくまたがなければならない
■お風呂場の床はタイル張りで、さらに、壁の2面はガラス窓に囲まれていて断熱性が悪く冬場は冷える
■階段の傾斜は50度もありとても急、踏み板の幅も狭く上り下りが困難なほど。もし足を踏み外せば下のガラス戸を突き破ってしまう危険もある
■過去の地震のときの影響で階段がずれて外れかかっている。屋根裏の梁も浮き上がってしまって全く意味が無い状態
住まいの未来予報士
冨田正行
唯一、街道の宿場町の面影を残した建物なので昔の風情を残しつつ、現代の生活に適していない暑さ寒さ、おばあちゃんにとって危険なところを排除して、これから暮らしていく娘さん夫婦にとっても安心・安全・快適な空間を提供したいと思っている。
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赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます
外から中へスムーズに
曳家という工法で家を解体することなく奥にずらしたことで、家の前には駐車スペースが生まれました。これにより街道沿いの町屋の雰囲気を壊すことなく安全に乗り降りできるようになりました。
玄関の段差は幅を広く段差を増やして上がりやすくしました。さらに車椅子でも安心、アルミ製のスロープを簡単に設置できるようになっていて車椅子を押して家に上がれるようになっているのです。
玄関先の床の丸く型取られているところは、なんと車椅子用のターンテーブル!ロックを解除すれば簡単に向きが変えられるようになっています。そして階段下の物置には車椅子がそのまま収納できるようになっていて、置き場の心配もありません。
さらに収納力も抜群です。壁一面の下駄箱は家族3人分の靴を余裕で収納でき、コートクロークも備えていてとても便利に使えるのです。
暮らしやすくまとまった1階
玄関を入ってすぐ左側の扉を開けると、そこには新しいキッチンが。買い物帰りの荷物もすぐに置けて便利、日差しが明るく十和田石の床は床暖房も完備して真冬もあったか。キッチンには大容量の収納にIHコンロ、食洗機も備え付けられて使いやすくなりました。
キッチンの反対側には対面式のカウンター席が設けられました。掘りごたつになっているので足の悪い母も楽に座れます。ここで晩酌も楽しめそうなくつろぎの空間に生まれまわりました。
天井を取り払い、天窓から明るい日差しが差し込む和室は、その高い天井付近に換気扇を設置。冬場に暖かい空気が天井に昇っていっても、その換気扇から空気を吸い込んで和室の足下に吹き出すようにしました。これで暖房の無駄なく冬場の底冷えを防ぐことが出来るでしょう。
そんな和室の中央には、足の悪い母にも座りやすい広々とした掘り座卓が設けられました。この部屋からは庭が一望できるので、四季の移ろいを楽しむことができるのです。
和室と縁側の間には新たに欄間がはめ込まれました。この欄間は以前の2階の床の間の天井板を再利用したものなのです。そしてこの模様は「匠」自身がデザインしたもの。浜松市の花であるミカンの原種の橘をデザインしました。
和室の隣にあるのが、母にとって初めての個室です。広々とした個室は収納もばっちり。玄関からは段差無く真っ直ぐに行き来できるので、足への負担を軽減します。畳ベッドはキャスター付きでラクに動かせるようになっているので、万が一、介護ベッドが必要になった場合でも、入れ替えが簡単です。
寒さから開放された水回り
以前は部屋から遠く離れた場所にあったトイレは、母の部屋のすぐ近くに移動して生活動線を第一に生まれ変わりました。もちろん外にあった手洗い場も中に設けられて、真冬に寒さに凍えながらトイレに行くことはもうありません。
暖かく生まれ変わった洗面脱衣所、縁側にはそこから直接出ることができます。洗濯機からも近く、ひさしが付けられていて洗濯物が干せるようにもなっていて、とても便利になりました。
お風呂場は以前のような寒さを解消し、浴槽は浅くゆったりとして、手すりも備え付けられて高齢の母も安心して入れます。窓からは庭の景色が見えるので、湯船に浸かりながらゆったりとくつろぐことができるでしょう。
再びその役割を取り戻した庭の池。その池に水を注ぐのは、昔に使っていた五右衛門風呂の釜でした。珍しい風呂釜を捨てるのはもったいないと考えていた「匠」それを水のろ過装置として再利用したのです!
2階で生活しやすいように
娘さん夫婦のための寝室は、南側一面の窓から明るい日差しが差し込み、天井が高く開放感があふれます。クローゼットも大容量、夫婦の荷物が問題なく収納できます。夜間トイレに行きたくなっても2階にトイレが設置されているので煩わしさはありません。
夫婦の寝室の南側の窓には落下防止の柵が設けられ、窓辺に腰掛けられる造りにしました。そこは夏の特等席、孫たちが遊びに来たときも、家族みんなで思い出が作れる素敵な場所になりそうです。
寝室の隣には新たに書斎が設けられました。日差しが差し込む窓際には、深みのある味わい深い色合いのオリジナルの机が作りつけられています。この机の天板は、実は2階のケヤキの床板を再利用したものなのです。
書斎の奥の内窓を開ければ、そこから1階の様子が伺えるようになっています。母の様子がわかるので娘さん夫婦も安心です。
愛知県豊川市
株式会社 竹工建設
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