まずは現場検証に訪れた「匠」、部室に入るとやはり臭いが気になります。ラグビー部の女子マネージャーの話を聞くと、物が散乱して片付ける場所も無く苦労している様子でした。隣にある器具庫も練習道具で足の踏み場も無い状態。
部員たちと共に荷物の片付けからスタートです。部員の荷物と器具庫の練習道具をとりあえず順番に外に出していくと、なんともすごい量の荷物が出てきました。古いタックルバッグや、40人の部員なのにスパイクは150足以上も!これを機に必要のないものは全て処分します。
今回は工務店に頼らずほとんどの作業は部員たちが行います。そのためプロの力に及ばずとも部員たちの人数と手数でカバー、手の届かない高さも足腰に自身のある部員たちは肩車で届くので脚立要らず!なんとも頼りがいのある部員たちです。
予算が少ない今回のリフォーム、費用を節約するために廃棄する予定の足場のパイプを安く譲ってもらったり、材料の加工を自分たちで行うのですが、そこはさすが高専の学生!授業で学んだことを生かして学校の設備を使い手際よく次々と加工を施していきます。
40年以上使い続け、すっかりくたびれてしまった部室は、部員たちが協力して塗装して淡いピンク色に外観を一新しました。その壁と新しい看板にはラグビー部のロゴが描かれています。新しい看板は学生たちが加工して作ったもの、学生の技術の結晶がシンボルとして燦然と輝きます。
かつては荷物が散らかり、着替えるのに苦労した部室は、オリジナルの収納を設けて立体的に空間を利用しスッキリと片付けることができるようになりました。ベンチ入りメンバー専用のロッカーは、鞄を置ける広さはもちろん脱いだ服をハンガーで掛けておけるようになり、小物入れもあるので荷物が散乱することもないでしょう。
大きな荷物が入らなかった以前のロッカーも再利用。棚板を外して広さを2倍に、化粧直しをしてベンチ入りを目指す下級生やマネージャーの荷物が問題なく収納できるようになりました。
収納だけでなく機能性も十分にアップしました。ロッカーに面したところにはハンガーパイプが設けられました。これを使えば脱いだ洋服を掛けておけるので、着替えが散らかってしまわずにキレイに整理しておけるのです。
かつて下駄箱があった壁際には新しく棚が設けられ、試合をチェックするためのテレビやDVD、荷物に埋もれていたトロフィーや賞状が飾っておける棚が設けられました。さらにホワイトボードを掛ければ、あっという間にミーティングルームに早変わり。
収納の下に収められたベンチを引き出すと、コの字型の座席が出来上がります。奥の席は3段に座れるひな壇ベンチになっていて、30以上の部員が座ってミーティングできるように考えられています。
部員たちが最も頭をかかえていた足の踏み場も無い器具庫は、専用の収納棚が設けられて見違えるほどスッキリしました。練習道具の形に合わせて作られているので、それぞの定位置が生まれました。これで練習道具が重なり合ってどこにあるかが分からないなんてこともありません。
もともとあった靴箱も、きれいに塗り直して再利用。あふれ返っていた靴がきちんと収納できて自分の靴がどこにあるか一目瞭然!
干す場所も無かったコンタクトスーツにも、ちゃんと干す場所が作られました。悪臭を放っていたコンタクトスーツを、風通しの良いこの場所に干しておけば、ちゃんと乾かすことが出来て臭いの原因を防ぎます。
「匠」特製のアルミボックスには工夫がいっぱい!農業用のタイヤで土の上でも移動は楽々、二つ組み合わせてひさしを出せば厳しい日差しからマネージャーを守ってくれます。
さらにアルミボックスには必要な荷物を一度に積めるので、以前のように部室とグラウンドを何往復もする必要はありません。麦茶を出したり救急セットを出したり、彼女たちの仕事を手助けしてくれるのです。