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2012年11月4日放送

屋根が腐った家

この物件が抱える問題

  • ■茅葺き屋根の雨漏りがひどいため自分たちで補修を行ったが、それがかえって良くなく屋根が部分的に腐り落ちてしまった
  • ■縁側は雨漏りがひどく、畳が広範囲にわたり腐ってしまった
  • ■雨漏りは縁側だけではなく家のいたるところで起こっており、柱や壁も腐ってしまっている
  • ■ガラス戸を閉めても隙間が空いており、隙間風のせいで冬場は家の中が冷えてしまう
  • ■隙間風を防ぐために、目張り用のボードやカーテンを重ねて閉めて寒さをしのいでいる
  • ■部屋の中も保温シートで遮って冷たい空気が入ってこないようにしている
  • ■家の裏手はすぐそばに崖が迫り、日当たりも悪く湿気が入り込んでくる原因となっている
  • ■裏山のそばのガラス戸も保温シートなどを何重にも重ねて寒さを防いでいる
  • ■台所は土間を底上げして板間にしており、流し台が異様に低く家事がしにくくなっている
  • ■高い段差がある五右衛門風呂は、今はもう使われていない。その煙突は室内にあり一酸化炭素中毒の危険も
  • ■トイレは50センチ以上の段差の上にあり、登りにくく今は使われていない。踏み台も不安定で非常に危険
  • ■梁が完全に腐っており、もう繋がっていない状態。雨水が伝わりそばの配電盤が漏電する危険もある
  • ■腐った梁を支えるためにつっかえ棒を使っている。万が一外れることがあれば屋根が落ちて壊れてしまう
  • 写真:サムネイル
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この問題を抱えた物件に、立ち上がった「匠」とその技

写真:「匠」の顔写真

時空間のコンダクター 平川 徹

雨漏りはしているが、構造自体は結構しっかりしているのでいいものになる。元の雰囲気を残しつつ、屋根の下地から全て造り換えたいと思う。

全ての問題を解決したそのビフォーアフターをご覧ください!!

赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます

家族の幸せを願った「匠」からのアイデア

雰囲気を残しながら一新
軽く丈夫に生まれ変わった新しい屋根は以前のような勾配や、重厚感を感じさせる厚みを再現しています。そして外壁には役目を終えた茅を混ぜ込み、かつての雰囲気をしのばせます。

屋根の妻壁には、こんな飾りをとりつけました。これは以前の屋根に隠れるように取り付けられていた、魚をイメージした火除けの飾りなのです。防腐剤を塗って、これからもこの家を守り続けてくれることでしょう。

家の裏には建物のすぐそばまで崖が迫っていました。その傾斜を緩やかにして土砂崩れを防ぐ処置を行い、鮮やかな緑で覆いました。コンクリートの擁壁も設けて、万が一土砂崩れが起きても土砂から家を守ってくれます。

母屋の脇には牛舎を解体した廃材で東屋を設けました。廃材だけで作ったとは思えないほどの立派な建物は、農作業の道具を片付けたり、ご近所さんとのおしゃべりの場としても使えます。


東屋の隣にはバーベキュースペースが作られました。バーベキュー台に使われているのは、加工してキレイにした五右衛門風呂です。丸太のベンチも解体時に出たもの、歴史あるものを大切に使い切りました。
画像: 匠のアイデア
広く入りやすい玄関
以前より広々として、両開きの扉のおかげで入りやすい玄関に生まれ変わりました。床には解体時に出た柱を輪切りにしたものが敷き詰められています。ベンチも設けられ、ゆっくりと座りながら支度ができるのです。

家の周りを周回できるアプローチは、途中からスロープになっています。滑り止めに廃材の瓦を敷き詰めました、おばあちゃんがリハビリのために毎日散歩するのにうってつけのコースとなりました。

スロープを上がった先には、段差の無いバリアフリーの裏口が設けられました。ここを使えば車椅子でも、スロープを上がってスムーズに家に入れるようになっているのです。
画像: 匠のアイデア
思い出を大事に
玄関の脇やおばあちゃんの寝室に使われているすだれ。実は茅葺き屋根の記憶を少しでも残そうと、状態が良い茅を選んですだれ工場で作ってもらったものでした。建具に生まれ変わりこれからもおばあちゃんと生活を共にしていきます。

おばあちゃんが家の中を安心して移動できるように設けられたこの手すり。竹で出来ているのですが、実は天井裏で使われていた煤竹なのです。煙で燻されすっかり黒ずんでいましたが、磨き上げると120年の深みのある味わい深い竹に生まれ変わりました。

磨き上げられた煤竹は、手すりだけでなく天井にも使われています。高く明るい天井に、味わい深い美しい陰影が生まれました。

リビングでひときわ目を引くオリジナルのダイニングテーブル。「匠」ならではのこだわりで、天板にかつて家にあった建具を再利用しました。そして茅の穂があしらわれ、思い出のあるテーブルになったのです。


冷蔵庫のとなりにある大容量の食器棚。これは、おばあちゃんの嫁入り道具である長持ちで作ったものなのです。「匠」のアイデアで時を越えて蘇りました。
画像: 匠のアイデア
安全に生活できるように
玄関のすぐ隣にはおばあちゃんの寝室が設けられました。南向きの大きな窓から明るい日差しが差し込み、その窓からは篠山の町の良い眺めが楽しめます。

おばあちゃんの寝室から廊下に出てすぐそこには、バリアフリーでフラットに繋がる水回りが生まれました。洗面台やお風呂、洗濯機、トイレが集約されてとても便利に生まれ変わりました。

洗面台はシャワー付きのもの。その隣には、開閉が軽くて楽なアコーディオン式の吊り扉がついたトイレが設けられました。バリアフリーで以前のような高すぎる段差も無くこれからは安心してトイレに行けます。


明るい日差しが差し込むキッチンは対面式。おばあちゃんが安全に扱えるようにIHコンロにしました。シンクの下や壁際の収納も大容量のものです。
画像: 匠のアイデア
今回お手伝いいただいた工務店の皆さん
写真:工務店の皆さん
兵庫県豊岡市 株式会社 川嶋建設
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