2013年6月23日放送
布団を投げ合う家
■自転車屋さんを営んでいた店舗部分は手付かずのまま放置されており、家の正面がガラスサッシで外から丸見えになっている
■店舗を玄関として利用しているが、内側からしか鍵が掛けられず、外出時は裏口へ回っている
■店舗部分の天井は、屋根がむき出しになっており、隙間から外気が入ってしまう
■店舗部分と住居部分の間に扉がなく、冷気が流れ込んでくる
■床下部分に外壁がない昔ながらの作りになっており、外からの風がそのまま部屋に入ってくる
■土間と部屋の段差が50センチメートル以上あり、ぐらぐら動く建具を手すり代わりに上り下りするため危険
■部屋を移動するたびに、家の中央にある土間を通るため、段差を上り下りしなければならない
■土間を超えて布団を運ぶのが危険なため、布団を投げているが、これも重労働になっている
■台所と土間には間仕切りがなく、広さもないためテーブルが土間ギリギリに置かれている
■水回りの壁がトタン一枚で、隙間も多くあり、断熱されておらず、ほぼ外にいるのと変わらない状態
■脱衣場がなく、浴室の中で着替えている
■増改築が繰り返された結果、浴室の窓を開けると台所が見える造りに
■汲み取り式のため屋外にあるトイレは、扉の上の部分が空いているので、外気が入ってしまう
住まいのメンタルトレーナー
外山秋人
姉妹仲良くされていて、温かいものを感じた。これから高齢になられることを考えると、段差と寒さが気になる。
今のままでは部屋の行き来も億劫になってしまうと思うので、ご家族の絆やつながりがより強く、心が温まる家にしたい。
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赤いカメラをクリックするとビフォーアフターの変化をご覧いただけます
人が「集」う店舗へ
自転車屋さんからお好み焼き屋さんに変わった店舗スペースと住居スペースを分け、入り口も別々に設けられました。
店の前には、学校帰りの学生でも気軽にお好み焼きを食べられるようにとデッキスペースが設けられました。
店の看板は匠のお手製。「集(つどい)」をアルファベット「TSUDOI」で形作られたロゴには、匠から仲のよい姉妹へ新たな門出のお祝いとエールが込められています。
カウンターを支え、年季を感じさせる赤い柱は、自転車屋さんのころから店舗にあったもの。亡き母が塗ったペンキもそのままです。
柱には、自転車屋さんだった頃の看板を飾り、さりげなく家族の歴史を残しました。
店舗の厨房からは、住居用の玄関やキッチンにも行き来ができます。さらに、納品などにも便利な出入り口も。
店で使う食器棚は、以前、台所で使っていた古い茶箪笥を再利用しました。
将来を見据えた玄関
店舗の隣には、これまでなかった住居用の玄関と、将来、車椅子が必要になった時のために、緩やかなスロープ付きの出入り口が新設されました。
正面の玄関扉を開けると、かつての通り土間と同じ場所に段差のない床が一直線に続いています。
玄関の向かいには以前の勝手口が残され、風の通り道となっています。
光と風が抜ける格子網戸つきの玄関扉と、腰掛けて靴の履き脱ぎができる折りたたみのベンチは匠のオリジナルです。
家族が集えるダイニングキッチン
家の真ん中にあった土間を床で塞いで全面バリアフリーにし、広々としたダイニングキッチンを作りました。
2人が並ぶと窮屈だった台所は、しっかりと長さをとり、姉妹が並んで調理できるゆとりが出来ました。
家族が増えた分、収納もたっぷりと確保しています。
かつて店にあり、姉妹が捨てることのできなかった自転車の工具入れを食器棚にリメイク。
引き出しの中は油まみれだったため、お母さんが塗ったという赤いペンキの表面だけを再利用しました。様々な大きさの食器がしまえるよう、引き出しのサイズも変えています。
家族みんなで食卓を囲むダイニングスペースの隣には、畳の上でゆったり寛げる和室を用意しました。
そこには、この家を残してくれた両親の仏壇もあります。
ゆとりある水回り
ダイニングキッチンを挟んで、店舗の反対側に、水回りをまとめました。脱衣所、洗濯機置き場、洗面台などゆったりスペースを取っています。
女性が多いため、洗面台も広めに確保。鏡の裏や、洗面台の下に収納が設けられ、化粧品や雑貨を仕舞うスペースにも困りません。
お風呂ももちろんバリアフリーで、脱衣所の床は、足に優しいコルクタイル。
老後も安心の細やかな気配りが施されています。
家族が増えれば、洗濯物も増えるもの。
浴室乾燥機付きなので、雨の日も気にせず洗濯できます。
キッチンを通らず出入りできる動線も設け、他の部屋からも楽に行き来出来るようにしました。
メンタルのバリアを取除く部屋
大病を患い療養中の五女の部屋は、以前と同じ家の真ん中。何度も落ちた段差を無くし、バリアフリーになりました。
部屋のレイアウトは、お気に入りの箪笥が置けるように考えられました。また、壁には、好きな小物が飾れる棚も新たに取り付けられています。
家族にとって待望のトイレは、五女の身体に負担をかけないよう、一番近い場所に設けられました。
夫がくつろげるロフト
屋根を上げた高さを利用して作ったロフトへ上がる階段は、収納も兼ねた箱階段。大小さまざまな引き出しや戸棚がついています。
隣の部屋の屋根裏を使って、3畳の納戸を設けました。これだけあれば、収納に困る事はありません。
寝室の真上にある畳のロフトスペースは、ご主人の書斎スペース。
窓から光も入り、風通しのいいこの空間は、女性に囲まれた生活を送るご主人への匠からのプレゼントです。
姉妹念願の個室
以前、浴室があった場所には、次女と三女にとって念願だった個室が初めてできました。
坪庭が眺められる内窓がある次女の部屋は、家事を一手に担っているので、水回りやキッチンへすぐに行ける場所に配置しました。
東西につけられた窓で、風通しのいい三女の部屋。夜には星も眺められることでしょう。
一人でゆったり寛げるよう、それぞれの部屋の壁は、好きな色のクロスで仕上げています。
二人の部屋の間には、コンパクトながら収納が設けられました。
限られたスペースを上手く利用した、両面使いの収納です。
宮崎県児湯郡
株式会社岩切建設
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