2013年8月18日放送
外出すると寝込む家
■家の敷地が道路から1メートル20センチも上がっており、玄関まで段差が多い
■幅90センチの廊下でも、車椅子では窮屈
■車椅子が通れるように食卓を台所に寄せているため、炊事場が窮屈になっている
■畳の居間に介護ベッドを置いて妻の寝室として使っている
■寝室へは7センチの段差があるため、スロープを設けて行き来している
■寝室は冬は薄いガラス窓を通して冷たい外気が伝わり凍えるような寒さ
■浴室の入り口には5センチの段差があり、妻を風呂に入れるのが重労働
■幅1メートルの洗い場では介助が困難、浴槽も深く妻には危険
■洗面台は車椅子のお母さんの足が入らないので収納扉を外して使っている
■トイレの前が廊下なので介助困難な動線になっている
■トイレの入り口の5センチの段差もつまずく危険がある
■階段が廊下に出っ張っているため、車椅子で移動する障害に
明るい住まいの気象予報士
前谷卓嗣
まず建物の中はバリアフリーにして段差をなくす。奥さんは左半身麻痺だけでなく目などにも様々な症状が出ているので、単に車椅子の動線を作ったりするだけでは済まないと痛烈に感じた。もうひとつは、ご主人の献身的な介護がいかに楽に長くできるか、これを念頭において計画をしようと思う。
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行き来が楽な玄関
寝室の横に車がつけられる、間口の広い屋根付きのカーポートを設置しました。外観は断熱材入りのガルバリウム鋼板でイメージを一新しました。
何度も折れ曲がっていた階段は、まっすぐなものに架け替え段数も6段から4段に減らして、新たに手すりを設置。玄関まで最短距離で行き来できるようになりました。
玄関は最小限の広さに抑えながらも、家族全員分の靴が十分しまえる下駄箱収納を設けました。
家事がしやすいダイニングキッチン
ダイニングキッチンは車椅子のスペースを取る分、コンパクトにしました。対面式のカウンターは収納も十分。背面にも収納を設け、どこにでもすぐ手が届きます。
カウンターのキッチン側はあえて13センチ床を下げ、炊事をするお父さんと、その向かいに座るお母さんの目線の高さが合うようにしました。
そして、テーブル側の正面にはテレビを配置。来客や娘さんが帰省した際には、横長に並べたテーブルを向かい合わせにすれば、あっという間に4人がけに。おばあちゃんや娘さんとの団らんの時間が増えそうです。
お母さんのために水回り
車椅子でも楽に使える脱衣所を作りました。洗面台は車椅子ごと入れるユニバーサルデザイン。もう足下の収納に無理矢理足を突っ込んで窮屈な想いをすることもありません。
数センチの段差も障害になっていたかつてのお風呂は、段差が一切ないバリアフリーになりました。開口も大きく、車椅子からシャワーチェアーへの乗り換えが楽に。浴室の設備は右手が使えるお母さんのために、すべて右側に設置。
お風呂好きのお母さんが一人でゆっくり湯船につかれるよう、いつでも人を呼べるコールボタンもあるので、お父さんも安心です。
入口にも段差があり、車椅子の乗り降りをするのも大変だったトイレは、お母さんの部屋から直接行けるようになりました。バリアフリーのトイレは、出入りに必要な手すりや、背もたれ、アームレストなど、数センチ刻みで調整しました。
寝室から繋がるカーポート
トイレの脇には、階段下のスペースを利用した収納も。三角の扉の外側や、その下の引き出しの表面には低反発のクッションが張られており、ソファとしても使えるようになっているのです。
この部屋からは、目の前のカーポートへ段差なく出ることができるようになりました。ここは、車に乗り降りするだけでなく、外の空気に当たる憩いのスペースにも丁度良い場所。
屋根付きなので、雨や雪の日に外出する時でも濡れる心配はありません。また、物干としての広さも十分にあり、洗濯物が気持ちよく外に干せます。
大きな掃き出し窓は、防犯面にも配慮。かつての雨戸から開け閉めも軽いシャッターに変え、楽に戸締りできるようにしました。
くつろげる2階
階段を上がるとすぐ正面にあるのが、お父さんと娘さんのために2階に新しく作ったトイレ。1階はお母さんを最優先し、使い分けられるようにしました。
会社勤めだけでなく、お母さんの介護と家事で毎日忙しいお父さんが束の間、ほっと一息つける場所も残してあります。
家族をつなぐ吹き抜けの先には、娘がいつでも帰って来られるよう部屋をそのままにして、畳の表替えだけしました。
兵庫県豊岡市
(株)川嶋建設
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