高校野球100年の真実~心揺さぶる真夏のストーリー~

戦時下の高校野球
“特攻前夜”幻の紅白戦

1980年代、『やまびこ打線』と呼ばれる強力打線が甲子園を席巻した。夏1回・春2回の全国制覇を果たした徳島・池田高校である。高校野球ファンはもちろん、あまり知らない人でも一度はその名を耳にしたことのある強豪校である。
チームを率いたのは蔦文也監督。ずんぐりとした体に、人懐っこい笑顔。そのチームカラーと重ねられて“攻めダルマ”との愛称が付けられた。しかし、圧倒的な打撃力で栄光を極めた池田高校…その裏側には知られざる蔦監督の激動のドラマがあった…

時は、1944年。蔦は静岡の海軍飛行場にいた。当時は、戦争の影響で甲子園の全国大会は中止されるようになっていた。
21歳の蔦は、同志社大学から学徒出陣し、いつ特攻隊員に召集されてもおかしくない状況だった。死を前に、恐怖する日々。

そんなある日、飛行場で野球の紅白戦をすることになる。ピッチャーは蔦。300人近い隊員らが声援を送る。道具もユニフォームもボロボロ。けど、満面の笑みでボールを追いかける兵士たち。蔦の球を受けたキャッチャーの稲岡正隆は「カーブのサインを出すと、彼がうれしそうに笑うんですよ。声援はすごいし、とても戦争中の雰囲気じゃなかったですよ」
蔦も後年振りかえる。「軍隊で唯一の楽しい思い出だった」

この紅白戦こそ、彼のその後の運命を変えてしまうことになる…?『やまびこ打線』誕生の裏にあった知られざるドラマとは?

SCENE

「横浜-PL 延長17回の激闘」に交差し輝いた男たち

天才打者イチローの
「運命を変えた雨」

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