EarthDreamingロゴ 放送内容
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4月 久米信行
4月〜
5月
古田貴之
5月 中溪宏一
5月〜
6月
中村真菜美
6月 鈴木幸一
7月 GOMA
7月〜
8月
馬場直子
9月〜
10月
北澤 肯
10月〜
11月
川端由美
11月 システム7
11月 福岡 司
12月 小西雅子
12月 ハセベケン
12月 2007年を
振り返って
1月 林家木久扇
1月 イルカ
2月 松尾直樹
2月 上岡 裕
3月 箕輪弥生
3月 冨田秀実
3月〜
4月
中島 悠
4月8日ゲスト:久米繊維工業株式会社 代表取締役社長
久米信行さん

久米信行1 手塚「まず『久米繊維工業株式会社』がどういう会社なのかご説明ください」久米「創業が1935年、東京墨田区にあります。墨田区はメリヤス肌着の産地で、私の祖父が栃木の農家からでてきて、丁稚奉公から始めて独立した会社です。ですから当初は肌着を作っていました」手塚「お聞きしたところ、日本人の体型に合わせたオリジナルのTシャツを初めて作られたそうですが」久米「父は焼け野原の中で辛い思いをしていました、そのときにアメリカ文化で映画が華々しく入ってきました。その中でTシャツ文化を見て、これを自分たちも作りたいと思い『色丸首』として作りました」手塚「『色丸首』?」久米「丸首とか、U首とか、V首と当時肌着では言っていましたのTシャツは丸首。しかも今までは色がついていませんでした。それで赤とか紺とか色をつけて売り出しました」

 手塚「Tシャツへのこだわりは?」久米「私はTシャツ屋の3代目で生まれたので、Tシャツに囲まれて育ちました。やはり日本でしか作れないTシャツとはどんなものか、というのずっと考えていました。まず大事なのは五感に訴える体感の品質ではないか思います。あまり知られていませんが日本の紡績技術はヨーロッパに匹敵する素晴らしい技術がありますので、肌触りの良いものを作れます。それからオーガニックコットンですと敏感な方は香りを感じる、肌に触った時の優しさを感じます。ですから目に見えない、雑誌に出ただけでは分からない、肌に触れたときに分かる品質を追求するというのが一つにテーマです」

 手塚「3代目として親の代から継ぐときにどのようにやっていこうと思いましたか?」久米「父の時代は大量生産大量消費の時代です。同じブランドのものを皆が着ていました。でも今はそういうものは価値のないもの、一人一人がTシャツで自己表現をする時代です。ですから文化品質というのもあると思います」手塚「NPOやNGO、アーティストやクリエーターの活動をT シャツで支援するという試みをされていますが、具体的にどのようなことをやっていらっしゃるのですか?」久米「私たちのTシャツは国内で地道に作っています。そして素材にもこだわっていますのでお値段が高くなってしまいます。そうすると今までの私たちのお客様だった、アパレルの方や百貨店、量販店の方はちょっと高くて買えなくなってくる。その時の私たちに一番熱い視線を送ってくださったのが、NPO、NGO、それからTシャツに何かしたいクリエーターの方だったんです」手塚「それでいろいろなイベントなどでタイアップという形で支援をされているわけですね」久米「そうですね。NPOの方にお求めやすい価格で提供するのも初めの一歩でしたが、今はインターネットでTシャツもかなり販売出来るようになりましたから、私たちが応援したいNPOがあった場合、そのページ経由で買ってくださいということを進めようとしています。それで先方に1割や2割の手数料をお支払いすることで、活動資金を提供出来るという仕組みです」


久米信行2 手塚「素材にこだわるということで、オーガニックコットンを使っていらっしゃいますが、これに取り組もうとしたきっかけは何だったのですか?」久米「私は昭和38年生まれで学研の『科学」を見ると温暖化や公害の話しがでている時代でした。それで何かそういうことをしたいと思っていました。ある日繊維関係の新聞を読んでいましたら『アイ・サポート・オーガニックコットン』という企画が始まるという記事を見ました。それはオーガニックコットンのTシャツを広めるために、世界的なクリエーターの方がデザインを提供してキャンペーンを行う、ということでした。私はそれに非常に感銘を受けまして、主催している方に会いに行きました。そこでオーガニックコットンとは何たるかということを聞かされ、その方の活動に感銘を受け、私もTシャツで頑張っているわけです」

 手塚「オーガニックコットンの素晴らしさをお教えください」久米「食べ物のように食べたら安全というものではありません。オーガニックコットンを着たから病気が治るということはありません。でも五感に優しいことは確かです。ではなぜこれをやらなければいけないか、土壌がドンドン汚染されてしまうからです。今綿花畑はものすごく効率的に運営されています。機械を使って収穫しますが、収穫の前に葉っぱをからすために薬を使います。またインドでは手作業で収穫しますが、農薬を使うと収穫している人の身体に影響が出ます。ですから健康のために昔ながらの農法に直していかければいけない。日本には綿花畑がありませんのでイメージし辛いですが、回り回って私たちのところに来ますから、50年後、100年後自分の子供達、日本の子供達だけではなく世界の子供達のことも考えたら少しヅツオーガニックコットンを増やしていった方が良いのではないかというメッセージを出しています」

 手塚「着心地もありますが、長く着られるというのもありますね」久米「それはすごく重要なことで、元々綿花は単年草で1年ごとに種をまいて収穫しますから非常に二酸化炭素の話しでもいいんです。しかも良い手仕事、良い素材のTシャツでしたら100〜200回は着られます。すごく地球にダメージが少ない着る物だと思います」

 手塚「今後はどういう展開を考えていますか?」久米「私たちは経営理念でロハスをちょっと進めて、『ロハスパスで行こう』とうたっています。健康と環境だけでは堅苦しいので、そこにアートとスマイルとピースを入れて行こうと。人と人の話題のきっかけとしてTシャツを着てくれて、それがましてやオーガニックコットンやグリーン電力を使ったTシャツだったら素敵だと思います」

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4月15日 ゲスト:久米信行さん

久米信行3  手塚「久米さんは手塚マンガがお好きということですが、最初に読んだのはなんですか?」久米「“読んだ”ということですと『ブラック・ジャック』です。テレビでは『ジャングル大帝』や『鉄腕アトム』を見ていました」手塚「『ブラック・ジャック』を子供のときに読まれた感想は?」久米「子供から見てもカッコいいとまず思いました。時々泣いたり、ズンと重くのしかかってくるというのが子供心に分かりました。それで算盤塾に通っていまして、そこの先生に『ブラック・ジャック』の話しをしましたら、“手塚作品はね”と先生が語り始めたのです。その方が私にとりまして手塚作品のガイド役でした」

 手塚「『ブラック・ジャック』以外で特に気に入っていらっしゃる作品は?」久米「一つだけあげるとしたら、月並みですけれど、『火の鳥』のシリーズですね。その塾の先生も“本当に読んで大丈夫か”と言ったうえで、“哲学を教えてあげよう”というので『火の鳥』を貸してくれました。小学校5年の時です」手塚「私は小学校のときに『火の鳥』を読んで分けが分からなかったんですけど(笑)久米さんは?」久米「もちろん分けが分からないですよね。でも何か訴えたいというのがひしひしと伝わってきました。一番印象的だったのは“未来編”だったのです。あの時間軸が普通の時間軸と違います。人間が滅んで次がナメクジになるというのは、子供の時間軸とは違います。それと地球温暖化の話や、地球の滅びのイメージ、『ノストラダムスの大予言』で引き込まれていたものですから、そこと“未来編”のイメージがダブって恐いけれども読んでしまう。分からないけれどもなんども読んでしまう、ということが続きました。大人になってもずっと読んでいましたけれど...」


久米信行4 手塚「手塚マガは久米さんにどういう影響を与えていますか?」久米「例えばオーガニックコットンの話でいうと、どの作品か今、憶えていないのですが、地球の絵があって、ある半分勢力が地球を汚していたり汚しているのを、お掃除するイメージの作品がありました。そのイメージが常に浮かんでいて、私も微力ながらモップを持って何かやろうという気持ちはいつもそれを見て思っていました。後『ブラック・ジャック』に“縮む”という作品がありますが、人間が地球を汚しているかもしれない、負荷をかけているかもしれないというときに、縮んで影響力を少なくしようという話がありました。Tシャツ屋をやっていますと、あまり華美にしないでTシャツ一つでいたほうがいいのではないか。夏でもエアコンを使わないで窓を開けてTシャツでいたほうがいいのでないかと言う、生活をシンプルにしていくと言うイメージもその作品からメッセージを受け取って、気が付くと思い出しています」

 手塚「久米さんはお子さんもいらっしゃいますが、次の世代に読んでもらいたい手塚マンガは何ですか?」久米「手塚眞さんが監督をされている『ブラック・ジャック』にうちの家族ははまっています。8歳と5歳の男の子がいるのですが、見せると“感動した”と言うんです。私や家内が見ても感動するシーンがあるのですが、その同じシーンを子供が見て泣いてるというのは、なんとも言えず繋がった感じがあります」手塚「手塚マンガでお子さんと会話するということもあるのですか?」久米「あります。ですからお子さんと『ブラックジャック』のアニメを見ると、いろんな話しが出来ると思います」

 手塚「久米さんの今後のご予定は?」久米「これから夏、7月に向けて計画しているのは、エコTシャツのアート展を東京でやろうとしています。日本イラストレーター事業共同組合という2,000人ぐらいのイラストレータがいる団体があるのですが、そこの方々がエコNPOやエコ活動をしている企業の方向けに、デザインを出して、展示販売をし、活動資金に充てるということを計画しています。あと、もう少し先のことで是非実現させたいのは、先日ICタグの勉強会に行って来ました。Tシャツに埋め込むのはどうかと思いますが、ちょっとしたペンダントに埋め込みます。そうするとそれをつけている人の近くに行きますと、携帯端末などで、どういう綿畑で取れて、どういう人がデザインし、どういう人が作ったTシャツかというのが分かる時代になるということでした。そこでTシャツについての会話が弾むようになります。そこからいろんな人と繋がっていけるようになったらいいなと思っています」


北澤 肯さん 古田貴之さん

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