■劇団Patch1周年記念公演『白浪クインテット』、昨日小屋入り、明日いよいよ初日です■旗揚げ公演の『OLIVER BOYS』、第二回公演『巌窟少年』そして今回。世界設定は全く異なれど、タイトルだけを見てもわかるように、作・演出を手掛けてきた末満健一氏が一貫して描くのは少年たちの成長物語です。そして、劇団Patchは、現実の世界で芸能界、演劇界に飛び込んだばかりの少年たちの集団です。つまり、物語の登場人物たちの苦悩や達成は同時に、現実の少年たちの成長のプロセスでもある。そのシンクロ感が観客の胸にある時は心地よく、ある時はほろ苦く浸透するのです。今風に云えばここがPatch芝居の大きな『萌え』ポイントなのかもしれません■Patch Stage vol.3『白浪クインテット』は、配役に関して過去2作と大きく違う点が二つあります。まず、関西演劇界から、実力・人気とも確固たる地位を持つ客演陣を5人迎えています。橋爪未萠里、大塚宣幸、西原希蓉美、鈴木洋平、そして伊藤えん魔。もうひとつ。劇団Patchの中で役がついていないメンバーがいます。元々表舞台に立つために厳しいオーディションをくぐりぬけてきたわけですから、今回出番がなく、裏方として仲間を助けるのはつらい面もあると思います。でも、作品が出来上がる過程を間近で冷静に見つめ続ける数十日間は、実は舞台に立つ者には決して得られない貴重な経験となるはずです。舞台の上からは絶対舞台が見えないですからね。とにかく、Patchも結成1年を経て新しいステージに入ったということなのでしょう■さて『白浪クインテット』、もちろん歌舞伎の超有名作品『青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)』、通称『白浪五人男』が下敷き。日本駄右衛門・弁天小僧菊之助・南郷力丸・赤星十三郎・忠信利平という五人の泥棒の活躍を描いた河竹黙阿弥の作品です。中でもお馴染のシーンは、弁天小僧が正体を見破られ開き直って煙管片手に語る「知らざあ言って聞かせやしょう・・・」の名台詞、そして五人が傘を手に勢揃いして、順に名乗りを上げる『連ね』。歌舞伎で最も有名な場面と云っても過言ではない、まさに様式美の極致です■無論この『白浪クインテット』は、歌舞伎と同様の中身をやるわけではありません。お話は、実在の人物と架空のキャラクターが入り乱れ、歴史の『IF』を描いた云わば、白浪五人男が結成されるまでの前日譚。最近の映画で云えば、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』、いや超人集団の結成と云う意味では、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』ですね。どちらもすごく面白い映画でした。僕、この前日譚というやつが何故か大好物で、もうワクワクです■舞台となる時代は江戸、場所は堺・・・らしいものの、登場する歴史上の人物の設定や時代考証はあえて無茶苦茶、バイクやスマートフォン、マシンガンも登場する世界です。元々歌舞伎という芸能も、平家物語のエピソードを江戸風俗で描いたり、逆に「仮名手本忠臣蔵」のように同時代の事件を室町時代のこととして描いたり、時空を自由に行き来して世界を構築します。ですから、本作はまさに現代の歌舞伎といってよいのかもしれません■もちろん前述の名シーンも登場します。どんな演出で描かれるかは、お楽しみ。あ、大事なことを忘れていました。『白浪クインテット』、なんとミュージカルなんです。Patchたちも、えん魔さんを始めとするベテランたちも、歌います。ダンスも殺陣もたっぷりです。波瀾万丈の大スペクタクル、小さなABCホールはもう大変です。実は舞台、木製なんです。原始的な造りなんです。耐えられるんだろうか?(艦長)
劇団Patch1周年記念公演 『白浪クインテット』 作・演出 末満健一
10月11日(金) 19:0012日(土) 13:00★ 18:00★
13日(日) 13:00★ 18:00★
14日(祝) 12:00 17:00
★・・・Patchメンバーとスペシャルゲスト・阿久津愼太郎(D2)によるアフタートークあり
※当日券は開演1時間前より発売(10/11は発売微妙!)
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- 2013年10月10日木曜日