リフォーム当時、「匠」は下宿する学生達の情操教育を意識して、自由にレイアウトできる多機能ボックスを部屋に設置したり、食堂に個人を意識させる色分けしたトレイを置くなど、単なるリフォームに終わらないアイデアを残していきました。
そんなアイデアがちゃんと活きているのか…危険なことはなかったのか…?
複雑な胸の内で5年ぶりに訪れた「匠」を待っていたのは、代替わりした生徒たち。彼らの部屋を見せてもらうと、「匠」の期待どおり、高校生の豊かな想像力が壁いっぱいに溢れていました。
色分けされたトレイを使って、自分の食事を準備し、食後は洗った食器を再びのせて元の場所へ。そんな暗黙のルールが、この5年間ですっかり浸透していました。
「匠」が訪れたこの日は、ちょうど春から下宿することになった2人の新1年生が引っ越してくる日。
部屋に2人が案内されると、「匠」も部屋に入り、挨拶も早々に多機能ボックスの使い方をみずからレクチャー。
張り切って説明する「匠」に圧倒された様子の2人。
でも、すぐに教わった通りに、板や箱を組み合わせ、3年間過ごす自分だけの城を作り始めたのでした。
日も暮れて、2人の新入生を歓迎するお花見が始まりました。「匠」も祝いの席に混ざり、嬉しそうです。
そこに、リフォーム当時に下宿していた懐かしい面々が駆けつけてくれました。皆、立派な青年に成長していて「匠」も驚くばかり。
ここで青春時代を過ごした学生たちは、みんな家族。43年目を迎えるこの下宿には、たくさんの学生たちの満開の笑顔が、これからもずっと咲き続けることでしょう。