ハライチの澤部さんの実家を訪れた「匠」を出迎えてくれたのは、相方の岩井さんと澤部さんのご両親。そして、おばあちゃんでした。そのおばあちゃんに、御馴染みの握手を求める「匠」…ところがいつもより手を握っている時間が長い。理由を聞くと「握力を確認している」とのこと。つまり、手すりを付けても握れなければ仕方が無いということです。
おばあちゃんに普段の生活と同じように再現してもらって、問題点を確認していく「匠」。玄関アプローチやお風呂場、そしてトイレと次々と問題が見えてきます。それはおばあちゃんにとって、一歩間違えれば大怪我をする危険をはらんだものでした。
一通り見て回った「匠」は、澤部さんご家族に、お年寄りは怪我をしてしまえば残りの人生が台無しになってしまうということと、それを防ぐ為の手すりの重要性とを訴えました。そのためにも、おばあちゃんの日常の動きを考えながら、必要な手すりの位置を考えていく。「転ばぬ先の杖」ならぬ「転ばぬ先の手すり」です。
いよいよリフォームの日。ハライチの二人も手伝うために集まり、「匠」を出迎えました。ところが「匠」から、実は一足先に作業を開始していたと告げられます。それは問題の玄関アプローチ。「匠」は、その飛び石の位置を替え、モルタルで高さを揃え、半乾きのモルタルに刷毛で溝を付け、滑り止めの効果もついた平らなアプローチを作っていたのです。
モルタルも乾燥し、平らになったアプローチに感動するハライチの二人。「匠」は二人に、アプローチに手すりを付ける手伝いを頼みます。地面に打ち込むと地中で先端が広がるアンカーボルトを使って、丈夫な手すりをしっかりと次々に固定していきます。
続いて玄関へ。「匠」が赤い棒と楕円形の板を持って入ってきました。その姿は、まるで槍と盾を持った戦士のよう。これを組み合わせて玄関に垂直に立てるというのです。棒が赤い理由を聞くと、通行が多い玄関でぶつからないよう、目立たせるための赤い色を塗ったとのこと。老人施設を作るときに「匠」は、よくこの色を採用しているそうです。
棒と穴の空いた板で出来上がったのは、腰掛けと一体になった手すり。これにより、低い上り框に腰を下ろすと立ち上がるのが難しかったおばあちゃんも、楽に玄関を出入り出来ることでしょう。続いて、寝室、廊下、トイレとリフォームを重ねていく「匠」。すべては、おばあちゃんの動作と動線を考えての配置で、手すりを次々とつけていきます。
最後に手すりを付けるのは浴室。ところが取り付けの下地に問題が。タイルを含めて厚みが3cm程度しかなく、その奥は空洞。これでは体重を支える手すりを取り付けることができません。そこで「匠」が出してきたのは普通のスポンジと謎の液体。実はこの液体、スポンジに染み込ませて乾燥させると木材並の硬度を持つ、特殊な樹脂だったのです。これをタイルに空けた穴に詰め込み、奥行きを持った下地を作ることで、手すりを付けることが出来ました。
「匠」の仕事はここまで。ここからは、いよいよ澤部さんの出番です。大工さんに手ほどきを受けながら、そして相方の岩井さんにも手伝ってもらいながら、慣れない手つきで、ノコギリなどの工具を使う澤部さん。二時間かけて出来上がったのは…
おばあちゃんが浴槽に入るときに、腰掛けとして使うすのこが出来上がりました。浴槽の隣のスペースにぴったりと収まるすのこ。さらに、ヒノキを使って、湯上りに一休みできる収納付きベンチが脱衣場に備え付けられました。こうして、澤部さんの念願だったおばあちゃん孝行のための作業は全て完了。いよいよおばあちゃんにお披露目です。
新たにアプローチについた手すりで玄関に楽に入れたおばあちゃん。家の各所に付いた手すりを試していきながら、最後はお風呂場へ。澤部さんが作ったすのこでスムーズに浴槽に入れました。そして驚きは、「匠」が付けた手すりをおばあちゃんが握ると、「体操もできるわ」と屈伸運動を始めたこと。誰も思いつかないことを思いつく発想力を持った天才おばあちゃん!と澤部さんも大興奮!!
やがて「匠」が訪れて、おばあちゃんにご挨拶。元気そうなおばあちゃんを見て、嬉しそうに握手する「匠」に、ハライチの二人は、お風呂場でおばあちゃんが筋トレをはじめた事を興奮気味に報告。これには「匠」も「まさにリハビリの手すりだ!」と手を叩いて喜びました。