2013年7月28日放送
宴会場で寝る家
■店内のトイレは和式のままで使いにくく、高齢のお客さんや子供たちには不便
■住居として使っている2階へ上がるための階段は店内にしかなく、狭くて傾斜が急
■階段を上がった先の踊り場を玄関として使っていて、靴はそこで脱がなければならない
■2階の廊下は窓が無く、照明を消すと日中でも真っ暗
■宴会場だった場所を部屋として使っているため収納や押入れがない
■それぞれの個室はパーテションで区切られているだけで、音が筒抜けでプライバシーが無い
■お風呂は廊下に無理矢理増設されていて、そこへは息子さんの部屋を通らないといけない
■2階の電気のスイッチは廊下に集中している
■廊下の数少ない窓は、ユニットバスが塞いでしまっている
窓枠の風景画家
橋塚晃司
息子さんが戻ってきて、親子でお店をやるというのはいいことで、非常に微笑ましい家族だと思う。無理矢理2階に住宅部分を持っていっているため、皆で集えるような場所も無く一緒に食事することもほとんどないということなので、お店と住宅を両立させ家族の絆が深まる住まいにしたい。
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高級感ただよう外観
正面の壁には、L字の細いスリットの窓と木曽檜に描いた八の字で、かね八の屋号を表現。
道行く人の目をひきます。
減築した部分は、御影石の延べ段を敷き、店内へ導くアプローチになりました。
そこには、お父さんこだわりの石を再利用。鞍馬石のつくばいは、照明を備えて石行灯に。
居心地の良い店内
高さを以前より20センチ下げた木曽檜のカウンターは表面を削り直し、40年前と同じ美しさを取り戻しました。 まだ新しかった椅子は脚を切って再利用。落ち着いて、ゆっくりくつろげるようになりました。
外から店の様子が伺えるL字の窓の脇には、これまでなかった、お客さん用のコートクロークが用意されています。
松材の引き戸の向こうには、以前よりずっと広い手洗いとトイレが出来ました。
店内からバリアフリーでつながるトイレは洋式に変え、もう、子供や年配のお客さんを困らせることはありません。
個室の仕切りの襖はすべて外して、奥の押し入れにしまうことができ、団体のお客さん用に、大広間として使うこともできます。
「匠」はここにも「窓枠の風景画家」らしい工夫を凝らしました。窓の雪見障子を開けば、心休まる坪庭の景色が眺められます。
使いやすい調理スペース
魚を入れるネタケースも「匠」のオリジナル。水に強い檜で作られたこのケースは下に氷を入れるようになっており、ネタの鮮度を保つ工夫も。営業時間中は、充分氷が持つので入れ替える必要はありません。
これからは寿司だけでなく、料理にも力を入れようと日々、腕を磨いている息子さんのために、カウンターの中には、焼き場を設置しました。その下の通気口から空気を取り込み、換気扇に循環させる事で、油の臭いや煙が店内に回らないよう配慮しています。
板場から一直線で繋がる奥の厨房は、以前よりコンパクトにし、3人で動くのにちょうどいい、無駄のないサイズに。
カウンター席の後ろには、配膳室を新たに設けました。お茶や飲み物を用意したり、帳簿をつけたりできるこのスペース、小さいながらも便利です。
分けられた入り口
表札がかけられたスライド式の玄関を入ると、三和土で靴を脱いで左側に、2階へと上がる階段が続きます。
階段の中程にある扉を開けると厨房の天井裏を利用した大きな納戸が。出前用の寿司桶など、かさばる荷物も全て収納できます。
楽しみにしていたLDK
食卓のテーブルの天板には、かつて店の入り口だった扉を加工して再利用しています。ガラスが入っていた部分には「つけ台」だった檜材を、脚には解体で出た柱を使いました。
ダイニングとキッチンでおよそ13帖と、3人家族ならゆとりの広さ。もちろん、十分な収納も確保しました。
南向きの窓の向こうに、開けた景色が広がる明るいシステムキッチン。これまではできなかった、家族揃って食卓を囲むという夢が叶いました。
気兼ねなく過ごせる個室
何もかもが筒抜けで、プライバシーどころではなかった部屋は、間取りを一新し、リビングダイニングから続く廊下を介して、家族それぞれの個室を配置。一番手前はお父さんの部屋、少し間を開けてお母さんと息子さんの個室ができました。
壁と扉で仕切られた完全な個室。もちろん、今まで一切なかった収納も、全ての部屋に備えました。これまでむき出しだった荷物は、すべてここに収まります。
また、廊下の真上には、収納式のはしごが。それを上がると3畳の小屋裏収納があり、季節の家電や衣類などをしまっておくのに便利です。
くつろげるお風呂
お父さんの部屋の向かい側にできたのは、窓のある、明るく広々とした洗面脱衣所。
そして、家族が待ち望んだ新しいお風呂は、以前に比べ、倍の広さ。ゆったりお湯に浸かれば、仕事の疲れを癒せます。
群馬県富岡市
荻野工務店
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