2014年6月8日(前編)・6月15日(後編)放送
階段が邪魔な家
■奥行きがわずか90センチしかない玄関土間には、大きな下駄箱が置かれていて玄関を圧迫している
■一番日当たりの良い玄関横の2畳間は、物置と通路がわりにしか使われていない
■居間には父の退職祝いに母が贈った大きなマッサージチェアが置かれ、部屋を窮屈にしている
■家は隣家に挟まれているため、光はほとんど入らない
■居間に唯一ある窓が隣家に塞がれているので、日中でも照明がないと部屋が真っ暗
■12坪の家の中に階段が2つあり、間口が2間しかない狭い家の半間分を階段が占領
■食卓スペースは幅150センチしかなく、4人掛けのテーブルを食器棚に寄せて2人掛けとして使っている
■食卓の後ろには洗面台があり、そこに座ると洗面台の使用が困難
■食器を取るときには食卓に登らないといけない
■トイレも食卓のすぐ後ろにあり、食事中に誰かがトイレに行くと気になる
■1畳しかない浴室は台所と隣接していて、脱衣所はない
■台所には洗濯機も置かれ、調理スペースを圧迫している
■台所の調理スペースは少なく、洗濯機を盛り付け台として使っている
■2階は廊下が無く、両親と長男の部屋は襖1枚で間仕切られているだけでプライバシーはない
■2階の部屋と部屋の間には、増築の時にできた大きな段差がある
■洗濯物を干すときは、長男の部屋を通らなければならない
価値ある住まいの伝承者
藤吉洋司
何度も増改築を重ねているので、家の中に段差や階段が2つあり、耐震性にも気になる部分がある。2間の間口の中で水回りをどう整理するのかが一番難しい。ご夫婦も高齢になってきているので将来性を想定した計画が必要。
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圧迫感が無い玄関
玄関アプローチは、滑りにくい洗い出し仕上げ。階段を2段作って玄関を上げた分土間から室内への段差を低く抑えました。
玄関は、下駄箱を壁に寄せたことで以前より、土間を広く使えます。扉の裏にもスリッパや傘を収納でき、上の段の扉にもシューズケアの小物などが仕舞えます。
便利なリビングダイニング
大きくなったキッチンは収納もたっぷり。棚から引き出せる作業台もあるので、洗濯機の上で盛り付けなくても大丈夫。
以前よりも空間にゆとりができ、4人で囲める食卓。北側のハの字型に架け替えた2つの階段の下は、一面、収納スペースとして有効利用しました。
収納スペースの一角には、お母さんの家事動線を考え洗濯機が置かれました。その隣には、限られたスペースを活かす「匠」の知恵。テレビを回転金具で自在に動かせるようにし、背後のデッドスペースに収納棚を作りました。
居心地の良い空間
天気がいい時には日当たりの良い坪庭で、2帖ほどの濡れ縁に出てお茶を飲みながらのんびり日向ぼっこ。塀が高いので路地からの目線を気にせず過ごせます。
奥行きのある濡れ縁にはお母さんの家事が楽になるよう、物干し場も作りました。わざわざ2階のベランダへ上がる必要がなく洗濯機からも近くて便利。
キッチンからも庭が見えるよう、上半分が上げ下ろし出来る、雪見障子ならぬ空見障子。閉め切れば、小さいながらも落ち着く独立した和室に。
光を取り込む和室
昼間でも照明が必要なほど暗かった1階。壁に窓が無いこの部屋は、2階の窓から日差しを落とし、十分な光を届けてくれます。
座卓は「匠」のオリジナル。押し入れの下、お母さんの嫁入り道具のタンスとの隙間にピタリと収まるように作られています。
襖を閉じれば独立した客間に。将来、お父さんお母さんが2階へ上がるのが大変になった時にはこの部屋を寝室にできます。
切り離された水回り
トイレは、階段下の暗い和式トイレから一変。窓の付いた明るく清潔感のある空間に。トイレットペーパーなどを仕舞える収納も用意しました。
南向きの窓から光が注ぎ、風通しも良い風呂場と洗面脱衣所。浴槽は倍の大きさになり、ゆったり入れます。
くつろげる2階
以前、物干し台があった場所は、杉板の柵で目隠しし、ヒノキの床板で一新。夫婦で寛げるおしゃれなバルコニーが誕生しました。
収納は以前の場所のまま。建具をお母さんが好きなグリーンにし、柔らかな雰囲気を演出。お母さんの嫁入り道具の箪笥も収めました。
小さな居間を占領し、お父さんも肩身が狭かった大きなマッサージチェアは専用コーナーに鎮座。これからは家族に気兼ねなく、テレビを見ながら至福の時間を過ごせます。
カウンターにはシンクを備え、ポットでお湯を沸かしお茶やコーヒーなどで寛ぐことも。手の届く所に、飲み物や菓子を置くのに便利なスライドテーブルや引き出し付きの棚も用意し至れり尽くせり。
マッサージコーナーの裏側には大容量のウォークインクローゼットが作られその足元には、1階の客間に光を落とす明かり取りが。厚さ1センチの耐久性の高いアクリルパネルなので割れる心配はありません。
プライバシーのある個室
段差のなくなった2階を奥へ進むと長男の新しい部屋。梁を露わにした高い天井にはもともとロフトにあった天窓からの光が取り込め明るく、開放感も満点。
客間が1階に出来たのでこのロフトは長男の荷物を置くための専用スペース。お母さんの嫁入り道具を納め、さらに漫画が好きな長男のコレクションを仕舞える本棚を造りました。
愛知県名古屋市
吉富工務店
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