EarthDreamingロゴ 放送内容
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4月 立川談志
4月 毛利 衛
4月 藤井フミヤ
5月 安在尚人
5月 坂本徹也
5月 近藤 篤
6月 羽仁カンタ
6月 故・手塚治虫講演より
6月 上田壮一
7月 今井絵理子
7月 杉山清貴
8月 船越令子
8月 大野由紀恵
8月 小島あずさ
8月 大宮美智枝
9月 KONISHIKI
10月 西垣成雄
10月 疋田 智
10月 斎藤 誠
10月〜
11月
高樹沙耶
11月 上岡 裕
11月 渡邉英徳
11月 柴田政明
12月 大塚明夫
12月 安寿ミラ
12月 この1年を振り返って
1月 伊藤瞭介
1月 秋山 孝
2月 寺薗淳也
2月 藤子不二雄A
2月 つやまあきひこ
2月 丸田信之
3月 皆川孝徳
3月 大矢寛朗
3月 持丸和朗
4月20日 ゲスト:日本科学未来館館長毛利衛さん
毛利衛 4月7日は鉄腕アトムの誕生日。ということで手塚治虫や鉄腕アトムに関わりの深い方をお迎えしてお送りする「鉄腕アトム生誕記念スペシャル」今週は毛利衛さんです。

 手塚「毛利さんと手塚作品との出会いをお聞かせ下さい」毛利「一番最初に読んだのは鉄腕アトムだと思いますが、一番印象にあるのはテレビのアトムですね。実写やアニメの...」手塚「一番お好きな作品は?」毛利「火の鳥です。あの作品の中で手塚さんが表現しようとする、生命の流れに影響されました。それは宇宙に行ってからよけいその意味が分かりました」手塚「宇宙に行った時に火の鳥のどのシーンが浮かびましたか?」毛利「いろんなシーンが浮かびましたが、生命が繋がっていく輪廻というものを感じました。宇宙から地球を見た時に人間がいなくても地球はあるという厳しい現実に遭遇した時に、手塚さんはこういうところまで見てきたかのように表現されているのかなと思いました」
 手塚「“ガラスの地球を救え”の本の中に“宇宙からの眼差しを持て”というのがあるんですが、実際にそれを経験された毛利さんはどのように感じましたか?」毛利「スペースシャトルから見ると山や森、珊瑚礁。人工物で言えば港や高速道路などは見えますが、人間一人一人が見えるわけではなく、都市も灰色としてしか見えません。でも地球上で人は生活しています。それを思って宇宙から地球を見るとまさに手塚さんが仰った、人間というのがどれほど小さいものか。と同時にどれほど大事で大きいものか、と言うその通りを実感しました」
 手塚「現在の地球環境について、毛利さんはどのように感じていらっしゃいますか?」毛利「今60億人の人が住んでいますよね。地球は大きいと言っても宇宙から見ると明らかに陸地のある部分は大きな都市があって灰色になって森林が伐採されて...あるいは湖が汚れたり...。それはすべて人間の仕業です。その人間の仕業が遠く宇宙から見ても分かるようになりました。100年前は人口もこれほどではなかったので、自然の中に埋もれていたと思います。そして数十年先には人口が100億人を突破するでしょう。ではどうしてそんなに人口が増えるのが可能になったかと言えば、科学技術によってなんです。科学技術というのは人間を豊かにする道具としてあります。と同時に人を殺す方向にもあるわけです。今まではどうにか人間が増えることが出来ましたが、地球の表面積は限られています、資源は限られています、ですのでどこまで増え続けられるのかを真剣に考える時期になっていると思います」手塚「毛利さんは人間の未来をどのように見ていますか?」毛利「2000年の2月に2回目の飛行しました。その時に日本の子供達にメッセージを送ったんです。“環境破壊が叫ばれているけれど、まだ間に合いますよ”と。間に合うと思えば間に合うんです。間に合わないと思ったらそこで終わりなんです。ですからどんな状態でも間に合うという意識を持つこと、そして努力すること。それは自分と全体との関わりをどれほど厳しく考えているか、そして科学技術を破壊する方向に使わない。もしそれを使いそうな時に立ち向かう勇気が必要だと思います。それは手塚さんの作品の中のロボットを透して謳われているんじゃないでしょうか」


 手塚「アトムが生まれた2003年4月7日を迎えた感想をお伺いしたいのですが」毛利「今年生まれという...、空想ですよね〜。それは素晴らしい予見、予知能力を持っていたな〜と思いますね。実際に今2足歩行のロボットが生まれていますし、ロボットが中心になったスポーツも生まれています。アトムというのは天馬博士の子供として生まれましたが、私はお茶の水博士に憧れたんです。小6の卒業文集に“お茶の水博士になりたい”と書いていたんです」手塚「科学者になりたかったんですか?」毛利「そうですね、お茶の水博士に代表されるような、天馬博士ではなく、人間味があって尚かつ社会全体を考えている、でちょっとおっちょこちょいな性格に憧れていました。それで先日アトムの生誕を迎えて自分も色々な経験をして様々なことが見えてきたんですけれど、手塚さんのあの時の気持ちとその後の色々な作品、火の鳥までの自分の人生を重ね合わせてきて、長い時間が経ったんだなぁ〜と思います」
 手塚「毛利さんが館長を務められている、日本科学未来館にたくさんの子供達が来て、将来アトムを作ってみたいと思う子供達がいると良いなと思うんです」毛利「今来るお客さんはロボットに対して二種類の考えがあるんです。とにかくロボットを作って色々な事をさせたい、破壊したいという機械志向の人、コンピューター志向の人、電気志向の人、そう言う人たちが増えています。そういう人たちの気持ちだけではちょっと危険なところがあると思います。この科学未来館ではアトムと一緒でロボットを透して人間を知ろうということです。そして作るロボットも人間的な暖かみのある、人間的な理性のあるロボットを目指しています」手塚「よく聞かれるのが、アトムは出来るんですかということなんですが、毛利さんはどう思っていらっしゃいますか?」毛利「もう出来ているんだと思うんです。それは人間を研究するためにロボットを作っているんですよという立場に立つと...。あくまでも人間の分身そのものだと思うんです。それだけが勝手に増殖するものではなくて、人間があって初めて意味があることなんですね」
 手塚「毛利さんがこれからやっていきたいことは?」毛利「私は科学技術の成果で宇宙へいけましたので科学技術の恩恵がよく分かります。ですから、本当の科学技術の意味を伝えて、科学技術をうまく使ってその恩恵に浴する人々を沢山育てたいと思っています」

立川談志さん 藤井フミヤさん

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