4月7日は鉄腕アトムの誕生日。ということで手塚治虫や鉄腕アトムに関わりの深い方をお迎えしてお送りする「鉄腕アトム生誕記念スペシャル」今週は毛利衛さんです。
手塚「毛利さんと手塚作品との出会いをお聞かせ下さい」毛利「一番最初に読んだのは鉄腕アトムだと思いますが、一番印象にあるのはテレビのアトムですね。実写やアニメの...」手塚「一番お好きな作品は?」毛利「火の鳥です。あの作品の中で手塚さんが表現しようとする、生命の流れに影響されました。それは宇宙に行ってからよけいその意味が分かりました」手塚「宇宙に行った時に火の鳥のどのシーンが浮かびましたか?」毛利「いろんなシーンが浮かびましたが、生命が繋がっていく輪廻というものを感じました。宇宙から地球を見た時に人間がいなくても地球はあるという厳しい現実に遭遇した時に、手塚さんはこういうところまで見てきたかのように表現されているのかなと思いました」
手塚「“ガラスの地球を救え”の本の中に“宇宙からの眼差しを持て”というのがあるんですが、実際にそれを経験された毛利さんはどのように感じましたか?」毛利「スペースシャトルから見ると山や森、珊瑚礁。人工物で言えば港や高速道路などは見えますが、人間一人一人が見えるわけではなく、都市も灰色としてしか見えません。でも地球上で人は生活しています。それを思って宇宙から地球を見るとまさに手塚さんが仰った、人間というのがどれほど小さいものか。と同時にどれほど大事で大きいものか、と言うその通りを実感しました」
手塚「現在の地球環境について、毛利さんはどのように感じていらっしゃいますか?」毛利「今60億人の人が住んでいますよね。地球は大きいと言っても宇宙から見ると明らかに陸地のある部分は大きな都市があって灰色になって森林が伐採されて...あるいは湖が汚れたり...。それはすべて人間の仕業です。その人間の仕業が遠く宇宙から見ても分かるようになりました。100年前は人口もこれほどではなかったので、自然の中に埋もれていたと思います。そして数十年先には人口が100億人を突破するでしょう。ではどうしてそんなに人口が増えるのが可能になったかと言えば、科学技術によってなんです。科学技術というのは人間を豊かにする道具としてあります。と同時に人を殺す方向にもあるわけです。今まではどうにか人間が増えることが出来ましたが、地球の表面積は限られています、資源は限られています、ですのでどこまで増え続けられるのかを真剣に考える時期になっていると思います」手塚「毛利さんは人間の未来をどのように見ていますか?」毛利「2000年の2月に2回目の飛行しました。その時に日本の子供達にメッセージを送ったんです。“環境破壊が叫ばれているけれど、まだ間に合いますよ”と。間に合うと思えば間に合うんです。間に合わないと思ったらそこで終わりなんです。ですからどんな状態でも間に合うという意識を持つこと、そして努力すること。それは自分と全体との関わりをどれほど厳しく考えているか、そして科学技術を破壊する方向に使わない。もしそれを使いそうな時に立ち向かう勇気が必要だと思います。それは手塚さんの作品の中のロボットを透して謳われているんじゃないでしょうか」
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