
日本の高齢化とともに、障害者世帯も高齢化しています。
高齢になった親御さんが、障害のある子どもを支えている「老障介護」が問題になっています。しかし、障害のある人を受け入れる「入所施設」や「グループホーム」が不足していて、親を亡くしても、なお、受け入れ先が見つからず、「短期入所施設(ショートステイ)」を転々として暮らしている方もいます。大変深刻な実情があります。
ABCテレビでは、2017年12月から、5年5ヵ月(2023年5月時点)以上にわたり、障害のある方とご家族が抱える様々な問題を伝え続けています。報道番組内での「ニュース」や「特集」、また「ドキュメンタリー番組」など、これまで、40回の放送を重ねてきました。
放送したVTRは、いつでも視聴して頂けるようYouTubeで配信しており、視聴回数はシリーズ全体で4200万回を超えました。また、教育機関や障害者施設での講演会や上映会も開いております。
「老障介護」の取材を始める前は、日本の「超高齢化」を取材していました。
大阪市内で、1人暮らしの高齢者に手作り弁当を届けているボランティアグループに密着取材をしていたのですが、訪問するお年寄りの中で、1人だけ、事情が違う方がおられました。
その方は、70代後半の女性で、40代の娘さんとの2人暮らし。娘さんは難病で、身体障害があり、寝たきりで暮らしていました。お母さんが、娘さんの食事や入浴を、つきっきりで介助されていました。「お母さんが病に倒れたら、娘さんはどうなるんだろう?」「もし、突然亡くなられたら、誰が、娘さんの介護をするのだろう?」「受け入れ先はあるのだろうか?」と、次々と疑問が沸き、心配でたまらなくなりました。
そして、「こういうご家庭が日本にどのぐらいあるのだろう?もしかしたら、潜在的にたくさんおられるのではないか・・・?」と。高齢の親御さんが障害のある娘さんを支えている姿を拝見して、ものすごくショックを受けました。お二人との出会いが、シリーズを始めたきっかけです。
この問題をあまり知らない方や、興味が無い方にも伝わるように、わかりやすく報道したいと考えておりまして、映像の力を活かしたVTRを作りたいと心がけています。
そのため、障害のある方のご家庭や、障害者を支える施設に、テレビカメラを入れさせていただき、できる限りありのままの日常を撮影させて頂けるよう、お願いしています。
これまで放送させていただいた40本のVTRは、取材を受けてくださった障害のある方とご家族、支えておられる方々や施設の職員の皆さんのご協力の賜です。感謝の思いで一杯です。
その日その日をやっとの思いで暮らしているご家族がおられます。
そして、1つ間違えば、子どもに手をかけてしまう、虐待してしまう、非常に追い詰められた心境で、障害のある子を支えているお母さんもおられます。
そんな、ご家族の姿を想像しながら、最も苦しいご家庭に支援の手が届くように、
より深刻な現実に目をそらさずに、しっかりと伝えていきたい。
声を上げたくても上げられない当事者の思いや、支えておられる方の姿を、ストレートに、世の中に届けたいと、思っています。
できるだけ長く、このシリーズを続けたいと、思っています。
これまでと同じスタイルで、取材して、VTRにまとめて、「ニュース」や「特集」のかたちで、細く長く、報道活動を続けることを目標にしています。
さらに、障害のある方とご家族が、より暮らしやすい社会になるように、社内、社外を問わず、同じ思いを持った人たちと、つながりを持てたらと考えています。地上波以外での様々な発信や、活動も、模索していきたいと思っています。