1998年7月。そぼ降る雨の夜。 浅上藤乃の力は目覚め、殺戮は行われた。

黒桐幹也が出会ったのは、暗がりにうずくまるひとりの少女だった。 その制服は自身の妹と同じ高校のもので、放ってはおけず自宅へと 迎えたが、翌日目覚めると彼女は居なかった。

そんな折、ひとつの「依頼」が幹也の勤める「伽藍の堂」に舞い込んだ。 内容は、異能の力を持つ娘を捕獲、または抹消すること。 そのために動くのは同じく異能の力を持つ、両儀式。 追いかけるのは行方不明になった大手ゼネコン、浅上建設のご令嬢。 おそらくは同族と知りながら、だからこそいっそうの相反する思いを抱き、彼女は彼女を捜し始める。

雨の夜に出会った女学生。 行方知れずになった令嬢。 殺戮を繰り返し啓太が脅えていた娘。
幼いころ感覚を封じ込められた少女。 鮮花が連れていた同級生。 果たして、それは「誰」なのか。総ての符号が一致したそのときには、すでに壮絶な戦いは始まっていた。 舞台は皮肉にも浅上建設が手がけた広大な橋「ブロードブリッジ」。
豪雨の中、対峙する式と藤乃。果たして幹也は間に合うのか。