インフォメーション
■劇団Patch第4回公演『破壊ランナー』、ABCホールでまもなくです。3月6日(木)から9日(日)まで、全6公演。すでにSOLD OUTの回もいくつかあるようです。お急ぎください■実はこの週、つまり3月の2回目の週末に向けての数日間、大阪では注目の演劇公演がたくさんあって困るのです。Patchの他に主だったものとしては、メイシアタープロデュース『グッド・バイ』(3/6-9)、近鉄アート館"復活"オープニングシリーズ『一郎ちゃんがいく。』(3/5-9)、キューブ『PACO』(3/6-9・シアター・ドラマシティ)、MONO『のぞき穴、哀愁』(3/6-12・HEP HALL)・・・その他にも多数。うーむ。どうしてこう集中するかなあ。一郎ちゃん、PACO、破壊ランナーはいずれも"伝説の"という枕詞がつく名作です。熟練の劇団メンバーに新進女優がぶつかるMONOの新作も、太宰の未完の遺作を山崎彬が舞台化するグッド・バイも無論はずせない。
■さてそんな中先日、僕は『破壊ランナー』の稽古場見学をして参りました。惑星ピスタチオ、"伝説の"代表作。ピスタチオは1989年結成、1990年に旗揚げ公演を行い、2000年に解散。わかりやすい。文字通り、90年代を駆け抜けた"伝説の"劇団です。ピーク時の動員は20000人に達したと云われ、これは夢の遊眠社や第三舞台などにも全く引けを取らない数字です■てなことを知った風に書いていますが、僕、実はピスタチオの生の舞台を観たことがありません。90年代というのは僕の30代後半から40代前半にあたりまして、これは一般に働き盛り、または働かされ盛りというやつで、僕の場合も例外ではなく、毎晩遅くまで仕事して休日は家で寝るだけ。TV番組を通じてPiperの黎明期に関わったり、東京から来た遊眠社などを観に行く以外、あまり劇場に足を運ばない生活を送っていたのです。最近は休みの日なんぞ、1時間ほど自転車漕いで町の反対側にある小さな小屋に出かけたりしますから、今の方がよほど元気です。あーしかし年のせいか自分語りが長くなる。いかんいかん。『破壊ランナー』の話■今回、うちのホールで公演があり、またラジオで紹介させていただくにあたって、惑星ピスタチオが上演した本作の映像(1995版)を初めて見せていただいたのですが・・・いや何というか、これは演劇というより別の何かですね。いや演劇は演劇なんだけど、表現方法が他の集団のそれと比べてあまりに特異です。無論いい意味でです。目的を達成するための方法論が実に明確だと感じました■目的とは私見ですが恐らく、これまでの演劇にないスピード感、同時代性、ダイナミックな視覚効果、です。そして恐らくこれらの実現のために編み出されたのが、以下のようなピスタチオ独自の演出技法です■①1人の俳優が複数の役を演じるお芝居はよくありますが、その極端な手法として、主役脇役問わず全ての俳優が舞台上で役柄を瞬時にチェンジして何人もの別の人物を演じる、『スイッチプレイ』。②機関銃のように繰り出される説明台詞、擬音語、擬態語と漫画的マイムで状況を実演する、『パワーマイム』。③俳優が素早くスムーズな移動で位置関係を変化させ、ロングからアップへ、縦ショットから横ショットへ、など、観客にまるで様々なアングルで撮影された映像を観ているように感じさせてしまう、『カメラワーク』■・・・これらはかつて、惑星ピスタチオの座付作家・演出家だった西田シャトナー氏と劇団メンバーの研究で編み出されたものです。今回Patch版『破壊ランナー』の潤色・演出を務めるご存知末満健一氏も、当時メンバーとして体験しています。勿論、シャトナー演出完コピ、などということを末満氏が試みる筈もなく、出演者や時代の変化に合わせた末満流の改変が加えられているのですが、彼が正統を継ぐ者であることは間違いない。そして更に注目すべきことに、今公演には惑星ピスタチオ全盛期を支えた2人の俳優、保村大和さん、遠坂百合子さんが参加するのです。かつてのファンには堪らない趣向ではないでしょうか■出演する俳優は、Patchメンバー11人に加え、保村、遠坂、そして山浦徹さんという3人のゲスト、全部で14人です。しかし、劇中に登場するキャラクターは、正確には誰にも分からないと思いますが恐らく100人以上。つまり、スイッチプレイ全開モードです!ひとたび芝居が始まったら、俳優たち各々が、数え切れないキャラクターを切れ目なく演じ分けねばなりません。暗転も、衣装替えもなく、舞台上を常にカメラの代わりに駆けずり回りながら!・・・わ。大変そう■そうでなくてもですね、この『破壊ランナー』、元々が大変な運動量の芝居なのです。何せ、生身の人間が音速の1.7倍、F1マシンの十倍近い速さで走るという。そんな未来のスポーツ『ソニック・ラン』に命を懸ける男たちの戦いの物語なんですから。超音速で走ることを体得した人類、そのフォームとは一体どんなものなのか?もちろん実際に走るわけにはいかないのでソニック・ランのフォームを表現するカッコイイ動きがあるんですが、これが滅茶苦茶俳優の体を酷使する。前屈みに姿勢を低くし、摺り足で、後方に大きく蹴るように片足を延ばす。元に戻して今度は反対の足・・・言葉で書くとこんな感じかなと思うのですが、想像以上に大変らしいです■『OLIVER BOYS』、『岩窟少年』、『白浪クインテット』と、これまでの3回の本公演、全く趣向の異なる演劇作品に挑戦してきた劇団Patchですが、今回が、肉体的には間違いなく断トツハードでしょう。ま、若いのだから今が頑張り時だよね、とおじさんは無責任に楽しませていただきます■しつこいですがチケットまだの方はお早めに!(艦長)
■そうそう、今朝の朝ドラ「ごちそうさん」に楠見薫さんが出演されていました。劇団Patchの中山君演じる諸岡弘士のお母さん役で。楠見さんのダンナ様は後藤ひろひと氏(上記、爆笑&号泣の名作「PACO」の作者)なので、つまり、大王と中山君は義理の?父子だったというわけです。
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- 2014年02月18日火曜日
■ムーンビームマシンさん、今朝小屋入り、あす『月雪の娘』の初日です。ABCホール初お目見え、なんです実は■ふと思い出したのが、おとといの夜、珍しく燗酒などをいただいて帰る道すがら見た、高層マンションの真上にかかった玲瓏たる三日月。冬の夜空は、都会でも美しい。昨夜は、MONOさんの稽古場を見学しての帰り道、京都・四条烏丸あたりで前夜より少しだけ厚みを増した月を眺めました。気づけば、粉雪もちらちら。週末は大雪になるとの予報です。雪深い地方の皆さんにとってはちょっと失礼な感想で恐縮なのですが、『月雪の娘』、なんともこの季節にぴったりのかっこいいタイトルだと思います■ラジオ番組でご紹介するに当たって台本を送っていただき拝読したのですが、この作品は、小泉八雲・作『怪談』の中の一編、『雪女』の後日譚。というわけで、まず『雪女』がどんなお話なのか簡単にご紹介します■
ある猛吹雪の夜。渡し守の小屋での夜明かしを余儀なくされた二人の男が、雪女に襲われる。雪女は年老いた男の命を冷酷に奪うが、もう一人の若く美しい青年・巳之吉は、決してこの夜の出来事を口外しないことを条件に見逃してやる。次の冬、巳之吉の前にお雪という美しい娘が現れる。二人は夫婦となり、十人の子をなし、何年も幸福に暮した。しかしある夜、ふとしたはずみで巳之吉は禁を破り、妻にあの夜の事を話してしまうのだった・・・!
■『月雪の娘』は、このとき後に残された子供たち、とりわけ、長女とその妹を中心に描く物語です。雪女と人間の間に生まれ、哀しい運命を背負った二人の娘。彼女らをめぐる様々な人々の愛と憎しみ■ひょっとして間違っているかもしれませんが、作・演出のSarahさんは、ヨーロッパにおける吸血鬼一族に当たる存在として雪女を描いているんじゃないかと思います。逃れられない血脈、恐ろしい宿命...吸血鬼伝説には、古来欧州の人々を惹きつける独特の『恐怖の美学』みたいなものがあります。それを、冬の日本の土着性の中でリアリティをもって描き出すために生まれたのが、本作『月雪の娘』なんだと■関西小劇場界で活躍中の俳優陣が大挙出演します。冬のお話ですが、もちろんABCホールの中はじゅうぶん暖房しております。どうぞしっかり防寒の上、美しく激しいお芝居をご覧にお越しください!(艦長)
ムーンビームマシン『月雪の娘』 作・演出 Sarah
2月7日(金) 19:00
8日(土) 14:00 19:00
9日(日) 15:00
※当日券は開演1時間前から発売
※上演時間は2時間弱(予定)
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- 2014年02月07日金曜日
■いやー、やりますよ大田王(前の項参照)。大の大人の演劇人たちによる伝説のバカコント大会。本来「伝説の」などという上品な枕詞がつくようなイベントではないのですが、十数年前にたった2回開催されただけで消滅してしまったので、関西の小劇場ファンの間では伝説になってしまいました。去年のいつだったか、僕・艦長が酔っ払って大王こと後藤ひろひと氏に「ABCホールで大田王やって!やりましょ!」と懇願したらしいのですが実はあまりよく憶えていません...。でも僕の小劇場観劇の歴史の中で最もたくさん笑った舞台であったことは確かです。その復活・再生・・・。とにかく全員力を合わせ、とことん楽しめるライブにしたいと思います。
さて!
■OFFICE SHIKA×Cocco『ジルゼの事情』チーム、昨日小屋入りされ、明日初日です。...とご紹介はするものの、前売りチケットは発売即売り切れてしまっているんですよねー。急遽金曜の昼間に追加公演が決定されたのですがそれも即完。いうまでもなく、Coccoさんの人気の凄さなんだと思います。音楽にはとんと疎い僕、先日ネットの動画サイトでCoccoさんの歌唱シーンを初めて拝見したのですが、なるほどです。僕ごときが安易にその魅力を言葉で表現するとファンの方に叱られそうなので控えますが、一目圧倒される。その彼女が、初めて女優として舞台に立つんですから、ねえ■劇団鹿殺しは、座長で演出を務める菜月チョビさんが海外留学中で本公演はお休み中。でもその間も、劇団代表の丸尾丸一郎さんを中心に、こんなふうに多彩な活動を展開しています。ミュージシャン・Coccoと小劇場界の雄・鹿殺しの出会い、それにしても楽しみです(艦長)
OFFICE SHIKA×Cocco 『ジルゼの事情』 作・演出 丸尾丸一郎
1月30日(木) 19:00
31日(金) 14:00 19:00
2月 1日(土) 14:00 19:00
2日(日) 14:00
※前売り完売
※当日券発売に関しては、一人でも多くの方に観覧いただけるよう関係者で現在検討中です。決まり次第このブログ、劇団鹿殺しとABCホールの公式Twitterなどでお知らせ致します。現状については「ジルゼの事情」特設サイトをご覧ください。
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- 2014年01月29日水曜日
■今朝、毎日通勤に使っている電車のダイヤが乱れていました。「○○駅で人身事故」とのアナウンス。またか...。ちょっと暗くなります。年末に新設されたばかりの真新しい駅です。ネットのニュースで確認したところ、ホームにいた男性が自ら線路に降り、はねられたのこと。あゝ■さて、いつもより時間が早かったのと遅延の影響で、僕が乗り込んだ車内は相当混んでいました。僕は、なるべく他の方の乗降の邪魔にならないよう、車両中央近くの奥まった場所で立っていました。ところがその僕を、かなり強引に押しのけて移動する男性がいます。30歳くらいのサラリーマン。何するねんと横目で見ると、彼は僕の隣にスペースを確保するや否や、文庫本を開いて熱心に読み耽っている。書店のカバーがかかっているので題名は分からないのですが、中身は結構よく見える。興味本位で覗いてみると、本文中に太字で踊っている文がみんな強烈なんです!■「成功は成功の母」、「条件反射で成功に導く」、「成功のソフトウェアを脳にインストールする」・・・自己啓発書っていうんでしょうか、この種の本を読んだことがないのでとても新鮮だったのですが、めくってもめくっても、各ページに数限りなく『成功』という言葉が使われ、恐らくは全編200ページ強にわたってほぼひとつのことが書かれている。すごい。ついさっき人生から降りた人がいた線路の上を、必死に成功しようとしている人を乗せた電車が疾走していく...。なんだかな。どんよりしたエピソードですみません。春よ、こい。です。
さて!
■ピースピット『れみぜやん』チーム、今朝小屋入りされ、あさって(木)初日です■『れみぜやん』。原作は、ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」。確か僕が通っていた小学校の図書館に、「あゝ無情」という題名で少年少女向けのダイジェスト版が置いてありました。それと、2012年の末に公開され大評判になったミュージカル映画。この二つが僕のレミゼ体験の全てです。あの豪華な舞台版ミュージカルも拝見したことがない。立派な劇場に行くとなんだか落ち着かないんですよね。大好き!小劇場!!...はは。僕のことはどうでもいい■ゴシックなファンタジー、スタイリッシュなノワール、パンクな江戸コメディ・・・毎回全く異なる世界を描いて観客を魅了する末満健一氏が、今回は昭和中期の大阪の下町に『レミゼ』を持ち込みました。過激な共和革命の後、ナポレオンの登場と没落を経て王政が復活...大混乱していた19世紀のフランスから、高度成長期に差し掛かり脂ぎったエネルギーに満ち溢れていた大阪へ。ワクワクするワープです。役柄も役名も、原作との絶妙な距離感で描かれています■そして、僕がいちばん感心してしまったのは、『れみぜやん』の世界には、西洋の文豪が著した『レ・ミゼラブル』という小説が存在することです。単なる時代と場所の置き換えではない。『れみぜやん』の登場人物(の一部)は、『レ・ミゼラブル』の登場人物と自らの類似性を自覚し、先行する物語の成り行きを否応なく意識してしまう。その共鳴や反発がもたらすメタフィクション的な展開が演劇的で素晴らしいと思います■また、ピースピットではしばしば行われる趣向ですが、今回公演でも、ベーシックな配役の『トゥルースキャスト』、対になる役のキャストを入れ替えた『リバースキャスト』、まぜこぜにした『マーブルキャスト』の計3バージョンを準備。なんという手間のかかることをするのかと感心してしまいますが、木曜から月曜まで全部で7ステ、お見逃しなく!(艦長)
ピースピット『れみぜやん』 原作:ヴィクトル・ユゴー 脚本/演出:末満健一
1月23日(木) 19:00・T
24日(金) 19:00・R
25日(土) 14:00・T 19:00・R
26日(日) 12:00・M 17:00・R
27日(月) 17:00・T
T・トゥルースキャスト
R・リバースキャスト
M・マーブルキャスト
※希望回の前日23:59までウェブ予約可能
※希望回の開演1時間前まで電話予約可能:090-8536-5375(LOTUS)
※当日券は開演45分前より発売
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- 2014年01月22日水曜日
■ブルーシャトルプロデュース『壬生狼』チーム、今朝小屋入りされ、明日初日を迎えます。
■徳川の幕政は完全に疲弊し、黒船来航の衝撃で社会の混迷は一層加速した...。のちに幕末と呼ばれることになるこの時期の日本で、剣術で身を立てようと志した若者たちが京都の町に集いました。京都・壬生に屯所を置いたご存知『新撰組』は、その名を拝するまで、『壬生浪士組』と名乗っていました。略して『壬生浪』。荒くれた武装集団であることから一字を変え、『壬生狼(みぶろ)』と京の人々に恐れられたそうです。そんな男たちがやがて時代の荒波に翻弄されてゆく、激しく悲しい物語の序章・・・。それが今回のお芝居『壬生狼』です■先日、ラジオ『浦川泰幸の劇場に行こう!』に、今回沖田総司役を演じる田渕法明さんにゲストとしてお越しいただき、稽古の様子などを伺いました。いやいや、想像以上の激しさらしいです■ABCホールにおける前回の公演『ゼロ』では、俳優の身体のみで太平洋戦争時の激しい空中戦が表現されました。つまり、見目麗しき男たちの肉体の躍動感がブルーシャトルプロデュースの大きな特長である、と。今回は新撰組の物語ですから、当然立ち回りのシーンが見せ場となるはずですが、真剣の代わりに小道具として使われるのは何と本物の木刀。普通舞台で使うのは竹光と呼ばれる模造品、小劇場ではもっとヤワな手作りの道具を用いることも多いのです。木刀を使えば迫力は否応なく増しますが、ちょっとでも気を抜けば大怪我を負いかねない。まさに真剣勝負という状態が稽古場からずっと続いていているそうです。さらにこのシンプルな小道具は、色々な使い方をされて、刀以外の様々なものを表現するのだとか■前回に続き、舞台装置は全くありません。刀のみを携え、役者たちが100分間疾走し続けます。チラシには「90分間完全疾走演劇」とありますから、どうやら稽古の過程で10分延びたらしい。さらに千秋楽の最終公演は「ディレクターズカット」と名付けられ、泣く泣くカットしたシーンも生かした2時間超の舞台になるはずです。これまた必見っすね■それにしてもキャストの皆さん、大変そう・・・
■艦長、実は京都・壬生の生まれです。でも狼じゃないです。とても打たれ弱いので、番組宛てに是非励ましのお便りを!
ブルーシャトルプロデュース 『壬生狼 MIBURO』 作・演出 大塚雅史
1月16日(木) 19:00
17日(金) 19:00
18日(土) 13:00 17:00
19日(日) 12:00 16:00★
★・・・ディレクターズカット
※当日券は開演1時間前より発売
※前日まで電話予約可
06-6369-1344
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- 2014年01月16日木曜日
■劇団赤鬼さん、今朝小屋入りされまして、2013クリスマス公演『拝啓 ライトフライヤー号!』の初日を、明日迎えます■今日は朝から大きなニュースが飛び込んできています。昨日から報じられていたとはいえ、猪瀬直樹都知事の辞表提出、そして「餃子の王将」社長の銃撃による死亡です。まだ報道が始まって間もなく、詳細は分かりませんが、日頃消費者としてお世話になっている企業の社長が...と思うと衝撃も一段と強いものがあります。関西庶民のソウルフード、だからなあ■心がざわざわする朝ですが、赤鬼の面々はいつもの通り元気に、そして粛々と仕込み作業の真っ最中です。『神戸から飛び出したホットプレゼンターズ』としては、こんな世の中だからこそ一層頑張ってもらわなくては■当ホールでの赤鬼のクリスマス公演も早3回目、『拝啓 ライトフライヤー号!』の舞台は、数か月後に「閉島」を迎える過疎の島です。この島の少女たちが島の思い出を形に残そうとアルバム作りを進める中で、一人の偏屈な爺さんに出会います。ゴミ屋敷に住むこの老人の過去が次第に明らかになってゆき、観客はその意外な人生に、深く心を動かされてゆくのす。劇団の中心人物である川浪ナミヲさんによると、この作品は人の人生を振り返り、その『生きざま』に共感する、『お通夜のような演劇』、だとのこと。なるほど、お通夜って悲しい場ではあるけれど、確かにそんな側面がある。妙に癒されたりもする。さすが、上手いこと云わはります■さて、老人は犬を1匹飼っています。お芝居ですから、この犬が喋ります。喋るどころか、どうやら物語のあちこちで観客にストーリーの補足説明をする、いわゆる『狂言回し』をつとめるのです。この役を、つまり犬を座長の行澤孝さん演じるというのがなんだか赤鬼っぽい。その他いつものベテラン陣に加え、わずか18歳の新人女優クンもこの公演でデビューするそうです。昨年このホールで生まれた作品、『目頭を押さえた』の三重・東京公演で頑張って女子高校生役を演じ、先日ようやく本拠に帰ってきた橋爪未萠里嬢(25)も刺激を受けることでしょう■千秋楽、12月23日(月・祝)の上演終了後には恒例のクリスマスイベントもあり!また、ABCホール周辺は既報のとおり、ラバーダック、夜の噴水&イルミネーション、ご当地カレー大集合イベント『CURRY X'mas ABC』(12/21-25)など、楽しい企画がいっぱいです■是非是非、この週末は何かと楽しいABCホールへ!(艦長)
21日(土) 13:00 17:00
22日(日) 13:00 17:00
23日(月・祝) 13:00★
※当日券は開演1時間前から発売
★終演後、クリスマスイベントあり
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- 2013年12月19日木曜日
■2週間にわたった小林賢太郎演劇作品「振り子とチーズケーキ」、昨日14時の回をもって当ホールでの全日程を終了しました。全ステージ完売。知的でスタイリッシュな笑いのアーティスト・小林賢太郎さん。かっこえーなー。限られた数の当日券を入手できず、悔しい思いをされたファンも多いのではないでしょうか。大阪で、こんな小さな小屋で間近に小林作品を観られる機会、そうそうないですからねぇ■さて、KK公演がはねるや否やホールは徹夜態勢で次の準備に突入。なんと今朝11時から『児玉清 切り絵原画展』を開催しています ■児玉さんといえば何といっても長年『パネルクイズアタック25』の司会を務められ、当社とは実にご縁の深い俳優さん。一昨年77歳でお亡くなりになる直前まで、2週に一度の収録のため40年近くの間ABC通いを続けておられました。上品なルックスと端正な演技で晩年まで多忙を極めた俳優としての顔、こよなく本を愛した書評家としての顔に加え、もうひとつ持っておられた顔が、『切り絵作者』でした。大好きだった海外への旅などで収集された外国の雑誌・新聞などの切り抜きを貼り合わせた独特の作風で、温かくユーモラスな肖像画などを数多く生み出してこられたのです ■その素敵な作品たちが、ABCホールに一堂に会しているんですね。先述の通り、「切り絵」というより「貼り絵」ですので、多種多様な紙の持つ質感、立体感などを、肉眼で間近に楽しんでいただけます。季節にちなんで、来年・2014年のカレンダーも発売していましてこれが大好評!売り切れるまでに是非お越しください。館内には、「アタック25」のセットの一部や児玉さんの等身大パネル、クリスマスツリーなども飾られて雰囲気も素敵です■ABCホールの真南、堂島川の川面ではいま巨大なラバーダックがお出迎え中。夜になると、噴水とライトアップのショーが始まります。それとご覧の通り、リバーデッキには、小型のアヒルも3羽やってきています。何かと楽しい、ほたるまち、ABC界隈へ是非お越しください■この展覧会は今日からたった3日間です、お見逃しなきよう!(艦長)
児玉清 切り絵原画展
12月16日(月)~18日(水)
11:00~20:00 (最終入場19:30)
当日券 600円 (保護者同伴の未就学児は無料)
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- 2013年12月16日月曜日
■イキウメご一行様、今朝小屋入りされ、『片鱗』明日初日です■只今仕込真っ最中。楽屋の前に東京公演の劇評が張り出されていますが、いやー、いつも以上に高評価な感じです■日常生活の中に知らぬ間に紛れ込んでくる禍々しい何か。イキウメの舞台にはしばしばホラーな空気が漂いますが、それは、悪事をなした人を惨禍が襲う、という因果律の外にあります。恐怖というより、理由のはっきりしない不安からいつまでも解放されない感じ。やだなあ。でも観終わるといつも不思議なカタルシスを感じてしまうのです■今回の『片鱗』は、2015年春の閉館が決定し東京の演劇ファンを嘆かせている、青山円形劇場という素敵な劇場をまず想定して演出されています。ここで、先週末まで18回上演されてきました。円形劇場ならではの俳優と観客の距離感、関係性が一層この作品の不気味さを際立てたという声も聞きます■ABCホールでは、残念ながら360度客席に囲まれた円形舞台は作れません。いや出来なくはないのですが、収容人数がすごく少なくなってしまうのです。でも、ご来場いただくと分かりますが、普段とは全く違う雰囲気の劇場空間が作り上げられつつあります。もちろん、ABCホール用の演出アレンジもばっちりのはず■きっと何かの"片鱗"を感じることが出来ることでしょう。是非ぜひご来場ください、お待ちしています!(艦長)
イキウメ 『片鱗』 作・演出 前川 知大
11月29日(金) 19:00
30日(土) 13:00 18:00
12月 1日(日) 13:00
※当日券は開演1時間前から発売
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- 2013年11月29日金曜日
■本日3本目のブログで恐縮ですが、山田ジャパン『ブルーギルの計画』、明日初日です■実は・・・山田ジャパンさん、僕観たことないんです。昨年も、『盗聴少年』という作品をもって大阪のHEP HALLに来られているんですが、見逃してしまいました。残念!■実は・・・正直に云うと昨年はチラシのイラストレーションにちょっとひいてしまったのです。自室の暗がりの中で両耳を手で押さえる暗い目をした少年のアップ。何かの音から耳を塞いでいるのか?掌の下にはヘッドフォンが隠れているのか?とにかく、不気味な何かを感じさせる画です■でも山田ジャパン、実はコメディ集団だったんですよね。僕、三度の飯よりコメディが好き、いやそれでは死んでしまうので、『三度の飯を二度にしてもいいから、その時間に何か笑えるものを観ていたい!』くらいにはコメディ好きなので、後でとても悔しい思いをしたのです。ご覧のとおり今回もチラシの迫力は中々のものです。漫画調のイラストですが、いかにも寓意に満ちた暗い画調。ネットを徘徊していて得た情報ですが、毎回山田ジャパンのチラシイラストを担当しておられる漫画家の東京キリマンジャロさんは、山田ジャパンの主宰・山田能龍さんの芸人時代の元相方さんなのだとか。なるほどー■『下品だけれど哲学的』で、『とにかく笑える、切なくて、泣ける』。設定の妙で笑わせるシチュエーションコメディではなく、人間の情念や存在そのもののおかしさ・哀しさを、役者のダイナミックな演技で笑いに昇華する演劇であるはずです■出演者もすごくて、TVバラエティで大活躍中の芸人・いとうあさこさんが意外にもこの劇団のメンバーで看板女優!他にも劇団メンバーにはお笑い芸人さんや元芸人さんが多く、笑いについてのポテンシャルは保証付き!ゲストには、ヨーロッパ企画の土佐和成さん、劇団鹿殺しの傳田うにさん、あやまんJAPANのあやまん監督など個性も破壊力も強烈な人たちが出演。『ブルーギルの計画』、明日から5回です!(艦長)
山田ジャパン 『ブルーギルの計画』 作・演出 山田能龍
11月21日(木) 19:00
22日(金) 19:00
23日(土) 14:00 19:00
24日(日) 15:00
※当日券は、開演1時間前から発売
※上演時間は約1時間50分です
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- 2013年11月21日木曜日