一陣の風が雨を予感させるある日、渡辺小五郎(東山紀之)の前に、安倍川の仙吉(高橋英樹)が現れる。かつて、小五郎が仙吉の弟・弥勒坊燕斎を斬って以来の因縁だった(『必殺仕事人2012』)。仙吉は不敵な表情で言い放つ。
「もうすぐこの江戸の町はえれぇ騒ぎになる。そんときゃあ、渡辺さん、あんたもいよいよ打ち首獄門、晒し首だ」
その不気味な忠告が暗示するのは、江戸幕府で企てられる陰謀だった。開国を熱望する若き老中・加門橋ノ介(岡田義徳)は、側用人の中之島頼政(中村梅雀)の後押しを受けて、海外諸国から視察団を招こうと画策していたが、その裏にはこれを機に、賭場や夜鷹など江戸の町の暗部を徹底的に「大掃除」しようという狙いが隠されていたのだった。
その頃、経師屋の涼次(松岡昌宏)は、とある田舎の村にいた。知り合った坊主の隆斎(永島敏行)から、井戸をめぐって対立する村人たちの仲裁を頼まれ、寺に居候していたのだ。隆斎や、寺の後継ぎの隆生(知念侑李)、恋人のおつう(佐々木希)らに囲まれ、穏やかな時間を過ごす涼次。しかし、思わぬ事件が起き、追われるように江戸の町へ戻ることになってしまう。
一方、小五郎ら同心たちが勤める本町奉行所では、幕府からの通達を受けた与力の増村倫太郎(生瀬勝久)が慌てていた。頼み料と引き換えにかたき討ちや復讐を代行する「仇討ち屋」を、幕府が認可したのだ。しかも、いち早く開業したのが、あの仙吉だった。幕府公認の仕事人とも言うべき存在の出現に、仙吉と親しかったお菊(和久井映見)も動揺する。
そんななか、隆生がおつうとともに、江戸にやってきた。新しい暮らしを始める決意にあふれるおつうだが、隆生の胸中には、秘めた思いがあった・・・・・・。
騒乱に揺れる江戸の町に、新たな仕事人が誕生する!