スタッフブログ
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スタッフの雑記

真夏のパワフルアート

■内緒ですが、昼間ちょっと中之島の国立国際美術館に行ってきました。現在、2つのフロアで別々の展示をしているのですが、まずは『横尾忠則全ポスター』展に■いや、ただただその量に圧倒されます。個々の作品のパワーがすごいのに、それが約800点も、いくつもの展示室の壁を文字通り覆うように掲げられているのです。なにせ60年にわたる創作活動を通じた《全ポスター》と謳われているのですから大変です。一枚一枚丁寧に観ていたらなんかひどく疲れるような気がしたので、意識的に『作品群』としての鑑賞モードに切り替えていたのですが、それにしても強烈!■横尾さんといえば、僕はやはり状況劇場や天井桟敷などのアングラ第一世代の劇団の公演ポスターを真っ先に思い浮かべてしまいますねー。京都・下鴨神社の糺の森に出現した赤テントで生まれて初めて観た、状況劇場『腰巻お仙』のポスターを見つけたときには感激!また、デビュー直後の1950年代には、劇団民藝などの新劇や、松竹新喜劇のポスターも手がけておられるのには驚きました■もうひとつのフロアで催されている『束芋』さんという女性アーティストのインスタレーション展も面白かった!■国立国際美術館は、ABCホールから堂島川沿いの気持ちのよいプロムナードを歩いて10分ちょっとの距離なので(この炎天下はちょっと大変ですが)、ホールでの舞台鑑賞と合わせて、『真夏の大阪・水辺のアート体験』、お勧めです! どくろ3.jpg

■さて、あさの@しょーいち堂、本日小屋入りです。一昨年、杮落とし間もない当ホールで第1作が上演された『どくろ』シリーズ、昨夏『2』が上演され、今回最終章を迎えます。題して『どくろ3《完結編》パンドラの匣(はこ)』。多彩な出演者に日替わりゲストも迎えて、いよいよ明日初日です。純白・長袴の学ラン姿で大暴れする、十兵衛最後の雄姿をぜひ!

あさの@しょーいち堂プレゼンツ!

どくろ3《完結編》パンドラの匣

8月6日(金)          19:00  

   7日(土)  13:00  18:00

   8日(日)   15:00

 

★日替わりゲスト

 8/6・・・わかぎゑふ   8/7・・・いがわゆり蚊(13:00)・朝おき太(18:00)   8/8・・・お~い!久馬

 

★当日券は開演1時間前より発売

感服

■このところ週3くらいのペースで演劇鑑賞をしていて、まあ楽しんだり感心したりガッカリしたりしているわけなんですが、先日、演劇じゃないですけど、エライモノを観てしまいました■本当に遅ればせながらで恐縮ですが、アニメ『トイ・ストーリー』(1995)です。公開中の『3』を観る前にまず、と思って1作目のDVDを借りたんですが・・・すごいじゃないですか!なんで15年間誰も教えてくれなかったんだ!友だち少ないからなあ・・・■日本でのセルビデオの出荷本数が190万本!とのことですから大抵の方はご存知なんでしょうが、まったく恐ろしく完成度の高い作品ですね。たった80分ほどの本編の中に、ファンタジー、ミュージカル、スラップスティック、カーアクション、ホラー・・・あらゆる映画的エンターテインメントの要素がぎっしり詰まっています■中でもウッディとバズという2人の主人公のバディ・ムービーとしての描写が素晴らしい。《いがみ合っていた2人が共通の目的のために協力しあい次第に友情が芽生えていく・・・》という黄金のパターンが、ストーリーの縦糸として全編を貫きます。手に汗握るクライマックスでは、ちょっと露骨な伏線に思えたある小道具による問題解決策があっさり裏切られ、そして鮮やかにもうひとつの伏線が回収される・・・もう見事としかいいようがありません■しかも、レンタルショップのサービス期間中で、なんとDVDが1週間で百円。うーん、百円でこんなもの観られちゃったら、しかも、すべてコンピューターで描かれたキャラクターたちにあれだけ心躍らされちゃったら、何だかつらいよなあ・・・一人の役者として■役者じゃねーよ!(艦長)

 

喪失

■ワールドカップの行方も、参院選の結果も、今日はちょっとどうでもいい感じ。

つかこうへいさんが亡くなられたことを知って、ショックです・・・

■今年初めにガンであることを公表され、以来メディアには一切露出がなく、夏の大作舞台『広島に原爆を落とす日』の演出も別の方がされるのを知って、ずっと不安を抱き続けていたのです。少し前、ABCホールで「北区つかこうへい劇団」の公演をやらないかというお話もあったのですが、ツアーそのものがとりやめになった由。 すでに健康上の問題があったのかもしれません■個人的な話で恐縮ですが、つかさんがいなければ、いま僕は100%艦長ではないのです。18歳・高3の冬につか作品に出会うことがなければ、全く別の人生を歩んでいたはずなので・・・。 合掌

(やったぜ!)

■昨夜は珍しく早く帰宅し、ゴハンを食べ終わって、9時台のサスペンスドラマを見ていたのです。最近堅実に視聴率を稼いでいるこの種のドラマを、たまにはちゃんと見てみようなどと思って。ところが僕、冒頭のシーンでたちまちこの作品のトリコになってしまいました■・・・夜明け前。ある部屋に男が一人忍び込んできます。彼は首尾よくあるモノを見つけだし、それを目の前にかざしてマグライトの光で中身を確認すると、小さく、しかしハッキリ叫ぶのです。『やったぜ!これさえあれば!』・・・と次の瞬間、暗闇で何者かのナイフが一閃し、男は死んでしまいます。そしてカットは変わり、朝の訪れと共に警察の現場検証が始まっている・・・という、まあ定番の出だしなわけですが■食いついてしまったのは、何といっても元小劇場界のスターだった俳優さんが演じる、侵入者にして被害者となる男の台詞ですね。わざわざ黒ずくめの服を着て抜き足差し足で忍び込んでおいて、『そんな独りごと言うかっ!』・・・と突っ込みそうなところなんですが、そう思ったのではありません■なるほどこれがゴールデンのテレビなんだな、と。脚本家さんも演出スタッフも、そういうツッコミが入るのは百も承知のはずで、『でもこれが必要なんだ』と確信して男にしゃべらせているのです。現に、洗い物をしながら、さらにインターネットの将棋中継も気になりながらテレビを見ていた僕が、一瞬にして物語の設定を理解してしまったわけで・・・■『彼は悪い奴だけど犯罪のプロではない。依頼された盗みではなく、換金するためでもなく、自分がソレを欲していたのだ』という事情を、一言で視聴者にすり込むことに成功しています■しかし、映画だとやはりこれは少々カッコわるい演出ですよね。暗闇の中で椅子に固定され、画面に集中することを義務づけられている観客、何よりその作品を観るために自ら千数百円を出費している観客に対して、過剰な説明は時に冒涜行為です■俳優の仕草、表情、台詞回し、挿入されるモノや風景のカット・・・その他全ての情報から、物語の輪郭、作品の肌触りを徐々に感じとっていくことが映画を観る喜びだったりするからです。そういう読み取りを助けるために映画にはクローズアップという技法があるのです。テレビ画面ではせいぜい実物大ですが、スクリーンで長さ数メートルもの悪漢の顔が『やったぜ!』などとつぶやけば、それは滑稽でしょう■・・・なんてね、そんなことを考えながら、洗い物も終わった後半はドラマに集中していたのです。犯人探しの推理には二重のミス・ディレクションが仕掛けられていて、紆余曲折の後、ようやく最後に事件の真相が判明します。私が本当にアリっ?と思ったのはドラマの終盤、真犯人が供述を始めてからなんですが・・・まあその話はやめておきましょう■ところでこの『やったぜ!』、舞台だとどうなんでしょう?暗闇、座席に固定、能動的、という点では映画と同じですが、舞台にはアップはありません。小さなABCホールだって、幅10メートルほどの舞台が常に観客の視野に入っているわけで、もっと大きな劇場ではなおさら俳優の表情だけでは伝わりにくい場合もあるでしょう。だから、舞台では舞台独特の演技術が進化し、そこに音響や照明などの助けが加わって、そのあたりを描写していくわけです■真正面を向いて台詞を言う(歌舞伎の見得のように)、人物の心の動きと共に照明が変化する、なんてことはテレビや映画では通常ありえない■つまり、テレビ、映画、舞台では、作り手と観客が共有しているリアリティの次元・・・『本当らしく見せる―感じる』上での約束事・・・がそれぞれ異なるのですね■まあ僕は芝居のストーリーの理解力が極端に低いので、時と場合にもよりますが個人的には、『大事なことは台詞でハッキリ言って欲しいな』と思ったりもしますけど。ひとこと聞き逃すとオハナシが分からなくなる演劇(結構よくあるんですよ)って苦手。駄目かなあ・・・(艦長)

■さてABCホール、本日は、独自の演技術(?)で90年代の関西小劇場シーンを駆け抜けた美女劇団、現在はアラフォー女性劇団、kochoさんの小屋入りです。『文化でドゥヴィドゥバ』というちょっと不思議なタイトルの作品ですが、この『文化』って、『文化住宅』の文化なのだそう。伊藤えん魔氏はじめ賑やかな客演陣、美津乃あわさんなどの日替わりゲストも交えて、果たしてどんな舞台になるのでしょうか・・・!?

kocho.JPG劇団kochoプロデュース公演

 『文化でドゥヴィドゥバ』

7月  9日(金)     19:30

    10日(土)  14:00

    11日(日)  14:00

 ★当日券は開演1時間前より発売です

ナウシカなう

■今日は、来月発売される『風の谷のナウシカ』Blu-ray版の特別試写会です■宮崎アニメの原点ともいわれる名作ですね。試しにウィキペディアの『風の・・・』の項をぞいてみたら、その記述の長いこと長いこと。それだけ多くの人に愛され、語られ、影響を与えた作品だというわけです。僕もレーザーディスク版を持っています(再生機はとっくに処分してしまったので無用の平物ですが)。確か当時LDって1作品1万円くらいしたと思うのですが、御多分にもれずというか、それを買うくらいのナウシカ熱はあったわけです■なのに、実は不思議なことに作品を通して鑑賞した記憶がないんです。素晴らしいシーンの断片的な記憶はあるんだけど、結局どんな話かよく知らない。当時は子供が小さくて、落ち着いてビデオ鑑賞できるような生活環境ではなかったのですが、それにしても・・・。実は、なんか気圧される感じがするんですよね、宮崎アニメって。そのせいか、見るのに強い意志が要るんです僕の場合。なんでかなー?■・・・しかしうん、先ほど映写テストをされているのをチラ見しましたが、とても四半世紀前の作品とは思えない大迫力です。・・・さすが!

■(艦長のつぶやき)・・・最近『なう』を使った小劇場ギャグが多いなあ。消費期限はまもなくです!

THE虎舞竜ではなく

■『ザ・ロード』というアメリカ映画が今週末封切られます■先日映画館の予告編でそれを知って、僕とっても不思議な気分でいるんですね。え?『ザ・ロード』、もう観たんじゃなかったっけ?・・・そんな気がして仕方なかったのです。2年前、どこかの書評で絶賛されていたので、原作の同名小説(無論邦訳)は読んだんです。で、そのあと映画も観たと思っていたのです■しかし原作がアメリカで出版されたのが2006年、邦訳が2008年、映画化が2009年。そして今週日本で初公開・・・。おかしいなぁ。ヘンだなぁ。観られるはずがない■考えられるのはただひとつ。小説の描写が非常に映像的で、あたかも映画を観たかのような形で記憶してたということ。無理してイマ風に云えば、文字情報が脳内で映像情報に変換され、それが動画ファイルみたいな形でメモリーされていたという・・・■物語は実にシンプル。一言で云えば、破滅した世界の荒野を、父と息子が南に向かって歩いている、というお話です。いわゆる『終末後の世界モノ』ですね。理由は定かではないが殆どの生物が死滅し、わずかに生き残った人類も理性を失った暴徒となっている、という絶望的な世界。その中で、以前の幸福な時代も知る父と、この暗黒しか知らない息子とが交わす会話の数々が感動的なんですが・・・■僕が映像として記憶しているのは、何といってもスーパーマーケットのカートなんですね。道中で見つけた貴重な食料や生活必需品を一台のカートに積み込み、それを押しながら二人は旅をしているのです。かつては都市と都市を結ぶ雄大なフリーウェイだった荒涼たる一本道。地平線の彼方へと続くその道をトボトボ進む、父と子とカート。そう、『子連れ狼』ですね、まさに■最近の小説、特にホラー・ミステリー・冒険小説などのエンターテインメント系の小説は、意識的か否かはともかく非常に映像的に描写されることが多い。幼い頃から映像に囲まれて育った作者なら、頭の中に映像が浮かびそれを文字に起こす、なんていう執筆法もあるでしょう。出版すれば必ず映像化の話が舞い込むような大作家(スティーヴン・キングのような?)なら、「どうせなら自分のイメージどおりに映像化してほしいし」という理由で、最初から映像スタッフ用にわかりやすい描写をしたりするんじゃないか、とも勘繰ってしまいます■ともあれ、映像の発達は文学にも大きな影響を与えます。本を読む人は減り、『面白い物語』は、小説からではなく、映画やマンガやRPGからしか体験しない、という人が増えています■でも、どんな世の中になっても、緻密に構成された面白い物語の原点は文字にあると思うのです。話題に乗り遅れまいと読む『1Q84』だけじゃなく、もっと物語が読まれればいいのに、と思います■『ザ・ロード』、映画は未見ですが、とりあえず原作は素晴らしいです!(艦長)

あめつちのまことのことわり

■雨の日曜日です■そういえば、天地真理さんがその人気のピークにおられた頃に、『ふたりの日曜日』というヒット曲がありました。指折り数えて待った日曜日の朝、バスに乗ってあなたの住む町に向かう・・・という、彼女らしいハッピーな内容の歌です。当時思春期ど真ん中だった私は、サビの歌詞『♪・・・あーなたーのこーとばーかりよー』のところで、マイクを両手に握った真理ちゃんがリズムに合わせて顔を水平に振り、カメラ目線を繰り返すたびに(たしか、「あ」と「こ」と「り」でカメラを見つめる)、『この世界にこんなカワイイ女の人がいるんだー!』とテレビを見ながら毎回本気で思っていました■一時期バラエティ番組でプチ再ブレイクしておられましたが、今どうしておられるのでしょうか?(来年還暦みたいですね・・・うう)

■さてちょっと陰気な雨の日曜日です。その上私、個人的にちょっとイザコザを抱えていたりなんかして一層・・・。ババロワーズさんの14時からの千秋楽公演を拝見する予定なのですが、『果たして演劇は一人の男を救済出来るのか?』・・・まもなく大いなる人体実験の開始でございます(艦長何云ってんだか)

ゼタビットて!・・・(承前)

■歌舞伎、講談、シェイクスピアなどの作品を、漫才やコントの題材にする・・・現代ではちょっと考えられない話です。恥ずかしながら僕も、曽我物語やハムレットのあらすじは話せません■簡単に云ってしまえば、時代が下がるにつれて流通する情報の量、一人の人間が処理していかなければならない情報の量が飛躍的に増大してきた。その情報の大海の中で、個人それぞれに記憶に残る番組や音楽や小説やマンガがあり、世代や境遇を同じくしない限りそれらの共通体験を持ちにくい。その上『古典』と呼ばれるジャンルまではとても手が回らない・・・ということなのでしょう■どんなに景気が悪くても、流通する情報の量はウナギ上りです。いやウナギなどというアナログな表現ではとても支えきれない情報爆発の時代です■ではさて、その情報量の増加という現象を、例えばGDPの変化のように数値で表現することが出来るのでしょうか?・・・いやぁ、日本の官庁はすごい!これがちゃんと行われてるんですねー■総務省の『平成18年度情報流通センサス報告書』というリポートがあります。センサスっていうのは国勢調査ですから、つまり日本でどんな情報がどれだけ流れているかの、国による調査報告書ですね。それによると、平成18年度(2006年度)に《テレビ、ラジオ、書籍、ネットなどを通じて消費者が選択可能な形で提供された情報量》=『選択可能情報量』は、10年前(平成8年度・1996年度)の、530倍!だったそうです。わお■情報量の計量化(活字、電波、ネット全部ひっくるめて)なんてどう考えてもむちゃくちゃ難しい作業ですが、この驚くべき増加率は、『情報氾濫時代』の象徴としていろんなところで紹介されたようです■その後、この計量の方法や指標については再検討が加えられ、変化するメディア状況に合致させるべく改正されました。その結果、昨年出された『情報流通インデックス研究会報告書』によると、こんなことになっているそうです。

平成19年度の  流通情報量は 5.99×10の21乗 ビット(約6ゼタビット)

          消費情報量は 2.96×10の17乗 ビット(約300ペタビット)

                (1ゼタビット=100万ペタビット=10億テラビット)

■簡単いうと、《流通情報量》は日本中に1年間に(垂れ)流されている情報量。 《消費情報量》は実際に人に認知された情報量。

■これね、計算方法が面白い。消費情報量の計算でいうと、

  ・本とかネットとか、目から入ってくる視覚情報は一律、      223bps

  ・ラジオ、電話、音楽など聴覚情報は一律、              105bps

  ・テレビやゲームなどは視覚・聴覚両方なので、  223+108=328bps

■この基礎数値の設定には認知心理学の知見が根拠とされているとのことで、その点も興味深いのですが、つまり、1人の人間はテレビから1秒間に328ビットの情報を認知する。これに、日本人全員(5歳以上)の1年間のテレビ総視聴時間を掛けると、日本における1年間の《消費情報量テレビ部門》が算出される、ということですね。こうやって、あらゆる媒体の情報量を合計して研究リポートをまとめるわけなんですが・・・■なんだかパロディについて考えるよりも、この研究の仕組みの方が面白くなってきました・・・(艦長@ちょっとおヒマ)

パロディについて

■先日、あるラジオ番組にコメディ界のベテラン俳優さんが出ておられて、現代が『パロディの成立しにくい時代』だと嘆いておられました■なるほど、そうかもしれません。パロディというのは一般に、ある先行作品のスタイルや内容を真似しつつ、中身を面白く作り変えたもの。単に洒落ていたり面白ければいい、というジャンルもあれば、必ず批評・風刺の精神に基づいていなければ、という考え方もありますが、まぁそこに話を突っ込むと芸術論なっちゃうのでさておき・・・いずれにせよパロディを楽しむために必須なのは元ネタに関する知識です■そう云えば、僕が子供の頃のテレビのお笑い番組には、『金色夜叉』、『君の名は』、『忠臣蔵』など、小説、映画、舞台などで有名な作品のパロディコントが氾濫していました。今、これらのコントが若い人に受け入れられるでしょうか?面白い・面白くない以前に、前提となる知識が共有されていないため、作品として成立しえないのではないでしょうか?■さて、「漫才の神様」的存在、夢路いとし・喜味こいしのご両人には、繰り返し演じられた数多くの名作漫才があります。いくつかその題名を拾ってみると、おなじみの『お笑い交通巡査』などに混じって、『ファーストフード初体験』、『我が家の湾岸戦争』、『地球にやさしい男』など、大御所になっても時事ネタや社会現象を扱ったネタに挑戦し続けてこられたお二人の姿勢に頭が下がるわけなのですが...■今日注目してみたいのはそこではなくて、『恋愛勧進帳』、『ぽんぽん講談』などの作品です。前者は歌舞伎十八番の一つ『勧進帳』を下敷きにしたネタ、後者は、講談『曽我物語』の語りと、合間に入る張り扇(ぽんぽん)の掛け合いで大爆笑必至の漫才です。つまり、数十年前まで日本では、"大衆"芸能の極ともいえる漫才で、歌舞伎や講談のパロディが受け入れられたということです■いとこい先生といえば、もっとすごい体験があります■7、8年前でしょうか、僕を含むチームで、蜷川幸雄演出『ハムレット』の舞台のメイキング番組を作ることになったのです。『うーん、メイキングだけじゃ持たないしなあ・・・今の人はハムレットって云ったって題名は知ってても中身はなかなか知らないだろうし、ストーリー説明をなにか面白い方法で出来ないかなあ・・・?』と考えた僕たちは、会議の結果(たしか主に僕の意見で)、落語、狂言、漫才という3つの上方芸能のプロフェッショナルにお願いして、3分割で『ハムレット』のストーリーを面白おかしく概説してもらう!、という暴挙に出たのです■落語は桂小米朝(現・米團治)さん、狂言は茂山家若手の皆さん、そして漫才は夢路いとし・喜味こいしのご両人。この試みが番組的に成功したかはともかく(汗)、驚いたのは、僕が打合せのためにいとこい先生の楽屋を訪れたときのこと・・・

僕   『実は、ハムレットを漫才でやっていただきたいんですが...』

こいし 『それやったら昔、僕らやってたで』

僕 『え!?』・・・その後こいし先生は、身振り手振りつきで、「俺が、『おのれレアティーズ!』とこうやったら、兄貴がこうきてナ・・・」などと、かつての持ちネタ『お笑いハムレット』(?)のさわりを披露してくださったのです。最後はハム(レット)と敵役の(レア)チーズの洒落で落とすようなハナシだったんですが・・・■つまり驚愕したのはこういうことです。かつての日本人、それも一部のインテリ層ではなく漫才を愛するごく普通の庶民は、歌舞伎や講談の名作同様、シェイクスピアの代表作のあらすじと主要登場人物くらいは知ってた!少なくともそれ前提でパロディ漫才が作れた!ということなんです■(この項続く...艦長)

派手と地味について

らん.JPG胡蝶蘭の花に薔薇のプリント・・・ゴージャスです!

先週のよしもとの芸人さんたちによるお芝居『キャバレー哀歌』の出演者の方に、ご贔屓筋から届けられたお祝い花です。この過剰な感じ、大阪やなあ・・・

■今日は話題の北野武映画『アウトレイジ』の試写会です。すごい作品らしいですね!

■そういえば・・・今から約10年前のこと。東京・渋谷の街を歩いていたら、僕の少し前方を、特徴的なヘアスタイルをした、どこかで見たことのある中年男性が歩いているのに気づきました。NHK(当時)の池上彰さんでした■子供向けのニュース番組の司会で、その頃からそれなりに人気のある方ではありましたが、『地味な人だなあ・・・』と思ったのを何故かよく覚えています。僕はビートたけしさん司会の番組の収録のためにスタジオに向かっているところだったので、ちょっとテンションが高まっていたせいかもしれません。その力の抜け方というか、普通さ加減が妙に印象に残っているのです。『ま、NHKの記者さんやもんなぁ。アナウンサーでもないし・・・』■それがどうでしょう。今や、その池上さんがわかりやすく世の中の出来事を解説する番組が、木村さんも、明石家さんも、ビートさんも差しおいて、1週間の全ての番組の中で視聴率1位を獲得する時代になりました!なんだかすごい。今、視聴者のニーズはそこにあるのか・・・■池上彰さんの知識の広範さ、説明能力の高さは確かにすごいと思うのですが、やっておられることは本質的に『こどもニュース』と変わりません。あの時代からすでに、子供向けに見せかけて実は大人向けに『今さら人に聞けない』ことを解説してくれる人だった、ともいえるわけですが・・・■やっぱりすごいと思うな、うん。何がかはうまく云えないけれど、、、(艦長)

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