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小屋入り!

ABCホールプロデュース公演第5弾『だーてぃーびー~汚れたテレビ~』、いよいよ初日まであと2日となりました■今日はいわゆる「小屋入り」の日です。まあ、空いている日はホールで稽古していたので「入り」という感覚は薄いですがそれでもやはり身の引き締まる思いがします。いま舞台の上には、大阪のテレビ局・DTVの人気ワイドショー『土橋雄太の夕方ゆうたったー』のセットが建て込まれています。まるでテレビ局みたい。ていうか、テレビ局やんここ■そうなんです!そこが今回の企画の面白いところ。そして艦長がちょっとヒヤヒヤしているところ(笑)。ともかく、どうやら明後日から5日間限定で放送(?)される『夕方ゆうたったー』、放送中にどえらいことが起こるらしいですよ!テレビと正しく付き合うためにもぜひ観てほしい『だーてぃーびー』、残席わずかです■チケット情報は下記!(艦長)


8/18(木)19:30
8/19(金)19:30
8/20(土)17:00
8/21(日)15:00  
  以上の回、前売券は完売しています。当日券は毎回若干枚発売されます。
  開演45分前より受付開始です。

8/22(月)15:00
  ご予約可能です。
 
8/22(月)19:00
  ご予約可能です。残席そんなに多くありません。
                             
以上よろしくお願い致します。
  

『だーてぃーびー』は観ないとマズいと思う

■夏を制する者は・・・なんて昔云いましたよね、今でも云うのかな?周りに受験生やその関係者がいなくてさっぱり分からない。そもそも受験とか大学とかって今でもあるの?そういえば現在私立大学に入学する人の過半数はいわゆる「入試」以外の方法で入るんだって読んだことあるなあ。40度に達する勢いの猛暑ではないけど、今年の夏はひと際こたえます。認めたくないけど年のせいかなあ・・・。なんて、よしなしごとならいくらでも書き連ねてしまいますがそんな場合ではない!この夏を制するのに、絶対必要なのはこれを観ること。

■『だーてぃーびー』初日まで2週間を切りました!もちろん台本は完成済み!後藤ひろひと久々の新作はめちゃくちゃ凄いことになりそう。掟破りの面白さです。今日は、内容と各出演者の役柄を具体的に、ネタバレ寸前まで書いてしまいましょう。
■舞台となるのは、大阪にある架空のテレビ局、DTV。夕方の生情報帯番組『土橋雄太の夕方ゆうたったー』は毎日高視聴率を誇る人気番組です。今日もまもなく番組スタート、ということで、スタジオに次々とスタッフ・キャストが集まってきます。一人ずつ、ほぼ登場順にご紹介しましょう。
datv02.jpg★アシスタント・ディレクター・由利・・・近藤貴嗣(ビーフケーキ)
★ディレクター・中内・・・橋田雄一郎(転球劇場)
★番組アシスタント(局アナ)吉永みら・・・小塚舞子
★気象予報士・嘉手苅・・・竹下健人(劇団Patch)
★コメンテーター(国際弁護士)・小野京子・・・楠見薫
★コメンテーター(推理作家)・滝沢良兼・・・川下大洋(Piper)
★滝沢のマネージャー・今井・・・満腹満(THE ROB CARLTON)
まずはこんな面々。みらは独立の相談をこっそり小野弁護士に持ちかけ、嘉手苅(かでかる)は「抱かれたい気象予報士No.1」になりたくて仕方なく、今井はなんとかテレビ出演に漕ぎつけた滝沢をどうしても売り出したい。そんな小さな野望渦巻くスタジオに登場するのが
★メイン司会者・土橋(どばし)雄太・・・黒田有(メッセンジャー)
この土橋、司会者としての腕は抜群なのだけれど、どうやら周りの人間からの評判は良くない様子。長年共に仕事をしてきた中内だけはいつも通り彼を盛り上げるべく必死ですが、この日は特に空気がおかしい。不慣れな初登場の作家がいたり、まだ到着していない出演者がいたり、何かと不穏なムードをたたえたまま本番の時刻が近づきます。・・・そして、開始ギリギリにやって来るのがこの男!
★コメンテーター・羽曳野の伊藤・・・久保田浩
一体誰?コノオッサン!?・・・この場面、ひょっとすると演劇の歴史において記念すべき瞬間なのかもしれません。黒田有と小塚舞子が仕切るテレビの世界に、何と小劇場界のレジェンド・羽曳野の伊藤が侵入してくる。電波vs.電波系の対決です!(多くの方にとって全く意味不明の記述かと思いますが、それはあなたのこれまでの人生が正しかったということです。しかし、『だーてぃーびー』を観てしまえば、その瞬間にあなたは、「伊藤を知らない人生」から「知ってしまった人生」に否応なく引きずり込まれるのです。申し訳ありません)
■けれどその直後、それどころではない大ニュースが、『ゆうたったー』のスタジオに飛び込んできます。それは、テレビ界を揺るがすような大事件。しかし、ひょっとすると『ゆうたったー』にとっては大きな「朗報」となりうる事態かもしれない・・・。舞い上がるスタッフやレギュラー陣。しかし、土橋だけは、喜べないある事情があった・・・■各人各様の思惑が絡み合う中、まさにショー・マスト・ゴーオンで番組は、そしてお芝居は進みます。いかにもワイドショーっぽいニュースを消化する中で、テレビ初出演の滝沢と伊藤を軸にさまざまなトラブルが続出。「テレビ生放送あるある」ギャグがいっぱい出てきます。ここは、お客様に気楽に楽しんでいただけるところ■しかしこの作品、そうそう気楽には笑っていられない部分にも踏み込みます。それは、娯楽の王様として半世紀以上君臨してきた巨大メディア『テレビ』の本質にも関わる問題だったりして・・・■劇の内容にはこれ以上踏み込めないので理屈っぽいお話になりますが、この作品は、僕の気持としては、『演劇を通じてのメディア・リテラシー向上の取り組み』です。つまり、テレビからの情報を無批判に鵜呑みにすることなく、テレビの特性(いい面も悪い面も)を理解して接してほしい、という、大袈裟にいえば啓発運動なのです。ですから、可能性としての≪テレビの裏側≫≪ダーティーな部分≫、が誇張され、喜劇化されて描かれます■しかし!(これは当初今回の企画の狙い目でもあったのですが)テレビ局の中にある劇場で、テレビの生放送を完全リアルタイムで、しかも実際この種の番組に出演しているタレントさんに演じてもらうと、怖いくらいのリアリティが出てしまう。怖いというのは比喩ではなく、艦長、本当に少し怖かったりしています(笑)■ま、とにかく、この芝居、絶対観てください。テレビも、演劇も、世界も、まだまだ捨てたもんじゃない。・・・そう感じてもらえると思います。あ、云い忘れていましたが、作・演出の後藤ひろひと氏ももちろん出演します。「作家」として・・・■テレビ界、お笑い界、演劇界からの精鋭キャストを操り、またまた大問題作を世に送り出してしまった大王の、エンディングのメッセージ。そしてさらに訪れる驚愕の大どんでん返し(というか、オチ)、『だーてぃーびー~汚れたテレビ~』是非その目でお確かめください!いよいよ8月18日木曜から!(艦長)

本格スタートしたったー。

ABCホールプロデュース公演第5弾『だーてぃーびー 汚れたテレビ』(8/18-22)、昨日キャスト、スタッフ全員の顔合せ・本読みがありました。初日までひと月余り、いよいよ本格始動です■自他共に認める非常なサッカーファンであり、つい先日まで行われていた欧州選手権の間はフランス時間で生活していたと伝えられる大王・後藤ひろひと氏が、ちゃんと台本を書いてくるのか!?・・・直前まで実は私たちヤキモキしていたのですが、無事、顔合せの定刻にはキャストの前にコピーが並び、それを読み始めるともう・・・!大王5年ぶりの新作は、大変な作品になるに違いないと確信したのでした■川下大洋、楠見薫、久保田浩という大王ファミリーともいえる面々は初見の本読みで台詞の意図を100%汲み取って既に爆笑を誘い、小塚舞子ちゃんほかフレッシュなメンバーも、大王の明快な説明ですぐさま勘所をつかみ・・・何より、黒田有さんさすがです。最初から、この作品の舞台となるテレビ番組『夕方ゆうたったー』の司会者・土橋雄太以外の何者でもない感じ。 懇親会2.JPGというわけで、一安心すると同時に、期待は大きく膨らむのでした。 ■この本読みの様子は、7月21日(木)深夜、ABCテレビ『スタンダップ!』でちょこっと放映されます。是非ご覧ください■そして終了後はご覧の通り、ワイワイ楽しく・・・。みんなで良い作品を作りますので、チケットまだの方はお早目にお求めください!(艦長)

 

(写真)画面手前左から時計回りに、橋田雄一郎、竹下健人、小塚舞子、近藤貴嗣、満腹満、久保田浩、楠見薫、黒田有、後藤ひろひと、川下大洋

金魚と屋台と喜劇と

うわの空・藤志郎一座『ただいま!』、本日17時開演です。

 

ところでお隣の堂島リバーフォーラムさんでは現在『アートアクアリウム展~大阪・金魚の艶~&ナイトアクアリウム』が絶賛開催中(9/5まで)。映像、音楽、照明、そして水槽と金魚の美が融合した壮大・ロマンティックなアート空間です。そしてABCホールのまん前、リバーデッキでは、昨日より週末ごとに『ほたるまち夏祭ガーデン』やっとります。おいしい屋台に時々野外パフォーマンス、ですね。揚げ物、粉物、ラーメンに生ビールときたらもう堪らない!というわけで、こんな賑わい(8/14まで、週末の11:00~18:00)。
金魚観て、屋台冷やかして、17時からお江戸風爆笑コメディ見物、なんていかがですか?当日券あります。16時から受付開始です。 夏祭り.JPG

うわの空・藤志郎一座のこと

■さあー、来週はいよいよ『だーてぃーびー』稽古スタートだ!胸が高まるぞっ!・・・その前に、ABCホールであさって日曜、こっそりと1回きりの演劇公演があります。


■7月10日(日)17:00、うわの空・藤志郎一座『ただいま!』そう云えば、本欄でこの劇団のことを一度も書いてなかったなあ。関西では正直云って知名度の低い、東京を本拠地とするこの一風変わった劇団がなぜ当ホールで公演を打つことになったのか、ご説明したいと思います。

■あれは一昨年、2014年秋のある朝。私が演劇コーナーの紹介役を務めているラジオ番組『浦川泰幸の劇場に行こう!』(現在は「橋詰優子の・・・」)の録音スタジオに、当時のメインパーソナリティ・浦川アナウンサーが、やや興奮気味にやってきました。そしてこんな話をするのです■「この間、めちゃくちゃ面白いお芝居を観たんです。中崎町の狭いライブハウスみたいなところで。番組スタッフに誘われて行ったんです。うわの空・藤志郎一座って劇団なんですけど艦長知ってます?あ、知らない。とにかく凄いんです、言葉では伝えにくい面白さなんですけど、1分に1回笑えます。あんなの初めて。今度大阪に来たら絶対観てください!」■・・・現在彼がメインキャスターを務めるABCテレビの夕方のニュース番組『キャスト』をご覧の方なら想像がつくと思いますが、浦川くん、何事にも辛口で、無暗に人やモノを褒めたりしない。だからこそこれは信用できる。第一、『小さくて面白い芝居』がこの世で三番目に好きな僕ですから(上位2つは人には言えない)、これは何とかせねば!とさっそくその「うわの空・藤志郎一座」についてウェブサイトを検索したのですが・・・。わかったのはこんな事実■東京が本拠地で、座長は村木藤志郎という中年のちょっと怖い顔をしたオジサン。あとのメンバーは、会社員や漫画家や、ほかに本業を持っている人が多いみたいで、つまり座長・藤志郎さんの色が非常に濃く出た、求心力の強い劇団であるらしい。劇団名の名付け親は放送作家界の大御所・高田文夫さんで、かつて東京喜劇人の合同公演として話題を呼んだ「雲の上団五郎一座」をもじった名前。大小いろんな小屋で公演しているが、大規模な本公演は、名門・紀伊國屋ホールで行っている。大阪公演を始めたのは数年前からで、年一ペース。現時点で次回は未定。しかし、過去公演の履歴を見る限り、来年(2015年)の秋にまた大阪に来る可能性が高いぞこれは・・・■というわけで、それ以来思い出すごとにこの劇団のホームページをチェックするようになったのです。そして予想通り、ある日のHPチェックで、大阪公演の告知があったのです!場所は浦川君が目撃したのと同じ中崎町のライブハウス。日程は2015年11月14日(土)のみ。のみって!・・・。手帳を見てみるとその日は運悪く仕事。上演は昼夜2回あるのですが、律義に業務をこなすとどちらにもひっかかってしまう!■当日まで悩んだ挙句、僕は昼の部開演30分前に、伝家の必殺技『御免一寸抜ケルワ』を用いることを決断。やや首を前傾させ両掌を顔の前で合わせる独特の印を結んで職場を後にし、中崎町へと飛びました。そして目出度く、うわの空・藤志郎一座『面白半分』を鑑賞したのです■硬くて造りの悪い椅子に座らされることが多い小劇場では、長い芝居は罪だと僕は思っています。しかし僕は終演時、時計を見て驚きました。上演時間2時間25分!長い!でも感じなかった!つまりそれほど面白かった!■では、どんな作風なのかというと・・・。実は僕、話を聞いた直後に一座の過去作品のDVDを何枚か購入して、チェックはしていたのです。基本的には、いわゆるシチュエーションコメディです。家族など気心の知れた人々の集団の何気ない日常の中にひとつ、深刻な『ある事情』が隠されていて後半それが・・・みたいな。「実はロマンチスト」と自称する座長の人柄が偲ばれる、意外なほど「いいオシバイ」です■しかし!何といってもこの劇団の武器は、まるで無限に弾切れすることのない機関銃のような座長のボケです。とにかくボケまくる。自由奔放、傍若無人。言葉遊びや時事ネタ風刺や単なるおふざけや・・・他愛ないギャグをひたすらやり続けるのです。しかしここが重要なのですが、他愛ないけれどセンスはいい。『プロのオヤジギャグ』といったらいいのでしょうか。我ながらいい表現かもしれません■周囲の役者は、座長が舞台にいる間はひたすらそれのフォロー、つっこみに回り、座長がいなくなると、鬼の居ぬ間に自分もボケる、といった感じ。楽しくて飽きることがありません ただいま.jpg■そして終盤、「ある事情」が明らかになると急に切ない空気が舞台と客席に溢れ返り、あろうことか不覚にも目頭が熱くなる!なんか、悔しいけどそんな展開です■芸風はあくまで大衆的、高田先生が高評価するのもむべなるかな、なのですが、反面、いわゆる演劇評論家に称賛されるような劇団ではないはずです。しかし僕は大好き!■後日、座長に感想などを記したメールを送り、一度大阪でお会いすることになりました。僕としては単に、大阪公演を途切れることなく続けてほしいと申し上げたかったのです。そのために何かお手伝いできることがあれば、と。なにせ、僕の観た回、お客様はわずかに15人程度。キャストスタッフ合わせた人数よりきっと少ないくらい。「もう大阪は無理か」と判断されても仕方ないように思われたのです■ところがその場の話の流れで、「折角だしABCホールさんでやってみるか!」と、座長おっしゃいまして。きっと酔った勢いです。あるいは、同席していた劇団の若手女優に見栄を張ったのだと思います。冗談はさておき、相当長くなりましたが、そんなこんなの事情で、東京の劇団・うわの空・藤志郎一座の代表作『ただいま!』が当ホールで上演される運びとなりました■今回、東京公演は紀伊國屋サザンシアター(座席数468)、名古屋公演は七ツ寺共同スタジオ(名古屋アングラ界の老舗・キャパ90程度)、そして大阪がキャパ300弱のABCホールと、振れ幅の大きい巡演です。この自由な感じもこの一座らしさだな、と思えるくらいには、僕もにわかファンになりました。7月10日(日)17:00から、1回きり、当日券はたくさんあるはずです。ぜひこの独特の世界を体験してください(艦長)

7月10日(日) 17:00    (上演時間は2時間程度です)

初日!

■wonder works&TEAM O.H.S 『キダリダ』、今日初日です!東京のカンパニーの旅公演ですが、中身は完全に大阪の芝居。逆輸入といった感じです。ABCホールでは2011年に一度上演されていて今回が2度目。前に鑑賞した時、かなりの衝撃を受けた記憶があります■朝鮮半島と日本の狭間で過酷な運命に翻弄されてきた男が、生まれ育った大阪の下町に帰って来た。彼はここに辿り着くまでに、ある大きな過ちを犯していた。幼馴染やその家族は、懐かしい彼を温かく迎え入れようとするのですが・・・■在日コリアンの俳優、白国さんの体験が反映された、とても重い話です。しかし、同時にひたすら明るいお話でもあります。酒が入った親友同士の大阪弁のバカ話、これひょっとしたら人類最強のコミュニケーションかもしれないと思わせるほど強烈です。この瞬間には、国境も国籍も関係ないのに・・・、と素直に感じてしまうのです■折しも今日、EUからイギリスが離脱することが決まりました。一つになろうとしてきた欧州に、新たに大きな国境が引き直されることになります。双方言い分はあるのでしょうが、このお芝居の中で高らかに語られる『みんな地球人!』という状況からは、また遠ざかることになりました(艦長)


『キダリダ』
6月24日(金)      19:00
   25日(土) 14:00 19:00
   26日(日) 13:00

※上演時間約2時間
※当日券は開演1時間前から発売

『太陽』あす大阪初日!

イキウメ『太陽』、あす初日です■2011年に初演され、読売演劇大賞・大賞ほか多くの賞を受賞した、劇団の、そして代表で作・演出の前川知大さんの代表作です。2014年には『太陽2068』というタイトルでリライトされ、先ごろ他界された蜷川幸雄さんが演出されています。さらに、神木隆之介・門脇麦という若手実力派俳優のW主演による映画版『太陽』(監督:入江悠)が、現在まさに公開中です。と、いうわけで、文句なしの話題作。僕は初演版を当ホールで、映画版を試写で拝見しました。蜷川版はTV放映された際に録画したきりまだ・・・という状態です■余談ですが、僕はテレビで舞台中継の番組があると見境なく録画してため込む、という趣味というか本能がありまして、Betamaxに始まり、VHS、DVD、BDと三十数年以上にわたり録り続けてきた結果、その数が現在5~600。ちょっとしたコレクションです。田舎の日本家屋で梅コブ茶など飲みながら、大型モニターで毎日1本古い芝居のビデオを観る、というのが理想の最晩年なんですけど、どうなりますか■余談ついでにさっき使った舞台『中継』という言葉ですが、本来、劇場・スタジアム・事件現場など、放送局の外からリアルタイムで映像を放送局に伝送し、局が『中継ぎ』となって各家庭の受像機に届ける、という意味。だから、もともと生放送の際に使う用語です。演芸はともかく、芝居の生中継なんて今は滅多にありませんが、昔の資料を見ると、テレビ草創期においては、漫才、落語、講談、浪曲、軽演劇はもとより、新劇、歌舞伎、オペラ、能狂言でさえゴールデンアワーに生放送していたそうです■そもそも『テレ・ビジョン』とは、『遠い』+『視覚・光景』ってことで、直接目にすることはできない遥か遠方の映像を、家に居ながら目の当たりにできるというのが真骨頂です。まあ、テレビ局の開局初期はとりあえず無事に電波を送りだすのに手一杯で、自分たちで番組を全部作って番組表を埋める余裕がなかったから、いろんな『中継モノ』が多かったのかもしれません。しかし、簡単には劇場に行くことができない多くの人々のためにも、もっと演劇の番組が増えればいいのにな、と思います■ようやく本題ですが、今回の『太陽』、前述の通り、僕などが今更何も云うことのないほど、すでに各所で高い評価を得ている作品です たいよう.jpg■・・・近未来の日本。数十年前のバイオテロで恐ろしいウイルスが地球全土に拡散し、大多数の人間が死滅。わずかに生き延びた人類は、二つの種族に分かれてしまっていた。感染を免れた旧い人類と、感染した後にそれを克服する力を獲得した新しい人類。いつまでも若く強い肉体と知力を持つ、彼らの弱点はただひとつ、太陽の光を浴びると死に至る、という点。夜に生きる彼らは自らを「ノクス」と呼び、旧人類を限られた地域に隔離し、社会を支配していた。そんな暗い未来で繰り広げられる、夜と昼の間の物語■映画版は相当にダークで凄絶な描写もある作品(しかし傑作!)でしたが、イキウメの2016年アップデート版はさて?前川さんの書く台詞にいつも漂う独特のユーモアが、このディストピアSF的世界にも潤いと温もりを与えているはずです■自分ならどちらを選ぶだろう?どう生きるべきだろう?現実世界の諸問題を映す暗喩に満ちた『太陽』、すでに売り切れの回もあるようですが必見です!(艦長)


イキウメ 『太陽』  作・演出 前川知大
6月3日(金)     19:00
   4日(土) 13:00 18:00
   5日(日) 13:00 18:00

三人会。それとHP改修の件

■恒例、『かたりと落語とハーモニカ』、本番中です■山田雅人・桂む雀・三代澤康司・・・同い年で仲良しの三人が50歳になったのを記念に、還暦まで続けようと始めたこのライブ、当ホールでははや5回目。今日は桂む雀さん55歳の誕生日です。おめでとうございます!■来年もこの日に開催して、11年前脳溢血に倒れて以来懸命のリハビリを続けているむ雀さんを応援しよう、その努力する姿をお客様にも見ていただこう、とさっき決定しました。でも、僕は彼らより少々年長さんで一足早く還暦を迎えてしまったため、残念ながら来年の今日はここにいないんだなあ。ちょっとだけ淋しいです■それはそうと、6月から当ホールのホームページがお色直しして少々スリムになります。公演の情報などについては本ブログで積極的に補足していきたいと思いますので、これからもよろしくお願い致します(艦長)

近藤劇、今夜開演

L岡.jpgビーフケーキ近藤企画『L岡診療所』、今日初日です■ビーフケーキはよしもと所属のお笑いコンビ。NSC27期卒業生で、コントを専門にやっています。関西にはかなりの数の若手お笑い賞レースがありますが、ビーフケーキは「いつでもいいとこまで行くんだけど、一等賞に届かない」存在です。今までに2回、ABCホールで単独ライブを開催したことがあり、僕もその時に初めて作品を拝見したのですが、いっぺんに好きになりました。もちろんコントですからお笑いなんですが、舞台に一種の陰影、哀愁、のようなものが漂っている。関西では定番の「なんでやねん!」みたいな声を張り上げる突っ込みもなく、二人の奇妙な関係、行為がかなり演劇的に淡々と提示される・・・。すごく僕好みなのですが、正直、今のテレビのネタ番組では彼らの魅力は伝えきるのが難しいのかな、とも思います■20年ほど前でしょうか、ある落語の大師匠が、20代の千原兄弟に向かって、「あんたら面白い。面白いけど、ハリウッド映画やのうてフランス映画の面白さやねんな」とおっしゃるのを聞きました。「シングルよりアルバムが売れるタイプのミュージシャン」とも評された記憶があります。当時の千原兄弟は、センスと実力は多くの人が認めるものの、テレビの枠の中にはなかなか収まらない存在でした。僕はビーフケーキが何となく、芸風やコント師としての立ち位置において、彼らに近しいものがあると思うのです。キャラは全く違いますけど・・・■さてそんなビーフケーキでネタ作りと主にボケ役を担っている近藤貴嗣くんは、最近自らのプロデュース・作・演出で演劇公演を頻繁に行っていて、今回初めて当ホールで公演を行う運びとなりました。実は僕、前から行かねば行かねばと思いつつこの近藤芝居を拝見したことがないのですが、どうやらただの演劇ではなく大変な仕掛けがあるらしい■まず何人かの若手芸人たちが、近藤君が書いた台本をもとに稽古を重ね、一本の芝居を作ります。そして劇場に入り、いよいよ本番!・・・の約1時間前に、4人の先輩芸人が劇場にやって来るのです。「○時にABCホール入り」というだけでなにも聞かされていない彼らは、突然舞台衣裳を着せられます。依然として説明も挨拶も一切ありません。そして本番が始まってしばし後に、何も分からないまま舞台上に押し出され、お芝居に参加させられるのです。≪これ、いったいどんなハナシやねん!?≫・・・五里霧中の状態から手探りで芝居の流れを読み、展開を壊さないように、しかも芸人の本能として笑いもとりつつ、劇に参加する先輩芸人・・・。なんとも面白いことを考えたものです。近藤君曰く、このスタイルにおけるお客様の醍醐味は、「お化け屋敷に入って来た人がワーキャー怖がる様子を上から眺めて楽しむ」ようなものだそうです。なるほど■ビーフケーキ近藤企画『L岡診療所』、」今夜から5回、毎回4人の豪華なイケニエを迎えての上演です(艦長)


『L岡診療所』 作・演出 近藤貴嗣
出演    近藤貴嗣、帽子屋・お松、ミルクボーイ 内海、ダブルアート真べぇ、セルライトスパ 大須賀、
       マユリカ 中谷、kento fukaya、さや香 新山
★日時と各回ゲスト
5月20日(金)19:30 学天即・奥田、アイロンヘッド・辻井、和牛・川西、ダイアン・西澤
   21日(土)19:30 犬の心・押見、スマイル・ウーイェイよしたか、ヒューマン中村、チョップリン・西野
   22日(日)13:00 石田靖、西川忠志、もじゃ吉田、浅香あき恵(以上吉本新喜劇)
         16:00 銀シャリ・橋本、アキナ・秋山、グイグイ大脇、クロスバー直撃・前野
         19:00 プリマ旦那・河野、span! ・水本、アインシュタイン・稲田、兵動大樹
※当日券は各回30分前から発売
※上演時間は約90分

文化祭2016いよいよ初日!

文化祭2016アサ.JPG■ああなんという気持ちのいい朝でしょう■古臭い言い回しを許していただけるなら、普段の行いが余程いいんだなあ。テレビもネットも、今日明日2日間の天気予報はキレイにsunが並びました。こんな朝は、レースのカーテン越しに朝日を感じながらふかふかのお布団の中で過ごすのもいい、近くの道を緩やかにジョギングあるいはウォーキングしながら、見慣れた街の風景がいつもと少し違って感じられるのを楽しむのもいい、ゴルフ場の緑の中で「なーいすしょーっ!」なんて声を上げるのもいい(やったことないけど)■でも、僕たち、私たちは、例によって『文化祭』です。『中之島春の文化祭2016』、2日間のリハーサルを終え、いよいよ初日を迎えました。初日トップのダイナマイトしゃかりきサ~カスから、千秋楽大トリのスクエアまで、この2組は文化祭の顔ともいえる常連さんですが、全部で30組の中には初出演もしっかり5組いらっしゃいます。スタッフ渾身のプログラムです■毎年お声掛けする団体をリストアップする際にはスタッフみんな悩みに悩むわけで、「なんで今年は俺の(ワタシの)大好きな○○が出てへんねん!」なんてお思いの方がきっと大勢いらっしゃるとは思うのですが(実は僕だって少し思っている)、仕方ないのです。今のところウチでは2日間30組が体力的に限界なんです■それと、連続してたくさんのパフォーマンスを観ていただくという段取り上、20分という持ち時間、舞台装置や映像装置は使えないという制約があり、「それではウチの持ち味が出せないなあ・・・」という劇団などもありますから、そこんところもご理解いただきたくて・・・■なんて、ドピーカンなのに狭い事務所の中などにいると、気持ちがネガティブになってしまう。キーボード叩きはお開きにして、外の準備でも冷やかしに行ってきます!受付の開始は、本日11:30、明日は10:30です。1日通し券、ブロック券ともども、当日券の発売も行いますのでぜひぜひお越しください。外も中も楽しいよ!(艦長)


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