手塚「日本の食文化はいかがですか?」イェンス「初めて日本に来た時は日本食を食べたことはありませんでしたが興味はありました。ですからいろいろなところを食べ歩きました。毎回いろいろな発見がありました。魚の種類が豊富でお寿司のネタを覚えるだけでも大変苦労しました。またデンマークでは見かけない野菜もたくさんあります。調理方法やプレゼンテーション、非常に繊細で見た目がすごく重要とされていますが、それもデンマークにはない文化です。ちょっとだけ日本の家庭料理や中華の教室に通いました。そこで習ったのがおせち料理です。おせちはおいしいですが一番面白かったのはそれぞれの料理に意味があると言うことです。例えば数の子は沢山の子供が生まれるようにと言うことで食べるとか、昆布は喜ぶから来ている、黒豆はまめまめしく等...。それでロンドンでの卒業論文はおせちをテーマにしました」
手塚「デンマーク料理の主流は?」イェンス「主食はジャガイモです。日本と大きく違うのは朝、昼、晩それぞれ違うものを食べます。日本はお魚とごはん、味噌汁というように似ていますが、デンマークの朝はだいたい白いパンにジャムやチーズをつけて食べます。昼はライ麦で出来ている黒いパンの上にお肉やお魚を載せて食べます。味付けは塩、胡椒とハーブを使いシンプルな味のものが多いです。
手塚「デンマークには四季があるのですか?」イェンス「あります。夏は日本ほど暑くはないです。冬は東京よりちょっと寒く、長い。大きな気候の違いは秋や冬は朝の10時にならないと明るくなりませんし、午後3時には真っ暗になります。逆に夏は朝5時から夜12時まで明るいのです。ですから家具や照明が有名なのは冬が長いことに由来していると思います」手塚「なるほど家の中で過ごすことが長いからという、日常に即したところから商品が生まれてきているのですね」イェンス「デンマークの椅子は木で出来ているものが多く、100年、200年使えますからエコな商品と言えます。最近はリサイクルのペットボトルから出来ている椅子もありますが、昔からの椅子も環境に優しいと言えます」
手塚「イェンスさんから見た日本人の環境感はどのようにお感じになりましたか?」イェンス「都市部に住んでいる方は野菜の作り方や自然のことを知らない人が沢山いると思います。デンマークの大都市に住んでいる人も関わりは薄いと思いますが、学校の授業で牧場に行って牛に接したりします。ですから日本は自然との関わりが薄い気がします。また都市部でも公園などがあり、緑も多くありますから外で遊ぶことが非常に多いです」手塚「そういうことを日本に広めるための活動をされていらっしゃるわけですね」イェンス「家で出来ることから提案しています。マンションのベランダに菜園を作るだけで自然との繋がりがちょっと出来ます。それとベランダで自分が出す生ゴミから
コンポスト
を作ることも提案しています。デンマークのマンションなどでは共有のコンポスターがあります。
それを日本でも出来ないかと考えています」
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