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インタビュー 必殺の仕事人たち

第17回 撮影:藤原三郎

藤原三郎は、かつてカメラマンだった石原興監督とともに、『必殺』シリーズを黎明期から支え続けてきたカメラマンだ。『必殺仕事人2009』では、新春スペシャル、第2話、第3話、第16話、第20話を撮影した。石原作品では監督を影で支えながら撮影を手がける一方で、若手の監督作品では今まで蓄積してきたノウハウを活かして撮影をサポート。『必殺』の画作りを知り尽くした男が、撮影の極意を明かす!

監督との共同作業

藤原三郎

石原監督は、カメラマンから監督になった人やからね、画の撮り方を全部知ってるんですよ。頭の中で画のサイズもわかってるから、カメラマンと監督を両方兼ねてるようなもんです。ふつうのカメラマンだったら、そういう監督とはケンカになりますよ。でも、僕と石原さんは兄弟みたいに育ってきたから、うまくやっていけるんです。僕と監督は6歳違うんですけど、僕が二十歳くらいの頃には監督の家に居候させてもらって、同じ部屋で寝起きしたりしたこともありました。言ってみれば、石原監督の舎弟みたいなもんですわ(笑)。

若手の監督との作業は、ベテラン監督とはまた全然違いますね。みんなはりきって一生懸命やろうとしてますよ。でもね、若い監督は、せっかく自分がやらしてもらうんだから今までのええとこ取りをしようとして、やり過ぎる傾向があるよね。やっぱり、1作撮るのには狙いを絞ってやったほうがいいんですよ。だから、僕から監督に「これ撮ったほうがええで」とか「ここはもうちょっと引いてみたほうがええ」とか、アドバイスすることはありますね。でも、僕としてはできるかぎり監督の好きなようにやらしてあげたいんですよ。そうしないと、監督の個性が出ないですからね。一人の監督とばっかり一緒にやってたら飽きてきます。いろんな監督とやるから面白いんですよ。

『新必殺仕置人』の迫力

藤原三郎

『必殺』は、2作目(『必殺仕置人』)からかな。25歳か26歳でカメラマンになって、今年で63歳ですわ。シリーズを通して、たくさんの監督とやらしてもらいましたから、勉強になりましたね。三隅さん(※三隅研次:映画監督。代表作は『座頭市』シリーズや『眠狂四郎』シリーズなど。『必殺仕掛人』の第3話ほかを手がけた)や深作さん(※深作欣二:映画監督。代表作は『仁義なき戦い』シリーズや『蒲田行進曲』など。『必殺仕掛人』の第1話ほかを手がけた)、蔵原さん(※蔵原惟繕:映画監督。代表作は『南極物語』。『必殺』シリーズには、『必殺仕置人』から参加した)や工藤さん(※工藤栄一:映画監督。『必殺』シリーズには、『必殺仕置人』から参加。映画版の『必殺!Ⅲ 裏か表か』も手がけた)、錚々たるメンバーでしたからね。

俳優さんも、緒形拳さんに始まって、今までにいろんな人が出演されましたね。藤田まことさんや山崎努さん、火野正平さんが出てたシリーズ(『新必殺仕置人』)なんか、火花が出るくらいの芝居してましたよ。ケンカするシーンは、ほんまに怖いくらいにムチャクチャやってたからね。

仕事人が集まるシーンも、緊張感があって良かったですよ。ああいう緊迫したシーンは、みんな芝居に入れ込んでますしね、なかなかカットが割れないんですよ。そういうやりあいは引きで全員を写したフルショットで撮るほうが面白いんですよ。で、「しーん」と静かになったときに、一人一人を寄りで写していくんです。そういう引きと寄りの緩急をつける撮り方が『必殺』なんですよ。今は、どんなドラマでもしゃべってる人をアップで撮るのが多いですけど、『必殺』にはしゃべってない人の寄りを撮る面白さがあるんです。

カメラマンとしてのこだわり

藤原三郎

『必殺』はウソばっかりやってんのやけどね、それをどうやってほんまのように見せるかが面白いとこです。『必殺』はふつうの時代劇を崩して撮ってるパターンが多いんですよ。もし時代考証とはちょっとはずれたことをやっても、もっともらしく違和感なく見せられたらいいんです。

そもそも、『必殺』っていうのは、画から始まってるからね。これだけは写したいというところもあれば、お金のかけられないところはうまく写さんようにしたり、そのバランスは難しいですよ。見ていて違和感のあるようにしたらあかんから、それをスーっと通り抜けるような感じで見れるように撮っていかんとね。特に、殺しのシーンは毎回、時間がかかるんですよ。「音楽がうまく乗るように」とか、「効果音がここで入るからアップで撮ろう」とか、みんなでいろいろとアイデアを持ち寄って撮ってます。

人形浄瑠璃の部屋も難しいんですよ(苦笑)。最近の俳優さんはみんな背が高いですし、きれいに撮るにはやっぱりフルショットにしたいわけですよ。足が少し切れてもサイズ的に不安な感じしますよね。引きの画にはバランスが重要なんですよ。2人が立ってる場面を撮るのに、真横に並んだらバランス悪いとかね。カメラマンにはひとりひとり、自分なりに考えるサイズがあるわけです。俳優さんが立つ位置が10センチ違うだけでもね、気持ち悪いんですよ。だから、俳優さんの立ち位置がしっかりと決まったり、画面の端でちゃんと止まったりしてもらえると、うれしいですよね。

やっぱりカメラマンは、あるていど自分の意見を持ってないとダメですよね。撮っては次の繰り返しで、たくさんのドラマを撮ってきましたけど、毎回、変えていこうとしてますよ。ずっと同じことばかりやってても、見る人も飽きてくるでしょう?「今回はどんな殺しになるんだろう」って楽しみに見てもらえるように、考えて作ってます。(了)