手塚「GOMAさんはディジュリドゥをマスターするためにオーストラリアに行き、アボリジニの方達と一緒に暮らされたそうですが、1997年のことですか?」GOMA「そうです。本場の音を聞いてみたいと思いました。4年間日本で独学でやっていましたが、そのやり方が正しいかどうか、資料もありませんでしたから。97年はちょうどインターネットが普及しだした頃で、インターネットで調べていたら莫大な請求が来ましたので(笑)行った方が安いぐらいの請求が来ました」手塚「(笑)この楽器が盛んなところはどこですか?」GOMA「僕が行ったのはダーウィン、オーストラリの北の方です。そこに行けばディジュリドゥ屋さんがいっぱいあると聞いたので、そこを選びました。そして運良くディジュリドゥ屋さんで働かせて頂きました。行ってすぐは英語も喋れなかったので、毎日店に通い、新入荷のディジュリドゥを吹いてたら、そこの店員さんの一人が“お前毎日来るな。ここで働いてみないか?”と上の人に話してくれて、デモンストレーターとして雇ってくれました」
手塚「その後アボリジニのコミューンに行かれるわけですが、どういったきっかけで?」GOMA「フリーマーケットがいっぱいあって、その中のミンディルビーチ・マーケット、『南半球で一番美しいナイトマーケット』と言われているマーケットなのですが、そこでストリートで吹かせてもらっていました。そこはアボリジニのコミューンにも近くて、ある日一人にアボリジニの人が“一緒に吹かせろ”と言ってきました。それでマーケットが閉まった後、“俺のところにこないか”と言われ、一緒に行きました」手塚「いろいろなコミューンがあると思いますがGOMAさんが行かれたところは?」GOMA「ビーチで一本の木の回りに綺麗に並んで寝ている移動式のコミューンや、プレハブのような家を国が建ててそこに暮らしている人達などいろいろありますが、僕が最初に行ったのはシーズンごとに移動していくコミューンでした。そこから今度、アーネムランドというアボリジニの聖地がいっぱいある場所に行きました」手塚「どのくらいそこにいられたのですか?」GOMA「その一番奥に居たのは2ヶ月ほどですが、アボリジニとふれあっていたのは2年ぐらいです」
手塚「楽器は?」GOMA「その時は持っていきませんでした。絶対現地にあると思って。実際に木を伐って...」手塚「木の見分け方から教えてもらったんですね。それはとても新鮮なことでしたね」GOMA「そうですね。先ず楽器になる木を見つける『目』を養わなくては行けませんでした。全ての雲の流れ、雨のふる方向、風の当たる方向全てを読んで斧を入れます。その方向から斧を入れれば、もし楽器に適さないと思われた木でも、そこから再生されるからです。ディジュリドゥ屋さんに居た時もカットには連れて行ってもらいましたが、その時は電気ノコギリで何本も伐ってから使えるものを探すというやり方をしている人もいました。アボリジニの人達の無駄のないやり方は見ていて気持ちよかったですし、こういう生活は自分の中に取り入れていかなければ、と思いました」
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