手塚「この『ペア・カーボンオフセット・イニシアティブ』はどういった会社なのですか?」松尾「一言で言いますと、CO2を相殺するサービスを提供する社会企業です。地球環境を個人や企業で“何かやりたい”という気持ちを具現化するという仕事です」
手塚「名刺には理学博士と書いてありますが、会社を作られる前は研究者だったのですか?」松尾「元々大学や大学院で理論物理学という全然違う分野におり、博士号までとったのですが、その後1990年頃、地球環境問題が上がってきた時に、特に温暖化問題に興味を持ちまして、“自分は何が出来るだろうか、何をすべきだろうか”と考えるようになりました。物理学は変な言い方ですが、何でも出来る、何でも屋さんなのです。温暖化問題は色々なことが関わっているので、かえって“何でも屋”の方がよいと思ったのです」
手塚「会社のお名前にもなっています『カーボンオフセット』。これはどういう意味や概念があるのでしょうか?」松尾「“カーボン”CO2のことです。それの排出を“オフセット”相殺する、なくしてしまうということです。自分が出したCO2を他のところで減らすことが出来ればプラスマイナス、ゼロになります。それが出来るツールが『排出権』と言います。例えば“1トン分の排出権”を持っていれば、1トン分余計にCO2を排出することが出来ます。海外でCO2を減らす事業を行って、1トン減らせば、1トンの排出権を獲得出来、日本国内で排出することが出来るわけです。CO2は地球上どこで出しても温暖化に対する効果は同じです。日本でCO2を減らすのは比較的大変ですので海外で減らす。それで相殺する。それが『排出権』の考え方です」 |