手塚「IUCNの会議にイルカさんも参加されているのですか?」イルカ「時間がある時は参加しています。4年に一度、『世界自然保護会議』があります。私は4年前のバンコクの会議に出席しました。私は幸か不幸か言語が流暢ではないので(笑)英語で長いスピーチが出来ないので、歌でご挨拶したんです。そしたら次の日に大きなコンベンションホールで、会ったこともない国の人から“イルカ〜”と声をかけられました。“昨日は歌をありがとう。いつも会議は自己主張が激しくてなかなかスムーズにいかないけど、昨日は歌を唄ってくれたおかげでみんな優しい表情で、会議がスムーズに進んでありがとう”と言われたのは非常に大きな喜びでした」手塚「それは親善大使として充分な役割を果たしたことになりますね」イルカ「私は相当緊張しましたけど...。今年は60周年で、バルセロナで会議があるので私も出席することになっています。なんとかまた歌で(笑)」
手塚「“アジア地区に広める”という活動をされて反響はいかがですか?」イルカ「まだ“アジア”までなかなかいかなくて、日本のみなさんに知っていただこうという段階です。ただ私はアジアに沢山友達がいるのでそういうところに行く時は必ずリーフレットを持っていくんです。それで説明するとみんな思いは同じなんです。去年ラオスにプライベートで行った時に偶然IUCNの事務局があったんで行ったのですが、どなたもいらっしゃらなくて...。その時もリーフレットを持っていたので、言語の違うリーフレットを交換して“また仲良く一緒にやりましょう”と言ってきました」
手塚「リーフレットもイルカさんが親善大使になる前にはなかったそうですね」イルカ「そうなです。私は親善大使というお話しを頂いた時にいろんなことを期待してて、みなさんよくご存知で、資金もたっぷりあるんだろうと思っていましたら、誰も知らなくて、資金もゼロだったと言う(笑)それでしょうがないので最初の印刷代だけは外務省に掛け合って頂いて、会費の中から貸していただいたの、20万円(笑)」手塚「ボランティアみたいな...」イルカ「全員ボランティアです、確実に。ですからいろんな方に“メッセージをお願いします”というのは、私が自筆でお手紙書いてお願いしているんです(笑)今はみなさんから頂いた募金で、リーフレットやレッドリストの中から抜粋したものを小学生向けの小冊子を作ったり、送ったりすることが出来るようになってきました。まずまず少しずつ歩んでいます。嬉しいのは若い世代とか、お子さん達が私たちが思う以上に関心を持ってくれているということです。子供達に何か、私が手塚先生の『鉄腕アトム』で考えるきっかけを頂いたように、小ちゃな種を手渡してあげられたらと思っています」手塚「今の子供達の方が私たちより地球だ、自然だ、未来だということ関心が強いと思います」イルカ「そうだと思います。無意識のうちに危機感を感じているような、それが心にとっていい方向に行けばいいなと思っています。ただ危機感で終わるのではなく。だからこそ自分たちがやれることはないかなとか、ゴミを分ければとってもいいんだよね、外へ捨てちゃいけないしとかね。それがマナーにもつながっていくし、心にもつながっていくし、外国に行った時にも“他所の国だから”じゃなくて、戦争があったら悲しいと思える心につながって欲しいなと、思うんですよねぇ〜」
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