中村さんはライフワークとして取り組んでいらっしゃる沖縄本島や石垣島の珊瑚礁のことについて伺いました。
中村「珊瑚礁に住む人たちは、珊瑚はいくらでもあると思っている方が多いんです。実は僕も始めて沖縄の珊瑚礁に潜ったときに、結構硬くてケガだらけになってしまって、“珊瑚はじゃまだ”と思ったことがあるんです。それから何十年語って、珊瑚の役割がどういう物なのか分かってきて、これはなくしちゃいけないと思ったんです」手塚「例えばどんな役割があるんですか?」中村「景観が美しいでしょ、そこにたくさんの魚が群れている。これだけでも癒されるでしょ」手塚「そうですね」中村「また魚たちの隠れ家にもなるし、島の人たちにとっては、大波から守ってくれる堤防の役目もします」手塚「沖縄に台風がきても平気なんですね」中村「それに珊瑚は成長が早いからもし壊れてもすぐ元に戻れるんです。自然は土壌までひっくり返さないからそういうことが成り立ちます。でも人間がやると土壌までひっくり返すので、元に戻らないんです」手塚「なるほど〜」
中村「1975年に沖縄で海洋博がありましたでしょ。あの時、赤土を海に大量に捨てたのでその影響で沖縄本島の珊瑚が全滅しました。それが他の島々にも広がったんです。あれのテーマは“人類と海との調和”だったんですけどね」手塚「本末転倒ですね」中村「赤い海の向こうに青い海があるというのは、その対比というのは非常に悲しい光景でしたね」
中村「その後、珊瑚を食べるオニヒトデが異常発生したんです。それは赤土で珊瑚が窒息死してしまい、珊瑚のエサのオニヒトデの卵を食べられなくなってしまったからなんです。それで土砂にやられずにすんだ珊瑚もオニヒトデに食べられてしまったんです」手塚「でもオニヒトデが悪いわけでもないですよね」中村「結局人間が悪いんです。でも石垣島の白保の珊瑚だけは残ったんです」手塚「それは何でですか?」中村「それは学者さんが研究したけどいまだに分からないんです。謎なんです」
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