「夏バテ」と「秋バテ」 その違いは?
Q.「ずばり『秋バテ』は、『夏バテ』とどう違うんですか?」(ABCテレビ・塚本麻里衣アナウンサー)
「特に大きな違いがあるというわけではないんですけども、夏バテはやはり暑さによる疲労と、やっぱり暑くて食欲が無くなる体力的な疲れが主です。でも秋バテはその夏バテの疲れを引きずったまま、秋を迎えることによって自律神経のバランスが崩れて起きるものです。」(正木クリニック・正木初美院長)
自律神経とは、全身に張り巡らされている神経で血管や心臓、胃などあらゆる臓器を自動的にコントロールしています。そのため自律神経が乱れると体に様々な不調が起きてしまうんです。
Q.「具体的にはどんな症状が?」(塚本アナ)
「毎日だるいとか、頭が痛いとか、胃がもたれるとか、眠れないとかほんとに普通にある症状なので、秋バテとは気付きにくいことが多いですね。」(正木院長)
正木院長は、「夏バテ」と「秋バテ」では主な原因が異なると話す
生命を保つのに欠かせない自律神経。このバランスが崩れると「秋バテ」の症状が出る
「秋バテ」の原因は様々
ではなぜ、秋に、自律神経の乱れは起きやすいのでしょうか?実は、ちょっとしたストレスが原因になると先生は言います。
「今年なんかもすごく猛暑で暑かったですよね。その夏の疲れをそのまま引きずったまま、日中は暑くても朝晩が涼しくなる秋を迎え、その日中と朝晩の気温の差に身体がついて行けなくなることがありますね。」(正木院長)
気象庁によると、9月の大阪の最高気温と最低気温の差は5℃以上の日がほとんど。たった5℃でも寒暖差があると、自律神経は乱れると言われています。
そして夏の暑いときに冷たい物を食べる習慣をそのまま秋になっても、同じ習慣で続けていると、やはり胃腸に負担がかかり疲れの原因となります。
「目にはみえないですけども、台風の気圧の変動も自律神経のバランスを崩します。これからのシーズンがほんとは台風のシーズン。今年は早くから台風があって、やはり精神的にも気持ちが落ち込んだり、意欲がなくなるってこともよくあることです。」(正木院長)
今年の台風はすでに23個発生。8月は、過去2番目に多い9個の台風が発生しました。この台風の気圧の影響で、すでに自律神経が乱れ、秋バテが始まっている人もいるかもしれません。
Q.「その不調に気付かずに放っておいたらその先はどうなってしまうんですか?」(塚本アナ)
「身体的には免疫力が低下して風邪をひきやすくなりますし、最悪ガンになる危険性もあります。また心臓の場合、動悸がしたり、息切れがしたり、少し動いただけでしんどくなったり心不全を起こすっていうこともあります。」(正木院長)
「まさか秋バテから繋がるとは想像できないようなガンだったり、心不全だったりということが、先には待ってるかもしれないということなんですね。」(塚本アナ)
「もちろん『秋バテ=ガン』というわけではありませんが、やはり自律神経のバランスを放っておくとそういう危険性が高くなります。」(正木院長)
秋は1日の気温差が大きい季節。その変化に体がついて行けなくなることもある
台風の気圧の変動によっても自律神経が乱れる。多くやって来ている今年は特に注意が必要
食事、睡眠、運動…間違いやすい対策法とは
では、今悩んでいる方も含め、どう対策したらいいのでしょうか?私たちがやってしまいがちな対策法を○×クイズにしてもらいました。みなさんも考えてみてください。
では第一問。お昼ご飯を食べた後、すごく眠くなったのですぐ30分ほどの昼寝をしました。○か×か?
「気持ちとしてはもうそりゃあ昼寝はしたいです。願望も込めて○」(塚本アナ)
「正解です。15分から30分以内のお昼寝はしてもらってもOKです。でも、お昼寝が長くなったり、3時を過ぎてお昼寝をすると夜の睡眠に影響を与えるのでよくないです。」(正木院長)
「じゃあ眠たいときは3時までだったらちょっと寝ていいってことですよね?」(塚本アナ)
「そうですね、あの私もたまに寝ます。」(正木院長)
「ほんとですか?先生も寝ますか?」(塚本アナ)
「やはりスキっとしますし、短時間の睡眠だったらほんとに夜の睡眠には影響与えないのでぐっすり夜も眠ることができます。」(正木院長)
ただ、夜の睡眠も時間にバラつきがあるのはNG。体内時計が狂い、熟睡できなくなるんだそうです。
続いて第二問!汗をいっぱいかいて、体の疲れをとろうと熱め42度のお風呂に浸かりました。○か×か?どっちでしょう?
Q.「私は普段43度ぐらいのお風呂に入ってるんですよ。」(塚本アナ)
「ちょっと年寄りみたい」(正木院長)
「熱めが好きなんですよ。でも、よくないんですよね…?」(塚本アナ)
「×です。湯船につかることはとてもいいことなんです。でも42度以上の熱めのお風呂では、自律神経の中の交感神経が緊張しリラックスすることができないんです。40度前後の炭酸などの入浴剤など使って10分から20分くらいゆったりと浸かるのがおすすめです」(正木院長)
また、寝る1時間ほど前に入浴すると、だんだん深部体温下がってきて、いい睡眠にもつながるそうです。
では第3問!バテない体を作ろうと体力をつけるために筋トレを始めました。〇か×か?
「なんかやりがちですよね。いいんじゃないですか?〇」(塚本アナ)
「そうですね、難しいですね。×なんです。今まで運動している方は問題ないと思うんですけど、全然運動してない方が、よし体力をつけようと思ってガンガン運動するのは、かえって疲れることになります。まずは20分から30分くらいのウォーキングとかリラックスするためにストレッチなんかをするのがおすすめです。」(正木院長)
ここで正木院長に、イスに座ってできる簡単なストレッチを教えてもらいました。ひざを閉じて足の裏は床にしっかりつけ、両手の肘を頭の後ろに置きます。この状態で、息を5秒間吸いながら胸を開いて、5秒間息を吐きながら、肘を顔の前に持ってくように丸めます。これを3回ほど繰り返します。これで血流がよくなり、自律神経のバランスを整えるそうです。
それでは最後の問題!体力回復のために、お昼にうな丼を「たっぷり」食べました。〇か×か、どちらでしょう?
「たっぷり食べたい!ねぇ食べたいですよね。〇。」(塚本アナ)
「〇といきたいところですけども、×なんですね。うなぎには、ビタミンAやB1が含まれていて疲労回復にはいいんですが、ただ問題は『たっぷり』といいましたね?それがダメなんです。ビタミンAをたくさん摂りすぎると、頭痛や胸やけとかを起こすことがあります。それに脂肪分も多いので胃腸にも負担がかかります。」(正木院長)
Q.「やっぱり「たっぷり」っていうのが問題なんですね?」(塚本アナ)
「そうですね。」(正木院長)
昼食後の昼寝は疲れを取るのにも効果的。ただ眠り過ぎにはご注意
お風呂はぬるめの温度でゆっくりつかるのがおすすめ
体力づくりは慣れないトレーニングより、ウォーキングなど気軽にできる軽めの運動から
イスに座りながらできるストレッチ体操。ゆっくり呼吸して、体をリラックスさせるのがコツ
スタミナ食材の代表格・うなぎも、食べ過ぎると胸焼けになるなど、逆効果に
「秋バテ」に効く とっておきメニュー
先生によると、これからの時期にオススメの食材があるそうです。
「これからの寒くなる季節はやはりショウガ、ネギ、里芋、人参などの体を冷やさない食べ物を心掛けて摂るようにすると、いいと思います。」(正木院長)
また豚肉や牛肉は、エネルギー源となるたんぱく質が含まれているため、豚汁や豚の生姜焼きなどにするのがおススメです。
「鶏の胸肉には自律神経のバランスの機能を回復する作用があると言われています。 鶏の胸肉の辛子ネギダレなんかも、すごく体を温める食材も使うのでとってもおすすめかと思います。」(正木院長)
もちろん、朝食などは抜いたりせず、三食きちんと、ほどほどの量で食べることが健康への近道。秋バテ予防に、ぜひ生活を見直してみてください。
正木院長の「秋バテ」対策おすすめメニューは、体を冷やさない食材がたっぷり