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2019年5月28日

【ウエダのギモン】次世代型スーパーマーケットがアツい!  ライフ・阪急オアシスが新戦略

特集

 大阪府自体は人口が減っているんですが、ここ数年、大阪市内、特に中心部の人口が増えているんです。この人口の増加に合わせてスーパーが新しい業態を投入し始めました。そこにはいったい、どんな戦略があるんでしょうか?びっくりするスーパーをごらんください。

スーパーマーケットの驚きの新戦略とは

 「大阪のど真ん中、阿波座にやってきました。この辺りはオフィス街といった印象で、夜になるとあまり人がいないという感じだったんですが、最近はマンションが建ち並んでいるんですよね。昔と街並みが少しずつ変わってきてる、そんな印象もあるんですが、ここに次世代スーパーがあるそうです。行ってみましょう!」(上田剛彦アナウンサー)


 スーパーがあると聞いてやってきたんですが、なぜかそこにあったのは、ホームセンターのコーナン。建物の中に入ると・・・


 「ホームセンターなんだけど、ここにスーパーがある。ミニエル、あっ、ライフですね。ライフの1つの形態ですかね?(店長さんにごあいさつ)こんにちは、よろしくお願いします。ミニエルっていうんですか? さっきライフとも書いてあったんですけど」(上田アナ)

 「こちらはライフの小さい店舗ということで、ミニとライフのLを合わせたミニエルというお店になっております」(店長 鍵本啓志さん)

 「なるほど、ミニライフでミニエル」(上田アナ)

大阪・西区 ライフの新業態ミニエル

ライフ初の小型店舗ミニエル。小型というだけあってコンビニをちょっと大きくしたくらいの広さです。


「お弁当の品揃えがすごく豊富ですよね」(上田アナ)

「ミニエルの立地がビジネス街の中にありますので、昼食需要にしっかり応えられるようにお惣菜とかお弁当の品揃えを増やしております」(鍵本店長)


ミニエルのメインターゲット、お昼はランチを買い求めるビジネスマン。そして夜は、都会に住む単身者や共働きの夫婦、いわゆる“中食”を利用する人たちです。そのため、小さいながらもキッチンを備えていて惣菜などは揚げたてを提供。お弁当は近所のライフで作って運んでくることで、こちらも出来立て。コンビニとの差別化を図っているんです。


さらに、他の売り場を見てみると・・・


「お肉とか野菜はどこにあるんですか?」(上田アナ)

「こちらがお野菜の売り場、こちらがお肉の売り場になります。なにか気付かれた事ありますか?」(鍵本店長)

「思っていたスーパーのお肉売り場、野菜売り場ではないなと」(上田アナ)

「生のお野菜や果物、野菜、お肉やおさかなは取り扱いしていないんです」(鍵本店長)

「スーパーなのに?」(上田アナ)

「単身者が多いエリアで、調理する方が少ないので、さっと炒められる物だけは取り揃えています。その分、惣菜売り場を広く取ってお客様を迎えています」(鍵本店長)

従来店舗のすき間を狙う

 他にも単身者狙いの品揃えとして、簡単に調理できるレトルト食品やパスタなどの種類も充実させているそうです。ただ、単身者が多いエリアで、ニーズに合わせた品揃えをするのは、スーパーとしては当たり前。ミニエルの新戦略とは一体?

 「ここ数年、同じ大きさの店舗を出店する用地がなかなかない状態になっています。そこでミニエルのような都市型の小型店を出店する事で、近くのスーパーでカバーしきれない隙間をしっかり埋めて、ライフファンを増やしていきたいと思っております。」(鍵本店長)


 スーパーを利用する顧客の生活エリアは、およそ半径1kmだと言われています。阿波座周辺には3つのスーパーがあるのですが、それぞれの顧客生活エリアを地図上に描くと…こんな感じ。この真ん中に隙間がありますよね?実はミニエルが出店したのは、まさにココ!新戦略とはわずかな隙間も許さずに顧客生活エリアを埋めるということなんです。


 「まだまだこのサイズのお店であれば、都市部への出店もできるかと思います。」(鍵本店長)

 「今までコンビニしか入れなかった物件やテナントしか入れなかったところにもライフは出店ができるという事ですか?」(上田アナ)

 「そうですね」(鍵本店長)

大阪・福島 阪急オアシスの新戦略とは?

 そしてもう1つ、新戦略で挑むスーパーが先日福島にオープンしました。阪急オアシスです


 「お店に入った感じは 普通のスーパーに見えるかなと思うんですけど」)上田アナ)

 「ご案内しますのでついてきていただけますか」(店舗企画部長 志水孝行さん)


 連れられてやってきたのは店舗の2階。


 「あちらのコーナーはどんなコーナーですか?」(上田アナ)

 「店内で販売しているお惣菜など、すべてをこちらのコーナーで召し上がっていただくことができます」(志水さん)

 「スーパーで買ったそのままで、ちょっと飲んで帰ることができると」(上田アナ)

 「はい、できます」(志水さん)


 そう、阪急オアシスが新たに手がけたのは、イートインができるスーパー。ここでは店内で作られた色とりどりのおしゃれな惣菜を始め、売り場であるものすべてを、イートインスペースに持ち込んで食べることができるんです。もちろんお酒売り場のアルコールも購入すれば持ち込みOK。飲食店のようなテーブルチャージなども、一切かかりません。

スーパーの店内で一人焼肉!

 さらに、精肉売り場では・・・


 「焼肉のコーナーが商品が多いと思うんですけど」(志水部長)

 「1人前、2人前くらいのちょうどいい量の焼肉がありますよね」(上田アナ)

 「この店、実はこちら側でそのまま食べていただける一人焼肉のコーナーを設けております」(志水部長)

 「グリルになっていて、ここ焼肉屋さんですね」(上田アナ)


 店内で焼肉が楽しめるスーパーは、おそらくここだけ。お肉の価格もスーパーなので、焼肉屋さんに行くよりかなりリーズナブルです。充実したイートインコーナーだけでも十分変わっているスーパーなんですが、実は新戦略はコレではないんです。

飲食店併設のスーパー

店舗の正面にぐるっと回り込んでみると・・・


「こちらの通りがふくまる通り57といいまして、従来の高架下のお店と今回の新しい商業施設が融合する形で新しい通りを作りました」(志水部長)

「通りを作っちゃった!右側が阪急オアシス、左側が前からあった飲食店ですね」(上田アナ)

「ここはスペインの雰囲気なんです。阪急オアシスの店舗の一角になっておりまして」(志水部長)

「このバルも阪急オアシスなんですか?」(上田アナ)

「はい、これが次世代ということでチャレンジしている取り組みです」(志水部長)

「パッと見て スーパーの一業態だとわからないですよね」(上田アナ)

 阪急オアシスの新戦略は、飲食店に来た人をスーパーのお客さんとして取り込もうというのもの。でも、飲食店に来た人がそのままスーパーの買い物客になりますかね?

 「午後からは女性が多いんですけども、主婦の方は昼からちょっとアルコールを楽しんでからお買い物されるという主婦の方も増えております」(志水部長)
 実はこの飲食店街、営業は朝10時から、お昼にお酒を飲みながら女子会をする、という主婦が意外と多いんです。で、そのまま帰り際に夕食の買い物を阪急オアシスでしてもらおうというワケ。なかなか思い切った戦略ですね~。


 「スーパーの中の商品は外に持っていけるんですか?」(上田アナ)

 「お寿司などを外に持って行って食べているお客様もいらっしゃいます」(志水部長)

 「外で売っているものを中に持って入っても、中のものを外に持って行ってもこの机を自由に使ってもいいと」(上田アナ

 「お客さんの使いたいように使っていただきたい」(志水部長)

 「ここで成功したら、他にもこう行った形の店舗ができるということですか?」(上田アナ)

 「マーケットにもよるとおもいますが、福島のように駅前のお店はこういった形を展開していきたいち思っています。従来のスーパーマーケットの領域以外のところのお客様に使っていただけるよう、これからも知恵を絞っていかなければいけないという非常に難しい時代かなと思っております」(志水部長)

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特集

2019年5月21日

【ウエダのギモン】セレブでなくてもヘリ旅行!? お気軽予約でプチ贅沢しませんか

特集

 ヘリ旅行ってどうすればできるの?タレントの神田うのさんが、家族でGWにヘリコプターで伊勢に旅行に行っていたとインスタグラムで明かしています。ただ、ヘリで旅行する人って私のまわりにはいません。だから知らないんです。どこから離陸してどこに着陸するのか、そしていくらかかるのか?安くはないと思うんですが、そのあたりを調べてきました。

ヘリ旅行がお手軽に!?

 「京都市伏見区にやって来ました。近くには宇治川が流れてまして、とっても開けた場所なんですが、あちらに、停まってますよヘリコプター。(上田剛彦アナウンサー)


 「JPD京都ヘリポート」は5年前にできた民間のヘリポート。ココを拠点にしているのが、匠航空というヘリコプターの会社です。

 

 「どうぞ今日はよろしくお願いします。早速ですが、本当に“ヘリで旅行”ってできるんですか?」(上田アナ)

 「はい大丈夫です」(匠航空 川上晋さん)

 「芸能人じゃなくてもできるんですか?」(上田アナ)

 「もちろん一般の方でもご利用いただけます」(川上さん)


 ならば気になることを根掘り葉掘り聞いてみます。



 「ココから行くのは分かるんですけど、どこに下りるんですか?」(上田アナ)

 「空港に降ります。近くでいえば関西国際空港とか八尾空港です。あとはヘリコプターは公共用ヘリポートといった所を活用して着陸することができます」(川上さん)

 「公共用ヘリポート?」(上田アナ)


 奈良県には、県が運営しているヘリポートがあって、ココも旅行で使えるそうです。さらに。


 「あとは場外地という着陸できる場所があります」(川上さん)


 これらがどんな場所かというと?


 「私有地が多いですね。企業さまの駐車場とか」(川上さん)


 ヘリの会社と土地の所有者が個々に提携しているから使えるんだそうです。匠航空の場合、近畿2府4県だけでも、ざっと30カ所以上の「場外地」があります。ココに空港や公共用ヘリポートを加えるとさらに増えます。つまり、飛行機と比べると、離着陸できる場所が圧倒的に多いんです。ちなみに、高層ビルの屋上にはよくヘリポートを意味する Hのマークがありますが、これは緊急用に作られているので旅行では、さすがに使えません。



当日予約で淡路島へ行ってみる

 「神田うのさんが、東京から伊勢に旅行に行ったじゃないですか。(伊勢では)どこに下りたんですかね」(上田アナ)

 「伊勢には高級リゾートがいっぱいありまして、そこにもヘリコプターが着陸できる場所があるので、たぶんそこを活用されたんだと思います」(川上さん)

 「おお、それはいわゆる宿泊者専用的な?」(上田アナ)

 「そうですね」(川上さん)

 「それは芸能人ですね、やっぱりね」(上田アナ)


 気になる料金は、匠航空の場合、1分2500円。例えば、大阪と神戸の間を飛ぼうとすると、10分ぐらいなので、2万5000円です。


 「ヘリで旅行したいと思ったら、だいたい何日前に予約する必要が?」(上田アナ)

 「空きがあれば当日でも大丈夫です」(川上さん)

 「当日?きょうってことですか?気軽ですね、意外に」(上田アナ)


 なんと今から「気軽に」乗せてくれるというんです。といっても安全第一ですから、飛行機と同じく、搭乗者の登録や、保安検査などはちゃんとあります。


 「ココに乗るんですね。何人乗れるんですか?」(上田アナ)

 「お客様3名様まで。左側と、後ろに2席ですね」(川上さん)

 「くだらない質問なんですけど、リクライニングってできるんですか?」(上田アナ)

 「残念ながらこちらには付いてません」(川上さん)


 「(乗り込んで)なんか軽自動車の中みたいな感じですね。で、これってヘッドホンですよね。これつけた方がいいんですか?」(上田アナ)

 「そうですね。機長と会話するのにマイクを使います」(装着)


 というわけで、準備は整ったので、つかの間の、ヘリ旅行へ出発です。


 「飛行機に乗るときも外を見るの好きですけど、なんといっても視界が広い。180度全部ガラスになってますから、全部見えるんですよ。自分が鳥になって飛んでいるような感じがします」(上田アナ)


 飛行機がだいたい10キロの高さで飛ぶのに対し、ヘリコプターは500mから1キロ。行き交う人まで見えることもあります。平均時速は、およそ180キロ。空には渋滞なんてありません。


 「明石海峡大橋が見えてきました。淡路島ですね。わーっ、あっという間」(上田アナ)


 実は目的地はココ。飛行機ではあり得ない、淡路島に着陸するんです。でも一体ドコに?


 「あら?こんなところに下りるんですね」(上田アナ)


 淡路島では、リゾート施設「淡路夢舞台」の敷地にヘリポートがあるんです。いわゆる「場外地」。ちなみに、淡路島への旅行で、実際にココを利用する人が月に1回ぐらいはいるんですって。


 「いまHマークのところに向かってヘリコプターが下りていきます。Hに向かってヘリコプターが下りていきます。おーおー、あと数m。いま着陸しました」(上田アナ)


 「(機外に出て)わー空気が違う!楽ちん、わずか30分で京都から淡路島までやってきました」(上田アナ)


時間短縮でこんなぜいたくが・・・

 このヘリポートに降り立つと、例えばこんな楽しみ方ができます。迎えの車に乗って、行った先は・・・すぐ近くにある高級ホテル、「ウェスティンホテル淡路」です。


 「おいしい!今ボクがいただいているのはハモです。そして玉ネギももちろん淡路島産。淡路島でハモすきなんてホントに贅沢ですね」(上田アナ)


 ウェスティンホテル淡路では日帰りプランもあるので、絶景を眺めながらお部屋で優雅に過ごすこともできます。


 「このままずっとココでくつろいでいたいんですけどね、きょうは平日なので、夕方の放送があるんですよ。帰ろっか・・・帰ろう」(上田アナ)


 後ろ髪ひかれる思いで、またヘリに乗ります。大阪の舞洲ヘリポートまでわずか10分の空の旅です。ちなみに、今回のコースなら料金は・・・60分で15万円。最大3人まで乗れるので、そうすると一人5万円の旅ってことですね。

 ヘリの料金は1分3000円くらいが相場ですが、匠航空さんはそれより安く、ヘリ業界のLCCを目指しているそうです。ヘリの強みは、けっこう着陸する場所が多い点で、匠航空さんもヘリが下りられる“場外地”という場所を近畿圏内にたくさん確保しています。場外地には、もともと緊急用として作られた場所も多いですが、そこが本当に役立つ場所なのかは、普段から使っていないと分かりにくいもの。緊急時の”予行演習”にもなるので、観光目的でもどんどん使っていくべきではないかと考えます。


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特集

2019年5月16日

特集

【ABC特集】イチゴ界に超新星「奈良9号」誕生! とびっきりの甘さに迫る品種海外流出の危機

奈良県がイチゴの新品種「奈良9号」の開発に成功!でも悩ましい問題が・・・。悩ましい問題と言っても、おいしさのことではありません。ものすごくおいしいんです。でも悩んでいるんです。いったい、どんな味なのか、どんな悩みを抱えているのか調べてきました。

イチゴの新品種!?奈良9号って何?

向かったのは奈良県にある近畿最大の農作物直売所“まほろばキッチン”です。


「うわー!ありましたよ。奈良のイチゴです。これは“アスカルビー”。奈良といえばアスカルビーですよね。こちらは“古都華”。大きさも粒もいろいろあるんですけど。奈良ってほんとたくさんのイチゴがあるんですね。どれもおいしそうだなー」(上田剛彦アナウンサー)

 

白いイチゴ、“パールホワイト”も奈良県産です。およそ20軒の農家さんの、とれたてイチゴが並びます。形だけじゃなく色も種類豊富。


「では贅沢に食べ比べさせていただきます。まずは奈良と言えばやっぱり“アスカルビー”ですよね。(食べる)んージューシー。果汁がジュワっと出てきますね。このイチゴらしい酸味と、豊かな香りはやっぱり“アスカルビー”だなって感じしますね」

「次はちょっと色が濃い、“古都華”です。(また食べる)んー!味が濃く感じる、甘みがすごく強いですよね。なんか満足感のある味」(上田アナ)


そして、やっぱり“パールホワイト”の味、気になりますよね~。その名の通り、色が白く中まで真っ白なんです。


「(口に入れ)うわー上品。バランスがすごくいいですよね、甘みと酸味と甘みがどれもふんわりまろやかな感じで。どれもおいしいですね」(上田アナ)

“パールホワイト”を作った前田光樹(こうき)さんです。2015年に品種登録されました。


「イチゴっていうのは、結構毎年のように新しい品種が出るんですか?」(上田アナ)

「すごい品種は増えましたね。10年前と比べると、倍以上増えてます」(前田ストロベリー研究所 前田光樹さん)

「逆に言えば、この10年で増えたってことですか?」(上田アナ)

「そういうことですね、イチゴをこうやって、美味しく生で食べるっていうのが急激に発展していったんで」(前田さん)

「なるほど。イチゴ単体で美味しく食べるって、昔なんかに混ぜたりしてました、ジャムとか」(上田アナ)

「練乳かけたり、ケーキに使ったりというのが多かったのが、生で味わうっていうのがどんどん普及していったので、そのための品種が一気に増えたっていうのはあると思いますね」(前田さん))


10年前、2009年の時点で品種登録されているイチゴは85品種でしたが、今では210と倍以上に増えているんです。そして今回、新しく誕生したのが“奈良9号”」。


「僕はまだつくったことも食べたこともなくて、逆にどんなんか楽しみです。いいイチゴであれば農家さんの収入にもつながりますし、また奈良のブランドを高めることにもなると思うんで、やっぱりみんな期待はしてると思います」(前田さん)

そんな農家さんたちの期待を背負った「“奈良9号”」を開発したのが奈良県農業研究開発センター。案内していただくのは、研究員の矢奥泰章(やおく・やすあき)さん。奈良県の農業技術の発展のため、さまざまな植物が栽培されています。ちなみに、“アスカルビー”や“古都華”もここで生まれました。


「(ハウスに入り)うわー、すごーい!なってます、なってます。真っ赤なイチゴ!」(上田アナ)


 そして、お目当ての“奈良9号”がこちらです。




“奈良9号”誕生の秘密

「特徴は“奈良9号”はどんなところにあるんですか?」(上田アナ)

「今、少し実が小さめになってるんですけども、他の品種と比べてもかなり大粒になります」(矢奥泰章研究員)

「そうですね。確かに奈良で有名な品種の“アスカルビー”や“古都華”より、一回り大きいですね。“奈良9号”、食べてみてもいいですか?」(上田アナ)

「どうぞ」(矢奥さん) 

「いただきます。(口に入れて)おいしい!酸味がまろやか。なんかイチゴじゃないイチゴを食べてるみたいな新しい果物を食べてるみたいな感じですね」(上田アナ)

「少しリンゴのような香りも」(矢奥さん)

「そうですね。これは果物の女王にふさわしい女王様のような気品のある味。これ!これおいしいですね」(上田アナ)

でも、女王様のようなイチゴの名前が“奈良9号”でいいのかって思いませんか?ご安心ください。「9号」というのはまだ仮の名前なんです。


「これが“奈良9号”ですよね。今までに同じように1から8まであったっていうことですか?」(上田アナ)

「そうです。“アスカルビー”が“奈良7号”、“古都華”が“奈良8号”っていう仮の名称で販売を開始しています。そして、その間に品種登録の申請をして、品種登録時には名称を決定して、品種登録は“アスカルビー”、“古都華”という形になっています」(矢奥さん)

「この後、品種登録されたらどんな名前なるんでしょうね?」(上田アナ)

「それは皆さんにたぶん公募という形になるかと思います」(矢奥さん)


肝心の味は交配する品種によって変わるんだそうです。“奈良9号”の場合は・・・


「お父さんのほうは“まりひめ”と言いまして、和歌山県の方で育種されたもので、お母さんの方が“さちのか”(茨城)に“とちおとめ”(栃木)」の花粉をかけたもの。それが片親になっています」(矢奥さん)

「なるほどそうなんですか」(上田アナ)


何十通りもの組み合わせを試したそうで、かかった時間はなんと5年以上。おいいしいイチゴを生み出すには時間と労力がかかるんです。


「イチゴというのは元々、たどっていくとどういうイチゴになるんですか?」(上田アナ)

「“アスカルビー”、“古都華”にしてもそうなんですけど、“女峰”ですとか“とよのか”ですとか、今から30年くらい前ですかね。それが親として使われているものが多いかもしれないですね。各県、特にイチゴの産地を中心として独自のブランドを持つっているのも、一つ産地を活性化させる手段なのかっていうところですね」(矢奥さん)

イチゴの品種に海外流出の危機!?

高品質のイチゴを追い求める一方でこんな問題も。まだ記憶に新しいピョンチャンオリンピック。日本のカーリング娘たちが、「もぐもぐタイム」に食べたイチゴが話題になり、農林水産大臣が韓国産のイチゴに関して「日本から流出したイチゴが韓国で品種改良されたものだ」と指摘していました。今、日本の品種は海外流出の危機に瀕しているんです。


「みなさんに“育成者権”というものをきっちり理解してもらうというのも一つなのかなと」(矢奥さん)


“育成者権”とは、特定の品種は特定の人にしか育てられないという特許のようなもの。当然、勝手に栽培すれば権利の侵害ということになるのですが、それでも品種の流出に歯止めがかけられない状態だと矢奥さんは言います。


「それは許可なく使えないということを、皆さんが知っていただくということが一番重要なのかなと思います」(矢奥さん)

この“育成者権”は25年で切れます。“アスカルビー”は来年2月に育成者権の有効期限を迎えるので、ひょっとしたらホームセンターとかで売られることもあるかもしれません。でも、たとえこの育成者権が誰かに侵害されたとしても、日本の小規模な農家のみなさんが、時間とお金をかけて一人一人裁判に訴えていくことは難しいと言います。“奈良9号”はこのままブランド化され、おそらく奈良や日本を代表するイチゴになるでしょう。でも、農家のみなさんが手塩にかけたこの品種が、常に流出の危機に晒されていることを気にとめておかなければなりません。イチゴは甘いんです。でも、イチゴを育てること、そして品種を守っていくことはけっして甘いものではありません。

 

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特集

2019年5月13日

音のない世界を生きる人たちを社会につなげる“相棒” 「聴導犬」をご存知ですか?

特集

大阪市内で開かれた講演会。マイクを手に話をする女性と、そばには1頭の犬の姿がありました。女性は耳が聞こえません。耳の聞こえない人をサポートする「聴導犬」の存在を知ってほしいと、その普及活動に力を注いでいます。


「聴導犬というのは、聞こえない私を、社会につなげている」


耳の不自由な女性と、彼女を支える聴導犬の活動を追いました。


聴導犬との日常

 東大阪市に住む、安藤美紀さん(48)。生まれつき耳は全く聞こえませんが、人の口元を読む「読唇術」を学ぶなどして、ある程度の会話ができます。安藤さんと暮らす2頭の犬。1頭は初代・聴導犬のレオンです。8年間、聴導犬として安藤さんを支えてきましたが、1年前に引退し、今はペットとして暮らしています。そしてもう1頭がアーミ。聴導犬となってまだ1年余りです。


「レオンはまわりのこと、私のことを心配したりとか色々頑張る真面目な子で。アーミができない時は、レオンが自分のお手本をみせるのね、こうやるんだよって。わからないのか、わからないのかって、みせるのね」(安藤美紀さん)


「ピーピー」

「アーミなに?アーミなに?」


アーミは、電子レンジの音がなると安藤さんに知らせ、その場所まで連れていきます。そして目覚まし時計の音が鳴ると、寝ている安藤さんの頭の下に顔を入れ、アラーム音が鳴ったことを知らせます。


「(聴導犬が来る前は)宅急便が来た時でもわからないので。1時間は絶対玄関から離れないようにするとか、何回も何回もドアを開けに行ったりとか、窓からトラックきていないかとか、落ち着かない」(安藤さん)


しかし、そんな生活も、聴導犬と暮らすことで、ずいぶん変わったと安藤さんは言います。


「心が豊かになった。気を使わないようになった。気を使わなくなって、(体も)丸くなっちゃったけどね」(安藤さん)

全国でわずか68頭 入店を拒否されることも

 聴覚障害者の生活を支える、聴導犬。ただ、現在活動しているのは全国でわずか68頭で、盲導犬の941頭に比べると10分の1にも満たないのが現状です。

アーミとレオンが育てられた、埼玉・ふじみ野市にある聴導犬の訓練施設。ここは、動物愛護センターにいる殺処分寸前の子犬たちを引き取り聴導犬に育てています。長年、聴導犬を育ててきた訓練士は、聴導犬が普及しない理由について、こう指摘します。


「聞こえない方自身が、聴導犬を知らないとか、持つとどうなるかという深い部分まで知らないというのも、増えていかない、広がっていかない、原因の1つだと感じています。まず、聴覚障害者自体の理解、社会的な理解という部分だと思う。聞こえないだけの障害って思っている方ってすごく多いし、聞こえない部分で、どういった部分に困るのか、それによって、どういったことになってしまうのか、というところまで知ってもらわないと、本当の聴導犬の必要性とか重要性は感じにくいかなと思う」(日本聴導犬推進協会・秋葉圭太郎さん)


また、聴覚障害者は、視覚障害者などとは違い、見た目では、障害があるとわかりません。そのため、犬の入店を拒否されることもあるといいます。

車の運転、仕事、人づきあい…聴導犬が暮らしを変えた

「お仕事行くか。お仕事の顔になったね」(安藤さん)

アーミとレオンを車に乗せ、外出する安藤さん。補助ミラーをつけるなど、一定の条件を満たせば、聴覚障害者も、運転をすることができます。信号待ちをしていると、助手席に座るレオンが左後ろへ振り返りました。


「あ、バイク。バイクね」(安藤さん)


耳代わりとなる聴導犬がいることで、安藤さんは安心して運転ができるのです。


自宅から車でおよそ30分。やってきたのは、大阪市内にあるNPO法人「マミー」の事務所。安藤さんは、この団体の代表でもあります。


「マミーの活動は、聴覚障害と聴導犬を広めることと、障害児が学ぶ場を増やす、この2つを中心に活動しています」(安藤さん)


仕事をする安藤さんの傍らで静かに待機するレオンとアーミ。事務所に鳴り響く様々な音を知らせ、安藤さんの仕事を助けます。


「アーミ、何?何の音?ファックス来たの、ありがとう、ありがとう」

「何?何?何の音?携帯?メッセージきたね。ありがとう、ありがとう」


「犬がいるといないのとでは、空気が変わる。前は眉間にしわを寄せてピリピリしていると、周りからオーラがわかるから、声をかけづらいというのもあったけど、今は犬たちがいるので、色んな人に声をかけてもらえるようになった。だから、最高のパートナーです」(安藤さん)

1人でも多くの人に知ってほしい

「アーミちゃん、お仕事わかってるね」


大阪・摂津市の公民館。安藤さんたちはこの日、聴導犬を知ってもらうための講演会を開きました。安藤さんのライフワーク。それは、1人でも多くの人に聴導犬の存在を知ってもらうこと。アーミと二人三脚で、懸命に訴えます。この日は物を落としたことを伝える訓練が披露されました。安藤さんが鍵を床に落とした途端、アーミがその鍵の元へ安藤さんを引っ張って誘導します。見ていた人たちは、驚きの表情です。


「今でもホテル、タクシーも拒否されます。でも、嫌な顔をされても、説明して説明して、ようやくわかってもらえます。だから、まだまだ広がっていないなと思います。社会みんなが知らないのが問題だから、それをどう伝えるかが、私の役目だと思う」(安藤さん)


講演会で、安藤さんの話を聞き、聴導犬を目にした人たちは…


「(聴導犬は)聞いたことはあったけど、見たことがなかった。賢いと思った」

「知ることが大事やな、ということがわかりました」


安藤さんたちの思いは、一歩一歩、実り始めているようです。


「聴導犬というのは、聞こえない私を社会につなげてくれる。だから私は、幸せだなって思っています」(安藤美紀さん)

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特集

2019年5月7日

第2の“北摂のマチュピチュ”!? 止まらない住民の減少に荒れゆく空き家「限界ニュータウン」が直面する危機

特集

 山道を登った先に見えてきたのは、“北摂”の名が付いた、住宅街。バブルが生み出した「ニュータウン」は、平成の時を経て、様変わりしていました!

「タダで良いから買ってくれって言う。でもタダでもいらないみんな」(住民の男性)


「タダでもいらない土地」と住民が嘆く、そのワケとは!?

第2の“北摂のマチュピチュ”が存在!?

「物置も壊れたりして、玄関には蜘蛛の巣が張っています」(島田 大記者)


今年1月、ABCテレビが取材したのは、“北摂のマチュピチュ”とも揶揄される「茨木台ニュータウン」。


「茨木かと思って引っ越してきたら亀岡市」(住民男性)


町があるのは、茨木と亀岡のちょうど市境。バブルの時代に、民間業者が開発規制のなかった亀岡市側に造った住宅街です。学校も、病院も、商店もないこの町は、「限界ニュータウン」になりつつありました。


さらに北西に進むと、「限界」に陥った町がまだ存在していました!


「なんか木はね、崩れ落ちちゃってるし。でも花はきれいですよ。鳥のさえずりは聞こえるし。でもここを見ると売り物件、売り物件の看板があります」(島田記者)


「茨木台ニュータウン」から2キロほど離れた場所にある「北摂ローズタウン」。ここも1980年代、「北摂・夢のマイホームタウン」とうたって業者が売り出していました。

散歩中の住民に話を聞いてみると・・


「おたくがこちらなんですね。へー。また高台にあって」(島田記者)

「ここね、来たときはこの木が全然なかったの。向こうも、ものすごくきれいに見えてて、景色が気に入って買ったんですけど」(住民の女性)


バブル直前、40代の時にこの土地を買ったというこちらのご夫婦。自然が豊かで、新鮮な空気が魅力だそうですが・・


「買い物は亀岡出るのも茨木出るのもだいたい(車で)25分ぐらい。2人とも車に乗りますんで買い物一緒に行って何日か分買って。その点はやっぱり不便ですね。病院なんか大阪の病院にかかってますし」(女性の夫)


町には商店はおろか自動販売機すらありません。曲がりくねった細い道はバスが通れないため、生活に車は欠かせません。

限界ニュータウンに住むたった一人の子ども

 中学3年生の森琴音さん(14)。町で唯一の子どもです。授業がある日は毎日、母親が車で片道30分かけて駅まで送り迎えしています。

「“ザ・放課後”のあるじゃないですか。図書館行ったり中庭で話したりっていうのが理想なんですけど、もう帰るメインです(笑)」(森琴音さん)


日が暮れると山道は危ないので、放課後はいちもくさんに、家まで帰ります。制服から着替えたら、真っ先に勉強です。


この日は、2キロ離れた「茨木台ニュータウン」から仲良しの美奈さん親子が遊びに来ました。母親の運転する車で山道を越えて会うことができます。


「いいなぁ、自販機あっていいなぁ~」(琴音さんの母)

「登下校のときに買ってた、こっそりお金持って(笑)」(美奈さん)

「いいなぁ~~。うちは自販機がないんだよね~」(琴音さんと母)


何をするにも、山道を下りないといけない生活。2人の母親は自分たちの町に愛着を持っていますが、共通の悩みも・・


「私はあそこ好きやから住めるんだったら住みたい」(美奈さんの母)

「私も自分の家は好きやけど運転できなくなったら・・」(琴音さんの母)

「その葛藤にさいなまれる(笑)。でも(娘の美奈さんが)心配で仕方がないらしくて。お願いやから引っ越してって(笑)。年いってまでそんなとこに住まれたら心配で寝られへんって(笑)」(美奈さんの母)

「私はたぶん勝手に出て行くけど(笑)」(美奈さん)

止まらない人口減少 荒れ放題の土地

 この生活の不便さからか、町を出て行く人は後を絶ちません。400ほどの区画のうち、いま住んでいるのはその1割、40世帯ほどです。道行く道で目に付くのは、手つかずのままになった・・・階段?


「ほとんど階段の体をなしてませんが、登ってみましょう。すごいとこだよ、これ。右側に家がありますね。カーテンがあります。でも、私の周りごらんのように倒れた木だらけ。この朽ち果て方を見るともう20年以上は放ってあるんでしょうね」(島田記者)


あちこちで見つけたのは、空き家や、雑草で荒れ果てた土地。買い手を探そうにも、なかなか見つからない理由のひとつは、インフラ管理の大変さにあります。


この「北摂ローズタウン」は、当初は開発業者がインフラを管理していました。しかし、バブル崩壊で業者が倒産して以降、管理は住民たちでせざるを得ない状況に。数百万円かかる道路や水道管の補修費用を工面するため、町では、土地の持ち主全員から「管理費」を集めています。管理費は住宅に住んでいれば年間4万5000円、宅地を持っているだけでも年間1万5000円。水道代や道路の補修費などに充てています。


「(土地を)持ってんの知らんかったって言う息子さんたちが。家の人から代わって。『そんな管理費なんているんですか。マンションじゃあるまいし』って」(管理組合長・津村有一さんの妻・ちづ子さん)


売りに出されている土地のほとんどは、何年も手つかずのまま放置されてしまっています。なかには、こんな衝撃の光景も!

放置された住宅街に忍び寄る危険

「わー!この先ですよこの先。あそこですよ。道路の左側。完全に陥没してますよ」(島田記者)


大きくえぐり取られてしまった、道路。去年の台風21号の大雨で陥没したまま、修復は全くされていません。夜道を車が通れば、崖の下に転落する恐れがあります。


「たしかにここ、管理組合が管理している道路だとしたら、これを直すというのは相当な人手と期間がかかるでしょうから。全部復旧させるとしたら相当な費用がかかりますよ」(島田記者)


この辺りには、どこから運ばれてきたのか、畳やタイヤなど不法投棄と思われるゴミが・・。しかし、この土地にも持ち主がいるため、勝手に処分することができないのです。

行政の対策は・・・

 こうした町の状況に、亀岡市長は・・・


「亀岡市としては最終的に(北摂ローズタウンに)人が居なくなったとすると空き家だけが残っていくと。それがスラム化すると、火事が起きたり違う人が入ったりして犯罪の温床になる可能性もあるのでこれからも行政としてはしっかり見守っていかないといけない。その地域に所有者が住んで頂く。別荘地のようにでも住んで欲しい。そういうことも含めてアピールできれば」(桂川孝裕・亀岡市長)


さらに桂川市長は「北摂ローズタウン」の現状に危機感を感じ、空き家を活用できる手立ても検討したいとしています。


平成の時を経て、変わり果てた「限界ニュータウン」。しかし、今の暮らしを守るには住民の力だけでは限界が見えてきているのかもしれません。

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特集

2019年5月3日

【ウエダのギモン】1年限定のカレー店誕生 吹田市が起業家育成へチャレンジショップ

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期間限定の食べ物屋さんって、イベントとかでよくありますよね。でも、そのイベントは1日とか1週間が多いじゃないですか。でもそれがなぜ1年なのか。実はこの“1年限定のカレー屋さん”が、この春、大阪の吹田市にオープンしたんです。いったい、どういうお店なのか行ってきました。

お店があるのは市役所の中

「ウワサの1年限定のカレー屋さんなんですが、なんとココ。吹田市役所の地下1階にあるというんです。一体どんな味なんですかね」(上田剛彦アナウンサー)


ちなみに、先月の選挙で再選した吹田市長は、お笑いコンビ・ジャルジャル後藤さんのお父さんです。


「なんかすごいオシャレな空間が。全体的には役所の地下って感じがあるんですけど、ココだけ(違います)、見てください!『カレーカフェまると』。ちょっと入ってみましょう。わ~香りがいいですね、スパイスの香りがするぅ!」(上田アナ)

「じゃあ、まずはそのカレーを食べてみないとね」(上田アナ)


ナゼ1年限定なのか?はひとまず置いといて、注文してみました。


(カレーが運ばれてくる)「あ、ありがとうございます。うわーすごい!けっこうボリュームがありますね。何だろう?スパイスだけじゃない香りがする。(一口食べて)うーん。おいしい。あっさりしててまろやかなんですけど、けっこうコクがある感じですよね」(上田アナ)


鶏からとった、ダシを効かせているそうです。それと・・・。


「鶏の削り節を最後に少しかけてるんですけど、それの香りがすごい強く効いていると思うんです」(まると 河野遼馬 店長)

「そうなんですか、(感心して)ふーん」(上田アナ)

「では本題に入らせていただきます。このお店、1年限定なんですよね?何でなんですか?」(上田アナ)

「吹田市のチャレンジショップという企画があって、そこにボクが応募して採用してもらったんです」(まると 河野遼馬 店長)

「それが、1年?」(上田アナ)

「取り決めというか、1年限定でお店を開けるという」(河野店長)

「なるほど、だから1年だけなんですね」(上田アナ)

庁舎内の喫茶店跡を利用 吹田市のチャレンジャー育成事業とは

「チャレンジショップ」とは、自治体や商工会議所などが、起業したい人にその訓練の場として空きスペースを提供する取り組み。吹田市ではこの場所を5年前から、月額およそ1万2000円で貸しています。同じくらいの広さの土地を吹田市役所の近くで借りると、20万円以上する物件もあるくらい。まさに破格の安さです。


「どうしてこの場所を貸すことになったんですか?」(上田アナ)

「もともとこちらの方に喫茶店があったんですけども、閉鎖になりまして、跡地の有効活用策として検討した結果、起業家の方の育成につながるような取組みができればということで」(吹田市 地域経済振興室 辻本征志さん)

「募集の条件みたいなのはあるんですか?」(上田アナ)

「出店が終わった後、市内で開業につなげていただく意志のある方です」(辻本さん)

「じゃあ、市としては、この場所が空きっ放しになっているのを防ぐということと、それから市内がにぎわうということ、この2つがあると。主な目標としては。」(上田アナ)

チャレンジャーは19歳

「実際にお店をやってみて発見したことあります?」(上田アナ)

「そうですね、やっぱりランチでは、決まった時間にお客さんが多く来るので、そこのさばき方というか、どう対処していくのかは、すごく勉強になってますね。カレーと一緒に副菜も盛ってるんですけど、注文が入ってから盛っていくと追いつかないので、ある程度お皿に盛り付けたまま用意しておくとか」(河野店長)


ココは市役所の中ですから、お昼になるとたくさんの職員の方が一斉にやって来て、確実に混雑します。だからこそ、イイ訓練になるんです。


「ココのカレー屋さんよく来られるんですか?」(上田アナ)

「そうですね、週に何度か。けっこうカレー好きなんで」(職員)

「卒業した後もがんばってほしいと思いますね」(職員)

「ホントですか。もしじゃあ1年後、他の所でカレー屋さんが始まったら行かれます?」(上田アナ)

「行きたいなと思ってます。できたら、市役所の近くはあまり食べるところないので近くでやってもらえたらうれしいかなと」(職員)


訓練の場とはいえ、ココは、お客さんからお金をいただく、立派なお店。まだ19歳の河野さんだけでは心配だからと、実は、お父さんもできるだけ手伝いに来ています。閉店後。河野さんは、お父さんが経営する焼き鳥店を借りて、翌日のカレーを仕込みます。


「一日、何食つくるんですか?」

「基本、50食くらいは。日によって変えるんですけど」(河野さん)


河野さんの背中を押したのは、お父さんでした。


「自分で商売したいと子どもの頃から言ってたので、そうなればいいなと思っているけど、商売ってそんなに甘くないというか大変なんですよね。(息子には)たくさん失敗してほしいです」(河野さんの父親)


起業家を育て街ににぎわいを!

吹田市役所のチャレンジショップで、河野さんは「5期生」にあたりますが、”卒業生”の中には、念願だった自分のお店を出せた人がいます。


去年卒業した「4期生」は、吹田市の江坂に「しまや」というお店をオープン。女性一人で切り盛りする、小さなおばんざい屋さんです。


「チャレンジショップでどんな収穫がありましたか?」

「私は1食でたくさんの品目をとっていただくお料理を作りたいと思ってるんですけども、できるだけコストがかからないように、お料理に工夫をするということがすごく勉強になりました」(『しまや』を経営する「4期生」島田靖子さん)


おととし卒業した「3期生」は、市役所から歩いて2分のところに「ななまる食堂」というお店を出しました。


「ココですか。おー。なんかすごくポップでかわいらしい食堂ですよね。にぎわってます。たくさんのお客さんが今いらっしゃってますね」(上田アナ)


吹田市は、市内にこんなにぎわいを増やそうと、チャレンジショップを卒業した後も、中小企業診断士という専門家が定期的に、経営のサポートをしています。ななまる食堂では、「メニューの書き方のコツ」を教えてもらったそうで・・・


「以前はメニューのすべてにラインを引いて、この方が見やすいかなと思って作ってたんですけども、これだと何がイチオシなのかとかが分かりにくいと。イオシの物だけにラインを引いた方が分かりやすいよとアドバイスしていただきました」(3期生 栢本洋子さん)

「なるほどー。それは確かにと思いました?」(上田アナ)

「思いました。できあがってみたらやっぱり違うなあって」(栢本さん)

「やっぱりこの特製唐揚げ定食オススメですか?」(上田アナ)

「オススメです」(栢本さん)

「わっ、すごいボリューム、おいしそう。持っただけで衣のサクサク感が伝わってくる。(唐揚げを頬張って)うーん、美味しい!」(上田アナ)

「ホントにお家の味の昔懐かしの唐揚げなんですけども」(栢本さん)

「これでおいくらでしたっけ?」(上田アナ)

「こちらで600円ですね」(栢本さん)

「安い!」(上田アナ)

吹田市のチャレンジショップは、確かに、にぎわい作りの一助になっているようです。チャレンジショップ自体は、全国にいろいろあるんですが、吹田市の場合、起業を考える若い人たちに手厚いサービスを提供していると率直に感じました。営業する以上、必ず出て行く固定費である家賃を格安に抑えてあげる。庁舎内のスペースを貸すことで、職員が最初のお客さんとしてついてくれる。引っ越した後も応援してくれるということであれば、安心して続けていけますよね。毎年、多くの飲食店が店をたたんでいる現状を考えると、吹田市の試みは、人を育て自治体の活性化を図るということで、とてもユニークなのではないでしょうか。



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