誰でも汚れた水が飲める?
「ウワサの浄水器の実力が知るために待ち合わせをしたのがこの小学校なんですが、いったいどういう関係があるんでしょうか。あれっ、校庭を自転車でやってくる人がいますよ。ほらっ、まっすぐこっちに来ました」(上田剛彦アナウンサー)
自転車で登場したのは、浄水器の会社「ベーシック」の佐々木智(さとし)社長です。
「こんにちは、ABCテレビの上田です。えっと、今日、浄水器の待ち合わせ・・・ですよね?」(上田アナ)
「そうです」(ベーシック 佐々木智 社長)
「自転車でいらっしゃったってことですよね。あら~浄水器は特に積んでいない・・・ですよね?」(上田アナ)
「実は浄水器はこちらです」(佐々木さん)
「おっ、これ!?浄水器を自転車で持って来たということなんですか?」(上田アナ)
「実はこの自転車も含めたものが浄水器なんです」(佐々木さん)
「え!?」(上田アナ)
ごく普通の自転車のように見えますが、これ自体がすごい浄水器。その名も「浄水自転車モバイルオアシス」。でも、なんで自転車なんですか?
「この装置は元々、緊急災害時に使用できるように、移動して飲み水をつくる浄水装置になります。小学校、中学校というのは、緊急災害時に避難所に設定されています。常に学校のプールというのは防火用に水が貯められています。それをなんとか飲み水にできないかというのが、私たちのプロジェクトです」(佐々木さん)
浄水器会社「ベーシック」の佐々木社長との待ち合わせ場所は小学校でした
佐々木さん、きょうは浄水器を見せてくれるんじゃないんですか?
浄水自転車モバイルオアシス
災害時にプールの水が飲める!電気いらずの浄水自転車
9月に入ってから使われず、水を貯めたまま放置されたプール。これを飲み水に変えるなんて本当にできるんでしょうか。今回、兵庫県にある伊丹小学校にご協力いただきました。
「これはさすがに(無理でしょう)・・・だって、藻が生えてますもんね。うやぁ~。あっ、(すくってみたら)結構きれいだった」(上田アナ)
一見、きれいそうですが、よく見てみると濁っているのがわかります。それだけじゃないんです。
「あ、あっ、動いてる!動いてる!なんかミジンコの仲間かな?プランクトンがいる」(上田アナ)
見えますか?このピクピク動く生物。こんなのがうようよいるんです。
「(ビーカーを鼻に近づけ)クサイ!植木鉢にたまった水の臭いがする。これを飲んだら大変なことになってしまうと思います。これはもう今日はやめましょう、ってことにならないですか?」(上田アナ)
「いえ、十分大丈夫です」(佐々木さん)
「十分ですか?望むところ?」(上田アナ)
「はい、大丈夫です」(佐々木さん)
9月から放置されままの小学校のプールです
濁っているというか、何かいっぱい動いてますよ
正直、この水を飲むの怖いんですが・・・
どうやって水を飲めるようにするのかというと、ホースを使って水を吸い上げ、いくつものフィルターを通して飲み水にする。それにしても電源はいらないんでしょうか?
「それでは、漕いでみてください」(佐々木さん)
「漕ぐ?なるほど人力なんですね。だから、この自転車が必要だったと!」(上田アナ)
「そういうことです」(佐々木さん
「(ペダルを漕ぎながら)こういう感じ?あ~、もう普通に乗ってる感じ・・・(ガラス容器に水が溜まっていく)うぉ~っ、すごい出る!すごい出てる!!」(上田アナ)
「そうですね、だいたい浄水できる量は、毎分4リットル~5リットル浄水することができます。」(佐々木さん)
用意したビーカーは10リットルなので、2分でいっぱいになる計算です。
動力は自転車を漕ぐ力、つまり人力でした
毎分、5リットル浄水できます
「すごい軽い!」(上田アナ)
「そうですね、避難地では、色んな方がいらっしゃるので」(佐々木さん)
「これ、誰でもできると思いますね」(上田アナ)
「そうですね」(佐々木さん)
本当に軽かったです。道路を走るよりも断然、軽い力で漕げました。
「(漕ぎ終わって)すごい、なんの疲れもない。むしろ、ちょっと運動して気持ちいいぐらい」(上田アナ)
「これ、今、僕がつくった水ですか?」(上田アナ)
「そうです。今、つくっていただいた水です」(佐々木さん)
「じゃあ、すくってみよう。あら~透明だわ」(上田アナ)
比べてみると、一目瞭然。左が浄水前の濁った水で、右が浄水後の飲める水、透明度が全然ちがいますよね。ただ、透明になったとはいえ、プールの水に変わりはない。少し抵抗はありますが、飲んでみることに。
これなら誰でも簡単に飲み水をつくれるんじゃないですか?
10リットルの容器が2分で満杯になりました
浄水前のプールの水(左)と浄水後のプールの水(右)
「臭いは全然ないですね。さっきは藻みたいな臭いがしていましたけど」(上田アナ)
「(一口含んで)飲めるな。飲めますね。ふつうの水です。臭くない」(上田アナ)
「そうですね」(佐々木さん)
「あれっ、臭いもなくなるんですね」(上田アナ)
「活性炭が入っているので、臭いもきっちりと吸着します。基本的には自然の汚れであるならば、対応可能です」(佐々木さん)
「自然にたまった水、自然に流れる水、でも、飲めない水を飲めるようにできるってことですよね」(上田アナ)
なんでこんなにスゴイことができるのかというと、秘密は3つのフィルター。まず汚れた水は、吸い上げる際に1つめのフィルターを通ります。ここでおおまかなごみが取り除かれます。次に自転車の荷台にある2つめのフィルターで目に見えない細かいゴミや臭いを除去。この時点で手洗いなど生活用水に使えるそうです。そして最後に3つめのフィルターで、大腸菌をはじめとした細菌を除去します。こうして飲料水ができあがるのです。
恐る恐る飲んで見ると・・・
3つのフィルターがごみ、臭い、そして細菌を取り除きます
「今これ、10リットル出しましたけど、これだけでどれくらい飲める水をつくれるんですか?」(上田アナ)
「実は、そのフィルターの寿命にかかわってくるんですが、水質によって非常に変わります。ただ、私どもの実験で、学校のプールでいきますと、大体3000リットルから5000リットルがフィルターの寿命になります」(佐々木さん)
人が一日に必要な水分量は2リットルとされています。それが今回の浄水器によって、およそ3000リットルも確保できるんですから、避難所だったらかなりの人を助けられますよね。
せっかくですので、僕以外の人にも、学校のプールの水を飲んでいただきました。
「校長先生!プールの水なんですけど、今、浄水したんですよ。飲みます?」
「大丈夫ですか?」(伊丹小学校 森田邦彦 校長)
「一応、ぼくらも飲みました」(上田アナ)
「じゃあちょっと飲んでみたいと思います。(一口味わう)」(森田校長)
「どうですか?」(上田アナ)
「普通の水と変わらないですね」(森田校長)
「飲めますよね。さっきはプランクトンがいっぱいいたプールの水ですが」(上田アナ)
「不思議ですね」(森田校長)
続いて通りかかった教頭先生にも。
「でもきれいですよね。いただきます・・・(飲んでみて)あっ、普通の水です。おいしい!飲めます飲めます」(八尾千枝 教頭)
「臭いとかどうですか?」(上田アナ)
「大丈夫です。びっくりした(笑)」(八尾教頭)
「ちょっと嫌な予感したみたいな感じありました?」(上田アナ)
「絶対そんな無理って思ってたんです。すみません。たぶん何も言われず飲んだら、ふつうにおいしい水だって思うと思います」(八尾教頭)
伊丹小学校の森田邦彦 校長
浄水したプールの水は、八尾千枝教頭先生も納得のお味でした