日本で「液体ミルク」が注目されたのは、3年前の熊本地震のとき。当時、国内に液体ミルクはなかったため、フィンランドから、被災地の保育所に届けられました。カメラの前では、ミルクをもう卒業した子が飲んでいましたが、県内で5000本が活躍。ただ、その後は・・・。
「北海道の地震のときにも災害の支援物資として送られたんですけど、残念ながら北海道であまり活用されなかったんです」(水越さん)
北海道の避難所では、「これが液体ミルクだ」との情報が正しく伝わらず、「キケン。飲むな」という紙が貼られ、手つかずになるケースが続出したのです。
「パッケージの表示が外国語であったりとか、そもそも液体ミルクについて知らない中で、これを使って良いかどうか分からないっていうところで使われなかったんだと思います」(水越さん)
「国産にこだわった理由っていうのもそういうところにあるんですかね?」(上田アナ)
「日本のお父さんお母さん、育児にかかわる方々に、きちんと日本で製造されたものをお届けしたいっていうところでこだわって作りました」(水越さん)
2016年の熊本地震で脚光を浴びました
赤ちゃんにも日本で作られたミルクを飲んでほしい!
育児の負担を減らしたい!
液体ミルクが活躍するのは災害のときだけではありません。日常の授乳に使えば、手間を格段に減らすことができます。粉ミルクとの最大の違いは、ミルクをつくる時間。粉だと、お湯で溶いてから冷まさないといけないので、ママは 平均 7分半、パパは 12分半もかかるそうです。でもそれが液体なら、ものの10秒。哺乳瓶に移し替えるだけ。しかも、清潔に移す工夫まであるんです。
「はさみを使っていただくと衛生的によろしくないので、衛生的に移し替えていただけるようにストローを開発しました」(水越さん)
「へー」(上田アナ)
「このストッパー部分が一番大事なポイントになるんですけども、このストッパー部分が完全に隠れるまで一旦差し込んでみてください。で、少し引き上げていただくと完全に穴がふさがります」(水越さん)
「うん。ストローの先も、容器の差し込み口も全く手に触れていない」(上田アナ)
「衛生的です」(水越さん)
「もし仮に僕が泥だらけの手だとしてもたぶん大丈夫でしょうね」(上田アナ)
「それは・・・調乳前は必ず手を洗ってください」(水越さん)
「わかりました。はい」(上田アナ)
あとは一気に移すだけ。
「最後まできれいに入ります」(水越さん)
「逆さにしてもこぼれないですね」(上田アナ)
「はい」(水越さん)
「あっ、もう空っぽですね。ストローが底まで入ってないので、完全に注ぎ切ることができます。内容量が125ミリリットルなので。125、ホントにピッタリ入っています」(上田アナ)
毎日、これだけの時間を何回も費やさなくてはなりません
専用ストローもつくりました
赤ちゃんの健康を一番に考えました
一滴残らず移し替えることができます
液体にするからこその苦労があった
ただ、みなさん、こんなギモン沸きませんか?「日本初の液体ミルク」って たいそうに言いますが、グリコでは、以前から粉ミルクをつくっています。液体ミルクは、その粉を単に溶かしてパック詰めにしただけではないんでしょうか?
「全然違います」(水越さん)
「全然違うんですか?」(上田アナ)
「全然違います!」(水越さん)
「でも成分はそうなんですよね?」(上田アナ)
「成分は赤ちゃんに必要なものが入っているので、粉ミルクも液体ミルクも同じですけども。液体ミルクは液状であるがゆえに、保存期間中に微妙に変わってくる成分があるので、それでも赤ちゃんにとって必要な成分がきちんと担保できるように商品を一から作っています」(水越さん)
もともと、赤ちゃんが飲むミルクにはこれだけたくさんの栄養が必要で、その量も細かく決められています。青と緑の線の間に入らないといけないんです。
「ホントにわずかな隙間を縫うみたいに栄養を分布させなきゃいけないと?」(上田アナ)
「そうですね」(水越さん)
研究に研究を重ねた結果、赤い線で示されたのが、グリコの液体ミルク。しかもこれらの栄養を、変化しやすい液体の中でも保ち続けるという、大変な苦労がありました。
失礼な質問をしてしまいました
液体だからこそ赤ちゃんの栄養に必要な成分を維持する苦労がありました
赤ちゃんが飲むミルクに必要な栄養素です。こんなにあるんですね
常温でも腐らない
「どれくらい持つんですか?」(上田アナ)
「弊社のもので半年の賞味期間になります」(水越さん)
「半年!?冷蔵庫入れなくていいんですか?」(上田アナ)
「冷蔵庫には入れないでください」(水越さん)
「常温保存?」(上田アナ)
「常温保存です」(水越さん)
「ミルク、常温保存でいいんですか?」(上田アナ)
「ミルクを無菌化した状態で充填しているので、そもそもこの中には菌は一切いませんので常温で保存していただいても腐らないのが特徴です」(水越さん)
えっ、冷蔵庫に入れなくていいんですか!?
“白さ”を追求した
今回の開発で最もこだわったこと。それは・・・
「色の白さです」(水越さん)
「色?」(上田アナ)
「はい」(水越さん)
「白ですよね?」(上田アナ)
「はい。白です」(水越さん)
「普通白になるんじゃないんですか?」(上田アナ)
海外の液体ミルクの多くは、意外にも「白くない」んだとか。
「確かに全然違いますよね」(上田アナ)
「海外の製品で多いのは、長い時間ミルクを殺菌する方法をとっているのでミルクの成分が一部こげてくるんです」(水越さん)
一方のグリコは、白さを保つために、殺菌は短時間、でもその分、超高温でという方法をとりました。
「やはりお父さんお母さんに受け入れていただこうと思うと、よりナチュラルな色合いの方が良いのではないかということで色の白さにはこだわりました」(水越さん)
「やっぱり色としては白の方がいいよねってことですよね?」(上田さん)
「はい」(水越さん)
せっかくですので、ちょっと味見を。まずは海外のミルクから。
「さらっとしてるんですけど、なんて言うのかな、そんなにおいしいおいしいとゴクゴク飲める感じではないです」(上田アナ)
一方、グリコのミルクは・・・
「わずかに甘さを感じるかなぁ。ミルクっぽさは感じる」(上田アナ)
海外製の液体ミルクは白くないのです
当たり前だと思っていることを実現することが大変でした
肝心の赤ちゃんの反応はどうなんでしょうか?
値段は粉ミルクの3倍
「これ、ちなみに、1コいくらぐらいなんですか?」(上田アナ)
「200円で販売させていただいてます」(水越さん)
「125 ミリリットルですよね。粉ミルクで同じ量をつくろうと思ったらだいたい値段の差はどれくらいなんでしょう?」(上田アナ)
「だいたい3倍ぐらいになります」(水越さん)
「液体ミルクの方が3倍高い?」(上田アナ)
「はい」(水越さん)
たいへん便利ですが、粉より3倍高い液体ミルク。みなさんは どう感じますか?
家計を預かるママさんはどう思いますか?
アジアでは一般的でないミルクですが、フィンランドでは9割が液体ミルクです。スウェーデンでは半分、フランスやスペインでもかなり一般的に液体ミルクを使っています。育児のことを考えると、母乳が出にくいお母さんもいます。飲むのが上手じゃない赤ちゃんもいます。いろんな赤ちゃんがいて育児スタイルがあります。それに合わせて液体ミルクをうまく取り入れていってはいかがでしょうか。