手塚「今回のミュージカルを企画、制作しているわらび座は、私の父、手塚治虫とは古くから親交があります。戎本さん、このわらび座の特徴をご紹介いただけますか?」戎本「創立は1951年、朝鮮戦争が起こったとき。原太郎ら3人が人間の命を大切にする、平和への願いを込めて芸術家として関わっていきたい、生きていきたいという思いが原点です。劇団として各地を回る中で、皆さんが喜んでくれたのが、各土地土地に伝わる民族芸能や和太鼓でした。それで現在民謡の宝庫である秋田に本拠地を構えて、日本の民族芸能をベースにした舞台を創るようになりました」
手塚「朴さんは今回わらび座には初めてご出演されましたが、いかがですか?」朴「劇団員の皆さんは本当にピュアで、民族芸能されているというオーラがすごくあります。これが本当のエンターテイナーではないかというオーラが出ていて新鮮でした」手塚「劇団側として、朴さんを主演に迎えられましたが、印象は?」戎本「僕らも新鮮な思いと言うか、どうしても劇団なのでほかの演劇世界で生きていらっしゃる方との接触が少ないのです。自分たちが当たり前と思っていることが、実はちょっとおかしいのではないかというようなことを、改めて見つめ直すようなきっかけになりました。とてもいい刺激になり、切れない絆が結ばれました」
手塚「今回のミュージカルの見所、お客さんに伝えたいものを朴さんからお教えください」朴「妹尾河童さんの舞台、セットが見所だと思います。『火の鳥』の舞台は木がテーマです。でも本物の木ではなく特別に作ったものです。それと海外作品の負けないくらいのスケールの音楽。その迫力と美しいメロディーはおすすめです。どうぞCDをお求めいただいて、聞いて頂きたいです」
手塚「戎本さんは?」戎本「原作自体も、とらえどころのない大きさというものがあります。ですから私たちも、こういうことを伝えたいというよりも、舞台をお客様が自分の価値観で受け止めてくださればいいなと思います。自由に感じてください」
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