手塚「戦車と言うと突進していくイメージがある中で、この『やわらか戦車』のキャラクターは“退却”と言って、後ずさりしてしまう。ここにも何かコンプレックスがあるのですか?」ラレコ「戦争って恐いじゃないですか。反戦という行為も僕としては戦いに思えて、それすらも面倒だなと。すべての戦いから退却したい、弱い自分を投影した姿というのはあります」
手塚「ラレコさんは作画から主題歌、キャラクターの声まで全部お一人で作られていますね」ラレコ「一人で作ると言っても商業アニメよりは手はこんでないですし、一人で出来るようにデザインされてるんです、予め。またFlashというソフトを使うと人力でやっていたことをコンピュータがある程度補助してくれます。ですから一人でやる環境は整ってきたと思います」手塚「これを1話作るのにどのくらいかかるのですか?」ラレコ「ものにもよりますけど、一週間ぐらい頂ければ」手塚「一人でやってることを楽しんでいらっしゃるようですね」ラレコ「人に頼むとダメ出しするのが厳しいんです(笑)だから自分でやっちゃえ、と」
手塚「ファンの要望に応えるプレッシャーはありますか?」ラレコ「ありますねぇ。ネットなのでダイレクトに声が届きます。“つまんない”“やめろ”という声も届いてくるので、どうしたらこの人達が次、喜んでくれるのかなと...、苦情処理係みたいなもんですね(笑)きついものもある反面、面白がってくれる方がいると、報われたなという気分になって、次の作品に繋がります」
手塚「ラレコさんは現在『やわらかアトム』を手がけています。『やわらか戦車』と『アトム』のコラボで『やわらかアトム』ギャグじゃないかと思いますが(笑)この作品が始まった経緯を教えてください」ラレコ「手塚プロの方から“『やわらかアトム』ってどうよ”と言う感じで話を持ちかけられまして、最初はイラストを描いてという話だと思っていたんです。だから『やわらか戦車』にアトムカツラみたいなものをつけて、一枚の絵を提出したら、“動いてないとつまらないんだよね”と言われて(笑)結局アニメーション作品として作ることになったんです」手塚「最初にその話がきた時はどうでした?」ラレコ「無茶でしょうと思いましたけどね(笑)かなり腰が引けました、正直」手塚「回りの方の反応は?」ラレコ「僕も実際わからないのですけど、イメージが全然違うとお叱りの言葉を相当いただきました(笑)」
|