EarthDreamingロゴ 放送内容
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4月 ラレコ
4月
~5月
パク・トンハ
戎本みろ
5月 白井貴子
5月 北澤肯
5月
~6月
中島まゆみ
6月 杉浦邦俊
6月
~7月
伊藤遊
7月 高津玉枝
7月
~8月
高木俊太
村上由里子
8月 石川雅之
8月 大野由紀恵
9月 藤田志穂
9月 宮腰義仁
10月 時東ぁみ
10月 森摂
11月 竹宮惠子
11月 槇原敬之
11月
~12月
冨田勲
12月 上岡裕
12月 川端由美
12月 2008年を
振り返って
1月 赤塚りえ子
1月 中島まゆみ
1月 箕輪弥生
2月 イェンス・イェンセン
2月 武田双雲
3月 郷慎久朗
3月 椎名法子
3月
~4月
森摂
3月28日ゲスト:雑誌『オルタナ』編集長森摂さん

森摂5  森摂さんは2008年10月にもこの番組にご出演いただきました。

 手塚「オバマ大統領になって大きく変化したと言われるアメリカの環境政策についてお伺いしていこうと思いますが、まず森さんのオバマ大統領の印象をお聞かせください」森「政治家としてはものすごく自分の言葉を持った人で、それが環境政策にも出ていると思います。マケインもオバマも脱石油と言うことでは一緒でしたが、マケインは脱石油の先が原子力、オバマは自然エネルギーという違いがありました。そしてオバマが大統領になり、グリーンニューディール政策が出来ました。大事なことはこれがアメリカだけにとどまらなかったと言うことです。『グリーンニューディール』という言葉は日本でもご存知の方が多いと思いますが、イギリスを始めヨーロッパでもこの言葉は使われています」

 手塚「確かに『グリーンニューディール』という言葉が知っていますが、どういうものなのかは分かりません。詳しく教えていただけますか?」森「『ニューディール』という言葉は日本語にしますと『新機軸』です。つまりその時その時の政権が打ち出す新機軸、しかも表看板というかかなりメインの政策です。フランクリンルーズベルトが1933年に実施したニューディールに引っかけて『グリーン』という言葉をつけたと言うことです」手塚「その頃の世界恐慌をなんと打開しようとした一つの政策ですね」森「そうです。今もまさに世界恐慌ですからこういう言葉の引っかけもあったと思います」手塚「そこに『環境』と言うことを持ち出して何とかしていこうというところが今までにないと言うか画期的ですね」森「ただ中身はみんながあっと驚くようなことではないと思います。完全な日本語にすると『緑の新機軸』と言うことです。どういうことかというと特別なことをするわけではなく、同じ公共工事をするにしても風力とか太陽光発電を設置したりなど、今までの基軸を緑の方にずらすという意味だと、僕はとらえています。もう一つ『グリーンカラー』という言葉が流行ってくると思います。これは『ホワイトカラー』『ブルーカラー』という言葉がありますが、『緑の襟』ですね。つまり環境関連のビジネスに携わる人たちと言う意味です。そういう人たちを500万人作るとオバマさんは仰っています。それは例えば風車の建設や、アメリカは送電線が古くてロスが多いのでそれを交換したり、太陽光発電、バイオマスに人々が従事していくと言うイメージだと思います」

 手塚「例えばカリフォルニアなどは環境に関心を示していましたが、大統領が替わったことでどれぐらい変わってくるのですか?」森「それはまず予算が付きます。この制作には10年間で15兆円の予算が付いています。これはアポロ計画と同じ規模の予算です。それぐらい気合いが入っていると言うことです。アメリカの国の環境意識というのは決して高くありません。車社会であり大量生産大量消費の象徴のような国だったわけです。それが『グリーン』と言っているわけです。一般レベルではそこまで意識は浸透していないと思います。環境意識は日本人の方が高いと僕は思っていますが、トップが違うと国全体の動きにならないと言うところが寂しいです。環境問題は実はエネルギー問題であり、エネルギー問題は政治の問題です。と言うことは環境問題を解決するには政治を変えるしかないと、最近この思いを強くしています。特にこれからの政治を変えるには若い人の力に期待したいと思います。それで『オルタナ』の中に“アンダーフォーティが日本の政治を変える”というページを作りました」


森摂6 手塚「グリーンニューディール政策の中で、『プラグインハイブリッド車の普及』というのがありますが、これは伸びゆくものでしょうか?」森「僕も取材するまで走らなかったのですが、燃料電池車や水素の自動車など新しい技術が開発されていますが、それが本流になるのは40~50年先。その間の主流はハイブリッドです。まだまだ車全体に占めるハイブリッド車のシェアは少ないですが、これからドンドン出てくると思います。その一つの形態が『プラグインハイブリッド』です。プラグインと、普通のハイブリッドの違いはご存知ですか?」手塚「プラグインは自分の家でも充電出来ると言うことですね」森「よくご存知ですね。プラグインは家に帰ってきて充電が出来ると言うことです。今までのハイブリッドはガソリンがメインでしたが、要はより電気自動車に近くなると言うことです」手塚「そうなるとアメリカのイメージが変わってきますね」

 森「もう一つ『グリーン』とはどういう意味かというのを押さえておきたいと思います。『グリーン』はたんにエコロジカルだということではなくソーシャルとかエシカル(倫理的な)と言う新しい価値観が合わさって『グリーン』という言葉になっていると思います。これは環境ことは一番大事ですが、社会のことや倫理的(人権や貧富の格差等をさしています)そういう方向にシフトし始めていると考えています」

 手塚「この『グリーンニューディール』という言葉が浸透しつつある中で、アメリカの可能性はどのくらいあると思いますか?」森「大きな可能性があると思います。まだ具体的にここがこうなったというのは出てきていません。今はビジョンを示した段階です。でもそのビジョンを示すことが大事なのです」

 手塚「オバマ大統領になって世界規模で地球温暖化をどうにかしようという態度を変わってくるのではないかと思っていますが」森「ただ京都議定書の枠組みでいうとアメリカ正式に参加表明はしていません。つまりまだブッシュ時代と政策は変わっていないということです。ここがオバマ政権の一つの試金石になると思います。そのタイムリミットは今年12月にデンマークのコペンハーゲンで開かれるCOP15、そこですべてが決まります。6月にはあらかたのあらすじが決まります。そこでアメリカが参加表明を出来るかと言うのが大きなポイントだと思います」

 手塚「アメリカが変わっていくということで日本の企業のかが田はどう感じて一羅紗いますか?」森「今景気が悪くなっています。そこに“環境”というのはお金がかかる、社会貢献もそうです。それでも“環境”やると明確にいうところと消極的なところと大きく別れていくと思います。そのポイントはトップ、社長が環境の大事さを分かっているかどうかです。それにつきると思います。4月にでる『オルタナ』では“社内をグリーンにする7つの方法”と言うタイトルです。その中でもトップが変わらないと、と言う結論になっています」

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4月4日 ゲスト:雑誌『オルタナ』編集長森摂さん

前回に引き続き、ゲストはビジネス情報誌『オルタナ』編集長の森摂(もり・せつ)さん。

『オルタナ』は、会社の規模や知名度、売上げや利益の大小といった「古いモノサシ」ではなく、環境や社会貢献などについて「志」を持って取り組んでいるかどうか?という「新しいモノサシ」で企業を評価し、21世紀の理想の会社像、理想の経営者像を探っている雑誌です。

2009年3月号、第一特集のテーマは「ソーシャルなお金の貸し方」。ソーシャル・ファイナンスの役割と現状、そして森さんがインタビューをされた、ap bank代表理事で音楽プロデューサー、小林武史さんの印象などについてお話をうかがいました。

森摂

椎名法子さん 中島悠さん

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