|
2月26日ゲスト:石井竜也さん |
石井竜也さんは1985年“米米CLUB”のヴォーカリストとしてデビュー。数多くのヒット曲を発表し、また平行して映画監督としても活躍されています。昨年は愛知万博“愛・地球博”のレギュラープログラム総合プロデューサーを務められました。
手塚「石井さんは手塚治虫のファンということで、一度お話を伺いたいなと思っていますが、それは今日は置いといて、まずは2月8日にリリースされたミニアルバム『ダンス・ナイロン』とDVD『ナイロン・クラブ・スーパー・デラックス』についてお聞かせください」石井「『ダンス・ナイロン』というアルバムは、『ナイロン・クラブ』というツァーを3年間続けてやろうと思いました。ですから4年ぐらい前に企画しまして今年、3回目のツァーなんです。なんで3回続けようかと思ったかというと、やっぱりバジェットとしてセットを最初から巨大に出来ないんですよ。だから1年ごとに巨大にしていこうと。3年計画で大きくしていけばいっぺんにお金がかからないだろうと思ったんですが、同じようにかかっていくんですね(笑)ビックリして、これは読みが甘かったなという感じなんですけど...それでツァーネームが『ダンス・ナイロン』なので、その名前でアルバムも出しちゃえということだったんです。これ最初4曲入りだったんですが、それが6曲になり7曲になり...結局7曲入りなんですが8曲分ぐらい楽しめる内容です」手塚「元々ショーがあって、それをCD化したわけですね」石井「そうですね。このツァー、1回目のテーマが『昭和初期のエセ・ジャズ』2回目が『ラスベガス』今回は『ゴッド・ファーザー』がテーマです」手塚「1回ごとに趣向が違うんですね。それじゃ、1回ごとに費用がかかっていきますね(笑)」石井「だからペイ出来てません。だから足を運んでください(笑)相当珍しいものが見られますよ。目がだれちゃったという人は1度見に来ると鱗が落ちます。“まだいるんだこういう人が、私また5年頑張って生きられそう”というようなコンサートですから」
|
手塚「このコンサート大阪は3月12日に大阪フェスティバルホールで行われるのですが、大阪の印象は?」石井「大阪は深いですよね〜。笑いに関してはシビアですからね〜。だから大阪に行く時は何か緊張しますね」手塚「でもそれは音楽のコンサートというよりはお笑いのような...」石井「お笑いですから、僕は(笑)全然思ってませんから、自分がアーティストだとは」手塚「じゃー、いかに笑いを取るかということに挑んでいくんですね」石井「大事ですから。大阪の人は転んでもただじゃ起きないですから、元取って、それ以上にとって帰ろうとしますから、大阪のアンコールは地獄ですよ。いつ止めさせてくれるんだよと、すごいですよ(笑)」手塚「でも逆にそれは石井さんの側も触発されることがあったり...」石井「いえ、いえ、勉強ですね、僕は。でも大阪は盛り上がるでしょうね、こういうコンサートは。絶対に好きだと思いますよ」 |
3月5日 石井竜也さん |
手塚「石井さんが一番最初に出会った手塚作品は何ですか?」石井「やっぱり僕の世代だと『鉄腕アトム』だと思うんですよね、白黒の頃のテレビで見た。それから物心ついて『火の鳥』『ブラックジャック』あたりですね。それから『アラバスター』『アドルフに告ぐ』など、手塚漫画はただロボットが出てきたり不可思議な話が展開するだけじゃない、ものすごく深い見地に基づいて作られている物なんだということが分かってきましたね。だから40代という世代は手塚治虫という人に教育された年代ですよね。育てられたと言っても過言ではないんですよ。日本人の精神性、意識というものを育てあげた人だと思いますよ。例えば、チャリティーの考え方であるとか、人への思いやり、地球規模での世界観、民族同士の考え方、そういう壁の高いものを漫画にして、分かりやすく説明して、血の中にねじり込んでくれた人というイメージがありますね」
手塚「これは読めなかったという作品はありましたか?」石井「『アラバスター』ですね。手塚さん自身もこの作品の頃は自分の絵が嫌いで、自暴自棄に陥ってたと仰っていましたが、やっぱりこの作品は病的に深すぎるような気がして。読んでいて手塚作品には珍しい不快感を感じた記憶があります。ただその後の『アドルフに告ぐ』繋がっていくんでドラマ性の強い作品に向かっていこうとしていたんだなと、その後気付くんですが」手塚「でもこの作品はあまり皆さんご存じないんじゃないでしょうか。石井さんはそういうコアな所をついてきますね」石井「『雨降り小僧』は僕が『河童』という作品を作ったきっかけになったいます。やっぱり手塚さんの持っている愛情と言うか、作品の中に流れている人間愛みたいなものは今までの日本のストーリーテリングとは違う情があるんですよね。それはやっぱりインテリジェンスだなと思ったんですよね。そのインテリジェンスが人を惹き付けて離さない魅力になってるんだなとという気がしますよ」
|
手塚「石井さん自身が映像化してみたい手塚作品はありますか?」石井「『火の鳥』ですね。過去何本か実写版見たんですが、頑張っているんですがなかなか表現し切れていないと思うんです。また『火の鳥』自体、当時の技術では実写には難しいんですよ。でも今の技術だったら絶対表現出来ます。それに不死鳥というのは世界的にも魅力的なキャラクターだと思います」
手塚「石井さんの今後の予定についてお教えください」石井「今ツアー中ですから、ぜひとも見に来ていただきたいですね。それと『グランドエンジェル』というイベントをライフワークとしてやっているので、それもご期待ください」
|
3月12日 石井竜也さん |
手塚「石井さんは『火の鳥』を映像化したいとおっしゃっていましたが...」石井「あの“不死”というものをテーマにするとまず“命”を考えますよね。限りがあったんだとか、生まれてきたんだとか、いつか死ぬんだというようなことを考えさせられますよね。これ、反戦にも、自然保護にも繋がるんですよ。不死鳥はなかなかいいテーマですよ。後ね、日本の歴史が何気に分かるんですよ」手塚「『火の鳥』は十二篇あるんですけど、どれを手がけたいですか?」石井「一番最初の卑弥呼が出るヤマト篇から、猿田彦出てくるあたりですね。あれをリアルに撮れたらね、すごいだろうね。ライティング使いたくないんですよね。ロウソクをいっぱい使えばフィルムだったら撮れるしね」手塚「今までの『火の鳥』は火の鳥ありきでまとまっていますが...」石井「火の鳥は全体の1割か2割でいいですよ。手塚治虫さんはなにが言いたかったかと言うと、“人間はこんなに苦労して生きてきたんだ”という所だから、そこを描きたいですね。手塚作品の中にSFを見るんじゃなくて、人間を見ないと、“手塚SF”は出来ないと思いますね」
|
石井「手塚眞さんの映画『ブラックキス』に僕ちらっと出せてもらってるんです」手塚「あ、そうなんですか。それはご協力ありがとうございます(笑)」石井「監督の仕方が、“手塚治虫さんてこういう人だったんだろうな”というね、じつに柔らかいんですよ現場が。研ぎすまされたピントしたものが入っているんだけど、痛くないんですよ。こういう感じで作ってたんだろうなと、血を感じましたね。また自然にスタッフを動かしているから感心しましたよ。俺みたいにおだてたりすかしたりしなくて(笑)上手いなぁ〜と思って。手塚眞さんの作品を見てると、手塚治虫さんに似ている所もありますけど、現実と非現実の境目がぴったりくっついてる感じがします。普通非現実と言うと遠い所に設定しますけどね、そういう所はお父さんとは違う感じがしますね。」 |
|
鮎川ゆりかさん |
青木静さん |