手塚「まず大平さんのお仕事、プラネタリウム・クリエイターについてお伺いします。どういう事をなさるんですか?」大平「肩書きは自分で決めたものではなくて、ラジオかテレビで誰かが仰って、定着したんです。世界でこういう名乗り方をしている人はいないと思います。私は子供の頃からプラネタリウムを作るのが好きで、それの延長で今もやっています。1つ目の仕事はプラネタリウムの真ん中にある星を投影する機械を作る事です。2つ目はその機械を使って流す番組のシナリオを作り、どうやってそれを見せるのかという技術的なサポートをする仕事です」
手塚「大平さんは“メガスター”というギネス級のスーパープラネタリウムをたったお一人でお作りになったということで、世界的に有名になりました。これについてご説明ください」大平「今このメガスターはIとIIがあります。いずれも星の数が多いんです。普通のプラネタリウムは星の数が6千から1万個ぐらいといわれていますが、メガスターは100万個から500万個あります。これが1番目の特徴です。2番目の特徴として、持ち運びが出来るということです」手塚「そのサイズからギネス級といわれているわけですね」大平「ギネスに認定されたのが去年の12月。東京お台場の日本科学未来館にある“メガスターII
Cosmos”が認定されました。星の数が1番多いという所と、持ち運びが出来るなど今までのプラネタリウムにない新しい可能性を持っていると言うことが認められたと思います」
手塚「日本科学未来館に常設されるきっかけは?」大平「ああいう所に個人が作った物が常設されるというのはあり得ないと思います。実は常設が決まる前に日本科学未来館でメガスターを持っていって、1日だけの限定自主イベントを行いました。それが盛況でその年の暮れにもう1度メガスターの公開をしました。その時に館長の毛利衛さんもいらして“スペースシャトルから見た空にすごく近い。これを日本科学未来館と一緒に育てて行こう”と仰ったんです。日本科学未来館のコンセプト、研究者を育てるということ。それが個人でプラネタリウムを作ったということと、今後の可能性ということに合うので常設されました」
手塚「メガスターIIはガリレオが天の川を発見した当時の星がイメージ出来るということですが?」大平「夜空には無数の星があるわけで、肉眼で見えるのは数千個。でも天体望遠鏡などの大きな機械を使ってみると、何億、何千億以上という数の星が見えます。我々の銀河系だけで2千億の星の数があります。その中で500万個の星というのはほんの一握りなんです。それでも大げさな言い方をすれば、より遠くの、より暗い星まで表現するというアプローチとしては、人間が作った中では本物の空に近いと思います」 |