EarthDreamingロゴ 放送内容
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4月 大平貴之
4月 彦坂 裕
5月 ヨシダダイキチ
5月 五味美保
5月 加藤登紀子
6月 井上葉子
6月 羽仁カンタ
6月〜
7月
浦沢直樹
7月 石飛智紹
7月 ABC アウト
ドアフェスタ2005
8月 大蔵喜福
8月 佐藤文廣
9月 石飛智紹
青山 貴
9月〜
10月
トヨタ
白川郷自然学校
10月 彦坂 裕
10月 藤崎達也
11月 仁志田博司
11月 宇多弘行
12月 川端由美
12月 水谷優子
12月 2005年を振り返って
1月 手塚眞
1月 鈴木重子
2月 竹下景子
2月 鮎川ゆりか
2月〜
3月
石井竜也
3月 青木静
3月 パトリック・ライアン
10月23日ゲスト:NPO SHINRA代表藤崎達也さん

藤崎達也5 藤崎達也さんは今年1月にもご出演されています。
  手塚「前回ご出演頂いた時におっしゃっていたハードル(遺産になることによって増える、観光客の対応。羅臼町で行われている鱈の漁の仕方。蝦夷鹿の管理。知床の川の砂防ダムの問題)は最終的にクリアされたのですか?」藤崎「完全に解決されたわけではなくて、砂防ダムの問題は魚道を設けますですとか、他のことも調査しますという道筋をつけた所ですので、今回の登録も言ってみれば100点満点の登録では無く、宿題をいっぱいもらいました」手塚「登録されたからと言って完全ではなく、これからもチェックが入るわけですね。では場合によって、課題をクリアできなければ登録から外されることもあるんですね」藤崎「そうですね」

 手塚「7月に世界自然遺産に登録された時、知床の皆さんはどのくらい盛り上がったのですか?」藤崎「面白い話は観光客の方はその瞬間に立ち会えるというのはとても嬉しいことだと思うので、“登録が決まったらなんかやらないといけないべなぁ〜、何やるべか?”と言うのをホテルの方から相談を受けました。で結局ホテルでは鏡割りをやったり、お酒をふるまったりお祭りムードではあるんですが、本音を言うとホテルの人も複雑ですね、いろんな宿題をおわされていますし、地元としてはいろいろな覚悟を決めなければいけない部分もあるので」

 手塚「屋久島や、白神山地の方とお話しされたことはありますか?」藤崎「登録が決まった直後にあるパーティーがあって、そこで屋久島の方とお話ししました。その場はお祝いムードだったんです、皆さんからおめでとうございますと言われ...。でも屋久島の方だけは“おめでとうとは俺は言わない。大変だぞ”と言われました。また、世界自然遺産は欧米の考え方が全面に立っていますので、日本の自然保護に対する考え方と微妙に違うんです。それが世界自然遺産ということでどうしても欧米スタイルになっていくと言う違和感はありますね」


藤崎達也6 手塚「自然遺産に決まってからどう変わったかということをお聞かせください」藤崎「登録が決まったのが7月14日で、その日からエコツアーへの申し込みの電話がひっきりなしにかかって来て、今日まで続いているという状態ですね。ホテルも満室で、知床周辺のホテルまでいっぱいですね。想像していたとはいえ、こんなにすごいとは...。今北海道の観光産業のモデルに知床はなっています」手塚「この8月は36万7千人の観光客が訪れたとか」藤崎「屋久島でしたら飛行機と船でしか入れませんから、屋久島の方がおっしゃる“良くも悪くも制限される部分”がありますが、北海道の場合は車ででも来られますし、飛行場はたくさんありますし...」手塚「船でも、電車でも入れますからね」藤崎「それが世界遺産ということで、端っこの小さい半島にどっと押し寄せるというような状況になってしまったので。もっと良い場所はたくさんあるので、広くプロモーションがされていれば良かったなと思います」

 手塚「いろいろな部分でキャパシティー・オーバーになっているんじゃないかと思いますが?」藤崎「IUCN(国際自然保護連合)からの宿題の中で、観光客は必ず増えるだろうから、それの対応を考えなさいというのがあります。知床は年間200万人の観光客の方が来ます。それを5〜6人のエコツアーで賄うことで来ません。ですからその巨大なツアーのお客様をどうするかという議論がされています」

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10月30日 藤崎達也さん

藤崎達也7 手塚「海外のお客さんからの問い合わせも増えているのですか?」藤崎「見た目でも外国の方は増えていますし、数年前からアジアのお客様は増えていまして、私たちの所にも台湾や中国の方からお問い合わせがあります。ですからホームページも中国語のページを作っています」手塚「そういう細かい所までやらなければならないのですね」藤崎「そうですね。後とにかく分散していただきたいのです。時間も場所も。夏ばかりでなく秋や冬にも来ていただきたいですね。また近くにある濤沸湖やいくつかの湖がラムサール条約(湿地保全条約)に登録されるみこみなので、道東エリアは世界遺産級の自然をちりばめた場所になります。ですから行政サイドにも知床だけでなく地図を書く時は広く書いて頂いて、広いエリアで遊んでいただきたいと働きかけています」


藤崎達也8 手塚「いろいろな人が自然の中に入って来て、観光地化されたり、バランスが崩れていったりするかもしれませんが、藤崎さんご自身はどういった形が良いとお考えですか?」藤崎「今までは観光と自然保護、商売と自分たちの暮らしは相反する物だったと思うのですが、これからはそれらが融合していく時代だと思います。昨年IUCN(国際自然保護連合)のガイドラインを翻訳しました。その冒頭に“保護区域には観光が必要であり、観光は保護区域を必要としている”とあるんです。例えばたくさんのお客様がいらっしゃることによって、地元の経済が潤う。その潤った経済を自然保護にフィードバックするシステムが出来るようになれば良いと考えています」

 手塚「藤崎さんが今後取り組んでいきたいことは?」藤崎「エコーツアや、ネイチャーツアーの企画はこれからも続けていきます。前々から思っているのは、ハワイがあれほど観光地化されているんですが、何か一本筋が通ったハワイらしさがあります。それはアロハスピリット、先住民族の持っているおもてなしの気持ちだったり、自然と人間との関係性を表す物だと僕は考えています。北海道にもアイヌ民族が大勢いらっしゃいます。そしてそのアイヌの方達のずっと前から続いているスピリットがあるので、これを機会に北海道のスピリットを取り戻したいなと思っています。これはアイヌの友達とも話し合っています。またIUCNからの宿題にも“先住民族を世界遺産の管理に関わらせなさい”と言うのがあります。それは真っ正面から捉えると大変なので、僕たちが出来ることとして、“知床先住民族エコツーリズム研究会”(略して“シペル”これはアイヌ語で“本流”とかシャケが帰ってくるような大きな川のこと)をこの夏に作りました。これを発展させていきたいと思っています。また今あるドライブルートに付加価値を持たせる情報などを盛り込んだマップを作っています」


彦坂 裕さん 仁志田博司さん

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