手塚「知床は世界自然遺産の候補として推薦されることが決まりました。藤崎さんは知床世界遺産候補地管理計画検討メンバーにも選ばれています。まず世界自然遺産へ登録するまでの流れをお教えください」藤崎「ユネスコが世界遺産を登録するのですが、ユネスコがIUCN(国際自然保護連合)に審査の委託して、調査をします。それで登録するかどうかが決まります」
手塚「どういったことを調査するのですか?」藤崎「1番は管理計画がしっかりしているかどうかというところです。実際に自然遺産に登録されても、ユネスコが守るのではなく、国内の法律で守っていくので計画書が大切なんです。
で計画書だけではなく、実際のところはどうなのかというのを視察に来ます。あとは行政的な決定のプロセスの中に、地域の住民の人たちが、どれだけ関わっているかということもチェックされます」手塚「そういうことが重視されるのですか〜...
知床の自然条件は充分満たされているわけですか?」藤崎「そうですね。知床はユニークな自然環境を持っています。原生的な森があるということ。もう一つは流氷が来ることによって、冬は閉じている海、夏は開いている海ということで出来る自然の生態系。これはほかの地域ではありませんので、条件は満たされています」 手塚「調査の現状はどのようになっていますか?」藤崎「チェック項目を4つ、示されました。1つは遺産になることによって増える、観光客の対応はどうなっているか。2つ目は羅臼町で行われている鱈の漁の仕方。獲り過ぎなのではないかということ。3つ目は蝦夷鹿が増えていまして、人間は木を切らなくなったのですが鹿が冬、餌がなくなると木を食べてからしてしまったり、植生を変えています。その蝦夷鹿の管理です。4つ目は知床の川(日本中どこでもそうなんですが)には砂防ダムがあります。これが鮭の遡上を阻害しているのではないかというこで、撤去するのか、魚道をつけるのかといったことです」
手塚「それを今検討している最中なんですか?」藤崎「観光に関してはいろいろな議論が積み重ねられていて、胸を張って返事はできます。鱈の漁は、漁をされている方が自主的に船を減らしていて、一時期のような乱獲はしていませんので、自然に配慮していますとお答えします。蝦夷鹿はこれから保護管理計画を作っていくということで、調査をします。という返事に。ダムに関しては必要か、そうでないか、という判断のしようがないんです。ですので調査しますという返事になります」
手塚「知床の人たちの、自然遺産になるという反応はいかがですか?」藤崎「これも微妙ですね。知床は自然遺産にふさわしいということに対しては皆さん賛成なのですが、制限が加えられるのなら、反対。という方もいます。まだまだ議論をしないといけないと思っています」 |