手塚「京都議定書が来月2月16日に発行されます。この京都議定書についてご説明ください」土居「大元は“気候変動枠組条約”なんです。その中から二酸化炭素や温暖化をもたらすガスの排出を減らすということを別建てにした物です。1997年京都で条約の会議が行われ、採択されたので京都議定書と言います」手塚「すぐに発行されなかったんですね」土居「いくつか発行するための条件がありまして、それがクリアされてはじめて法律としての効果を発揮する訳です。それが今年の2月なんです」手塚「97年に出来上がって長い時間がかかりましたが、それはどうしてですか?」土居「京都議定書は先進国に義務を課すということがメインです。内容は90年に比べて二酸化炭素などのガスの量を全体で5%削減しましょうということでした。そしてそれぞれの国で、その国の事情に合わせて削減量が決まります。日本は6%削減することになっています。しかし国によってはそこまで減らせないというところもあって、それで発行に時間がかかってしまいました」
手塚「最終的に何カ国が参加すると良いのですか?」土居「排出量が全体の55%を超える国の数がそろえば動き出せるようになっていて、最終的にロシアが昨年11月に批准し、参加したので、そこから数えて90日目の2月16日に発行となりました」
手塚「アメリカはどういう理由で参加していないのですか?」土居「一つは経済の影響を心配しているというのと、もう一つは後進国をどうするかということですね。この京都議定書は先進国にだけ義務を課していますので...」手塚「発行されたあともアメリカは何も義務づけられないのですか?」土居「そうです。ですから今参加している国の役目として、アメリカをこの枠組みに入れるための説得が課題として残っています」
手塚「日本は6%削減することになっていますが、具体的にどういったことをやっていかなくてはいけないのでしょうか?」土居「温暖化問題は公害と違って、企業だけを規制するということではなく、あらゆる人たちが自分の責任に応じた取り組みをしていかなければいけません。国は温暖化を止めるための技術開発を支援をするですとか、まだまだ分からないことの調査研究を進める。あとは企業や家庭の取り組みを後押しするための経済的なサポートをするというのが、大きな仕事になります。企業は工場の省エネルギーに取り組むですとか、省エネ型の商品の開発、販売が大きな役割になります」
手塚「環境省が国民に義務づけるというようなことはあるのですか?」土居「まだ義務づけるというレベルではなくて、まだまだ情報が伝えきれていないのではないかと思っています。例えばトイレの電気便座の蓋を閉めていただくだけで電気の使用量が少なくなります。この蓋を閉めるだけで年間18kgの二酸化炭素が減らせます。ですからそれはぜひともやってもらいたいというのが、我々の気持ちです」 |