手塚「他に犬を飼って変わったことは?」渡辺「散歩しに公園に行くじゃないですか。そうするとそこに来ている人たちは僕、渡辺正行のことは知っているじゃないですか。でもみんな僕のことを“渡辺さん”と呼ばないんですよ。ゴンタ君のお父さんと呼ぶんですよ。だから構えなくていいんです。とっても新鮮な付き合いが出来て面白かったですね」
手塚「その渡辺さんの中で存在感が大きかったゴンタ君が亡くなってしまった後というのは...」渡辺「飼っている時は、こいつは家族じゃないんだ、おまえは“犬”と思っていたんですが、やっぱり情が移ってしまったんでしょうね。死んじゃってからは寂しいというか、切ないというか、今までやって来たことがちゃんとやってきたのか“おまえに飼って貰って良かった”と思ってくれているのかということを考えましたね。そういう気持ちを形にしたいと思って絵本を作りました」
手塚「絵本を作ったのは初めてですか?」渡辺「初めてです」手塚「拝見してそうは思わなかったんです。文も素直ですし、絵も優しくて...絵はやっていらしたんですか?」渡辺「全然やってなくて、5〜6年前に清水國明さんの家に番組で取材にいったんです。あの方は絵手紙をやっていてそれを紹介して貰ったんです。で“ナベちゃんも描いてみなよ”と言われて、その現場で描いたんです。それが面白くて自分で絵手紙セットを買って、犬の絵を描き始めたんです。それを犬好きの人に見せたら“犬を飼ってる人でなければこういう絵は描けないよ”と言われて、いつかこいつの絵本を描けたら面白いかもしれないな〜ぐらいの気持ちだったんです。でゴンタが死んでそういえば絵本というのを考えていたよな〜と思って、自費出版でもいいからやってみようかな〜...と言う話を出版社の方にしたら、トントン拍子に決まったんです。それから絵をまた描いたんです」手塚「イヤ〜初めてとは思えない絵ですよ〜。そういうオファー来ると思うんですけどね〜」渡辺「絵のですか?来ますかね」手塚「私保証しますよ」渡辺「本当ですか?手塚プロで雇って貰えないでしょうかね〜(笑)」
手塚「これが出来上がって今のお気持ちは?」渡辺「毎日仕事をしていく中で、出来の良いものとまあまあのもの、悪いもの。色々あるじゃないですか。でも良いものってそんなにないじゃないですか。そういう中でこの絵本はかなり上位に入るもので満足してます」 |