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11月3日 ゲスト:よこはま動物園ズーラシア園長
増井光子さん
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手塚「よこはま動物園ズーラシアは動物がおりの中ではなくて、野生の状態で見られますが、このコンセプトの発想はどこから?」増井「最近は環境に対する関心が高くなってきました。昔は自然が周りに沢山あったので、動物のためというよりは、人が行って見て楽しむところだったんです。それがだんだん自然が少なくなってきたので、昔のような展示の仕方ではお客さんが満足しなくなった来たのです。また環境保全というのは一人の力では出来ません。で、動物園はたくさんの方が来ますので、そこで自然のことを分かってもらおうと思い、動物たちの故郷を彷彿とさせる展示をしていこうじゃないかという考えからです。また私達の動物園では、植物や人々の暮らしなども展示してあります」
手塚「動物を群れ、またはつがいで展示されていますが、これの意味は?」増井「希少動物をストックする場という考えが出てきていますので」手塚「動物園での繁殖率はどうなんですか?」増井「これはとってもいいんです。病気になれば獣医さんもおりますし、飢えることもありませんから」
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手塚「増井さんは最近の環境問題についてどう思っていらっしゃいますか?」増井「自然環境をこれ以上悪くしないためには、価値観の転換を行わないとダメだと思いますね。最近はすべてが速くなってきてますから、例えば、電車や飛行機、そして暮らしや言葉など。ですからスローライフというのを取り入れなければ、自然環境というのは追いついていかないと思いますね」
手塚「世界を回っているっしゃいますが、参考になる国はありますか?」増井「牧畜をする国はその国なりの良さが、 日本には日本の良さがありますね。私は今兵庫県のコウノトリを野生復帰させようという事業のお手伝いをしています。鳥の時間に人々も歩調を合わせていくためには、農業のあり方を今の効率主義から収穫率が落ちても、農薬を使わない安全な食べ物への転換が必要なんです。ただそれを農家の方だけが責任を負うのではなく、それを消費する都会の方の責任でもあるんです。ですから安い方が良いというのだけではなく、そういうところの価値観の転換が必要でしょうね」 |
11月10日 ゲスト:増井光子さん |
手塚「“動物の親は子をどう育てるか”という本を出版されていますが、どういう内容なのですか?」増井「私が上野動物園に就職出来たのは、人工保育をするのに女手の方がいいということからだったんです。元々獣医の枠が決められていて、私が入るのにその枠を広げなければならなかったので、そういう理由付けをしたんです。ですから動物が子育てしないと、みんな私の所にまわってくるんです。それでいろいろ観察した結果が、その本になったんです」手塚「なんで子育てを放棄してしまうのですか?」増井「環境を整えてやれば、そういうことはないんです。檻の中で子供を隠す場所がないですとか、いつもお客さんに見られているですとか、仲間と離されているなどですね。後子供の方に原因がある場合もあります。例えば泣かない子供だと、親の注意を引かないので、弱い子ということで、本能的に親がいらないと感じてしまうんです。でも人工飼育で育てた子よりも、親が育てたこの方が丈夫ですね」
手塚「人工保育が終わって檻に戻すと、親は受け入れますか?」増井「受け入れませんね。それはもう自分の子ではなく、よそのこと認識しますね。ですからいきなり親の檻に入れないで、子供同士を一緒にして、社会性を見つけさせるなどのプログラムを組まなければいけませんね」
手塚「その動物のお話は、人間にも通用しますね。増井さんは最近の親子のトラブルを見てどう感じますか?」増井「かばいすぎるんじゃないんですかね。動物の親は結構気楽にやってますよ」手塚「ほったらかしてますか?」増井「そうですね。結構迷子にしますよ。それで、一応鳴いて子供を呼ぶんです。でも反応がなければ置き去りですね」手塚「結構シビアですね」
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手塚「増井さんが今後取り組んでいきたいことは、なんですか?」増井「私達の動物園は、子供動物園的な直接動物を触るコーナーがないんです。ですから自然林のそばに、馬を置きたいなと思っています。でそれも日本には8種類の在来場がいるんですが、道産子以外は絶滅危惧種なんです。この馬たちは日本人と一緒に働いてきたので、仕事が無くなったらそれまで、というのではなくて、ここで仕事をさせてあげたいなと思っています。その内容は、馬に乗ったり触ったり、林の中を散策したり出来るようにしたいのです。馬に乗るというのは健康にいいんです。姿勢も良くなりますから。体の不自由な方のリハビリにも役に立つといわれていますので、そういうものを併設したいですね」 |
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篠 健司さん |
馬場直子さん |