手塚「明けましておめでとうございます。今年最初のゲストは、“地球と人を長持ちさせるエコ・マガジン”月刊ソトコト編集長小黒一三さんです。まずは小黒さんの経歴をお聞かせ下さい」小黒「最初マガジンハウスに入って芸能誌の編集をやっていました。それでブルータスを出したときに、パリやニューヨークに住んでいる人たちに興味のある旅行先としてアフリカとかアマゾンというのがあって、南半球を良くまわるようになり、ガリバーという旅行雑誌を作りました。それで雑誌だけでは物足りなくなって、アフリカのケニアにホテルを作りたいなと思って...」手塚「そのホテルの名前が“ムパタ・サファリ・クラブ”どういうホテルなんですか?」小黒「まず名前の“ムパタ”というのはアフリカの絵描きの名前なんです。僕は昔から絵とかマンガが好きで、ジャングル大帝を読んでアフリカが好きになったんです」手塚「でもなんでホテルを作ろうと思ったんですか?」小黒「元々編集者というのはお節介なんです。作家をおだて上げて良いものかいてもらったり(笑)それでケニアも素晴らしい場所なのにちゃんとした宿泊施設がなかったんです。でここにホテルを建てれば、この素晴らしさをたくさんの人に伝わるのではないかと思ったからです」
手塚「ホテルをやっていて何か裏話のようなものはありますか?」小黒「オープンして6年ぐらいたった頃なぜか従業員がドンドン増えたんです。でマネージャーに問いただしたら、それだけの人手がいるといわれたんです。それでよくよく観察してみたら、なんと27人も多く従業員がいたことになっていたんです。結局水増しされて給料を取られていたんですね。僕たち彼らの顔って見分けにくいじゃないですか。それで一人一人呼び出して問いただしたら、いきなり泣くんですよ。本当に彼らは役者だと思いました。(笑)こいつらは嘘つきだなと思うようになってから運営は良くなりましたね。(笑)
だからボランティアですぐ助けるじゃないですか。それは良くないなと思いましたね。お互いのためには対等に、厳しくつきあった方が結果はうまくいくと...そんな思いからこの環境雑誌を作りたくなりました」
手塚「あ〜そうなんですか」小黒「ケニアは定住化制作というのをやっていて、放牧地を決めてしまったんです。それでマサイの人たちが、畑を作り出したんです。それを回りのロッジ経営者達が、観光客がこなくなると言うことで、マサイの人たちを国立公園から追い出そうという運動があったんです。でも僕はマサイの法が正しいだろうと参加しませんでした。で、環境問題というのはなかなか過激じゃないですか。あれも僕は賛成出来なくて、新聞報道だけではない側面も報道したくてこの雑誌を立ち上げました。新聞報道は正義感からのアプローチなんです。で、雑誌編集者というのは善も悪もあるんです。で環境問題というのは誰も正しくないんです。地球にとって一番良いのは、人間が滅んでしまうことなんです。でも僕たちは生きていくわけですから、どこにも正義はないんです。でもせっかく生まれたんだから、楽しく生きようよというのが正義だと僕は思うんです。昔から学校の先生が嫌いだったんで、環境問題も教えて欲しくないなと。自分で考えたいなと」手塚「なるほどね」 |