手塚「まず『マッシャー』とは何かご説明ください」本多「『マッシャー』とは犬ぞり師のことです」手塚「犬ぞりレースで犬をコントロールする方のことですね。カナダやアラスカでは人気のスポーツのようですね」本多「はい、昔からあるものなのでポピュラーですね」手塚「何日もかけて走るのですか?」本多「10日〜14日ぐらいかけて行われます。キャンプして、また進んでキャンプしての繰り返しです。車のレースに近いですね」
手塚「犬ぞりのレースに興味を持ったきっかけは?」本多「大学生の時にカナダにオーロラを見たくて観光に行きました。その時に犬ぞりと出会って、元々犬好きだったのでハマってしまいました(笑)」手塚「大学を卒業されて就職をされていますが、その時も犬ぞりのことが頭にあったんですか?」本多「そうですね。それで25歳の時に会社を辞めてカナダに行きました」
手塚「でも簡単にマッシャーになれるわけではないですよね。まずどうされたんですか?」本多「カナダ観光局に“カナダにいるマッシャーの方の連絡先を教えてください”とFAXを流しました。そうしたらすぐに返事が来て、グラント・ベックという人を紹介してくれました。カナダチャンピオンに4回なった人でその人に“何でもします”というような手紙を書いて送りましたが、なかなか返事がもらえず...でも結局返事を貰えてカナダに行きました」手塚「その人の元で身の回りと犬の世話という下積みを何年ぐらいされたんですか?」本多「約2年いたんですが、もっと長距離の犬ぞりをやる人の所に移りました。グラント・ベックは中距離専門だったので...」
手塚「それで次はどこに行かれたんですか?」本多「カナダの左側にあるユーコン準州のドーソンという街で開かれるユーコンクエストという長距離レースで、ボランティアを募集していたので立候補しました。ボランティアをやる傍らマッシャー一人一人に“ハンドラーはいりませんか”と売り込んでいました。そこで一人だけアラスカに住んでいるジミーという人が“アラスカにおいで”と言ってくれたんですが、アラスカに行くお金がなく、中古の自転車を買って、それでアラスカまで...」手塚「ちょっと待ってください。カナダからアラスカですよね。よく決断しましたね。どのくらいかかりましたか?」本多「結局自転車ではいけなかったんです。途中で自転車が壊れて...。それで車に拾われたんですが、そこまでに風邪をひいたりして12日間かかりました」
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