冨田秀実さん |
小西雅子さん |
昨年2月16日に京都議定書を発行してから約1年半が経ち、先月7月25日にソニー株式会社とWWFジャパンとの間で『クライメート・セバーズ・プログラム』という地球温暖化防止への取り組みについての協定が発表されました。このプログラムでソニーは『200年の排出量を基準にして、2010年までに温室効果ガスの排出量を絶対値で7%削減する』という目標を掲げました。
手塚「冨田さん、『CSR部』がどういうことをされている所かお聞かせください」冨田「Corporate Social Responsibilityの略で『企業の社会的責任』のことです。企業がビジネスを進める上で利益の追求だけではなく、環境問題や社会的な問題に配慮していかなければいけないということで、そういう活動を推進していくグループです」
手塚「小西さん、CO2排出量の削減への取り組みの現状についてお教えください」小西「日本の人口は世界のたった2%しか占めていません。しかしCO2の排出量は世界で4番目に多い国なのです。日本のCO2排出量削減の目標値は1990年時点の排出量から6%削減するということなのですが、2004年のデータで1990年より8%も増えているのです。ですから実際は14%削減しなければいけないということです。日本政府は京都議定書目標達成計画を作成して2005年から実施しています。その対策内容は企業や家庭における自主的な取り組みを主としています。またCO2排出量の4割は産業部門が占めていますが、これも企業の自主性にまかされていて、政策的な裏付けはありません」
手塚「『クライメート・セイバーズ・プロジェクト』についてご説明ください」小西「日本語にしますと『気候の救世主』で、まさに私たちはそれになって欲しいという意味を込めて名付けました。これはWWFと企業が話し合って、“温室効果ガスを削減してください”という協定を作るプログラムです。基本的な条件は2つあります。絶対値で目標を持っていただくこと、その数値をさらに一歩踏み込んだ、業界のリーダーになっていただけるような数値にしていただくということです」手塚「これはWWFが自主的に考えて企業の提案されているのですか?」小西「そうです。このプロジェクトは2000年から始まっていまして、ソニーさんの前に11社入っています」
手塚「ソニーさんとWWFの間で具体的にどのような協定を結ばれたのですか?」冨田「3つの部分で協定が結ばれました。1つはソニーも工場ですとかオフィスを沢山持っています。こういった所のCO2の排出量を200年の排出量を基準にして、2010年までに絶対値で7%削減する。2つ目はユーザーの方がソニーの製品を使う時に電気を使います。そうすると二酸化炭素が出ますので、それを減らす。3つ目がユーザーの方に対して積極的にコミュニケーションを取り温暖化防止をWWFさんと共同して実施していくということです」
手塚「先ほどから『絶対値』という言葉出てきますが、どういったことかご説明願えますか」小西「日本の企業は原単位で目標を持っています。具体的に言いますと、“1つ作るのにどのくらいのCO2を排出するか”と言うことです。ですから原単位の排出量は少なくても、10や20作ると自ずと排出量は増えます。それに対して『絶対値』は10や20作ったものすべての排出量と言うことです」 |