EarthDreamingロゴ 放送内容
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4月 中島 悠
4月 嵯峨生馬
4月 今関 勝
4月 中溪宏一
5月 山川冬樹
5月 近藤 篤
5月〜
6月
浜崎貴司
6月〜
7月
羽仁カンタ
7月 中溪宏一
7月 嵯峨生馬
7月〜
8月
本多有香
8月 冨田秀実
小西雅子
8月〜
9月
安藤直人
9月 小西雅子
9月〜
10月
鈴木幸一
10月 中野シロウ
10月 山田啓雄
11月 川端由美
11月 浜崎貴司
12月 赤星たみこ
12月 山岸尚之
12月 2006年を振り返って
1月 塩田明彦
1月〜
2月
中溪宏一
2月 つやまあきひこ
2月〜
3月
中島 悠
3月 山岸尚之
3月〜
4月
北澤 肯
8月13日
ゲスト:ソニー株式会社 CSR部統括部長冨田秀実さん
WWFジャパン 気候変動担当オフィサー小西雅子さん
冨田秀実
冨田秀実さん
小西雅子
小西雅子さん
 昨年2月16日に京都議定書を発行してから約1年半が経ち、先月7月25日にソニー株式会社とWWFジャパンとの間で『クライメート・セバーズ・プログラム』という地球温暖化防止への取り組みについての協定が発表されました。このプログラムでソニーは『200年の排出量を基準にして、2010年までに温室効果ガスの排出量を絶対値で7%削減する』という目標を掲げました。

 手塚「冨田さん、『CSR部』がどういうことをされている所かお聞かせください」冨田「Corporate Social Responsibilityの略で『企業の社会的責任』のことです。企業がビジネスを進める上で利益の追求だけではなく、環境問題や社会的な問題に配慮していかなければいけないということで、そういう活動を推進していくグループです」

 手塚「小西さん、CO2排出量の削減への取り組みの現状についてお教えください」小西「日本の人口は世界のたった2%しか占めていません。しかしCO2の排出量は世界で4番目に多い国なのです。日本のCO2排出量削減の目標値は1990年時点の排出量から6%削減するということなのですが、2004年のデータで1990年より8%も増えているのです。ですから実際は14%削減しなければいけないということです。日本政府は京都議定書目標達成計画を作成して2005年から実施しています。その対策内容は企業や家庭における自主的な取り組みを主としています。またCO2排出量の4割は産業部門が占めていますが、これも企業の自主性にまかされていて、政策的な裏付けはありません」

 手塚「『クライメート・セイバーズ・プロジェクト』についてご説明ください」小西「日本語にしますと『気候の救世主』で、まさに私たちはそれになって欲しいという意味を込めて名付けました。これはWWFと企業が話し合って、“温室効果ガスを削減してください”という協定を作るプログラムです。基本的な条件は2つあります。絶対値で目標を持っていただくこと、その数値をさらに一歩踏み込んだ、業界のリーダーになっていただけるような数値にしていただくということです」手塚「これはWWFが自主的に考えて企業の提案されているのですか?」小西「そうです。このプロジェクトは2000年から始まっていまして、ソニーさんの前に11社入っています」

 手塚「ソニーさんとWWFの間で具体的にどのような協定を結ばれたのですか?」冨田「3つの部分で協定が結ばれました。1つはソニーも工場ですとかオフィスを沢山持っています。こういった所のCO2の排出量を200年の排出量を基準にして、2010年までに絶対値で7%削減する。2つ目はユーザーの方がソニーの製品を使う時に電気を使います。そうすると二酸化炭素が出ますので、それを減らす。3つ目がユーザーの方に対して積極的にコミュニケーションを取り温暖化防止をWWFさんと共同して実施していくということです」

 手塚「先ほどから『絶対値』という言葉出てきますが、どういったことかご説明願えますか」小西「日本の企業は原単位で目標を持っています。具体的に言いますと、“1つ作るのにどのくらいのCO2を排出するか”と言うことです。ですから原単位の排出量は少なくても、10や20作ると自ずと排出量は増えます。それに対して『絶対値』は10や20作ったものすべての排出量と言うことです」


冨田秀実、小西雅子1 手塚「『CO2の排出量を200年の排出量を基準にして、2010年までに絶対値で7%削減する』これは具体的にどのように実現させるのですか?」冨田「1つは工場の大規模な熱源システム、空調システムを使っています。こういったものを最先端の、もっとも効率の高い設備に切り替えていく。これによってCO2の排出量を削減出来ると言うことが分かっていますので、さらに押し進めていきます。それ以外に工場では燃料として石油が使われていましたが、これをCO2がより少なく出る天然ガスに切り替える、燃料転換ということを考えています。また他にもグリーン電力(風力や太陽光発電)を積極的に活用していこうと考えています。そしてこれまでうってきた試作で学んだ様々な方法を工場などに展開し、ソニーグループの中に広めていくことによって目標を達成出来ると考えています」

 手塚「ソニー製品でも電力消費を抑えてCO2を削減するということですが、製品がどのように変わるのですか?」冨田「例えばテレビですと使用時と待機時の電力をトータルで減らすことによって年間消費電力を抑えようと考えています」小西「実はここが一番新しい点なんです。自分達が作ったものにたいして消費電力を下げる努力を約束してくださったのは、このプロジェクトに12社加盟していますが、ソニーさんが初めてなんです。消費者に向かっての大きなメッセージとなれるものを約束していただいたと、私達は思っています」

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8月20日 ゲスト:
冨田秀実さん、小西雅子さん

冨田秀実、小西雅子2  手塚「これまでにもソニーさんとWWFジャパンさんの間でいろいろな取り組みをされていらっしゃいます。その中で『グリーン電力証書システム』をご一緒に立ち上げられたそうですが」冨田「2000年にソニーの方から東京電力さんに働きかけ、『グリーン電力証書システム』が実現しました。ソニーグループは日本で最大のユーザーです。これは温暖化対策の一つの方法として『自然エネルギーを使う』という方法があります。日本ですと風力発電の量が限られていますので、それを選択的に使っていくということは難しいんです。それを克服するための仕組みとして立ち上げました。例えば風力発電をソニーが使いたいと考えた時に、特定の場所の風車の電力をソニーに引っ張ってくるということは現実的に出来ません。そこで、風力発電は一般的に発電コストが高いので、そのプレミアムの部分をソニーが負担することによって風力発電で発電した電力の権利を買い取るという仕組みです。これを証書化したものが『グリーン電力証書システム』です。又ソニーと東京電力さんの2社契約だけですと信頼性、透明性に欠けるので、第三者の視点としてWWFさんにも参画していただきました」

 手塚「2005年京都議定書発効の時に東京・銀座のソニービルで大々的なイベントをなさいましたね」小西「京都議定書は1997年に生まれてから発行まで8年かかりました。ですからこの2月16日は温暖化問題に関わる者にとっては大きなことだったんです。ただこれは『絵』にならないのでどう広めればいいか思案しました。そこにソニーさんからソニービルのスクエアを貸していただけるということでイベントが実現しました」冨田「背景を申し上げますと、企業の社会貢献と言いますと寄付をするというのが中心ですが、企業が持っている資産や技術を上手く使っていくというのはまた別のやり方の社会貢献だと考えました。ソニービルは場所の良さがありますので、パブリシティを得るには最的だと思いました。通常NGOの方がアピールしている何十倍の効果が期待出来ると思いご提案しました」

 手塚「今年2006年は『ビルのCO2削減大作戦』という事業を共同で行いましたね」小西「これは環境省のモデル事業一環として行われました。ビルからのCO2の排出量は1990年の基準年に比べて非常に増えています。そこで削減のマニュアルを作ろうということになり、ソニーミュージックエンタテインメントさんと共同で行いました。ここは自社ビルということもあり、また熱心に省エネに取り組んでいらしたので二つ返事でお受け頂きました」


冨田秀実、小西雅子3 手塚「『クライメート・セバーズ・プログラム』に合意するまでの経緯をお聞かせください」冨田「ソニーでは以前から環境の中期目標を持っていて、“5年先の目標を立てる”というのを2000年から始めています。去年2005年が2000年に作った目標が終わりになりました。それで2010年へ向けて次の目標を作りましょうということで昨年議論が始まりました。その際にソニーの社内だけで作っていては良くない。やはり専門的な見地を持つNGOの方にも参加していただこうということで、WWFさんを始めとして幾つかのNGOの方にご意見を求めました。そのときにWWFさんから『クライメート・セバーズ・プログラム』のご提案を頂き、交渉が始まりました」小西「『クライメート・セバーズ・プログラム』に入っていただく企業さんのメリットしては私たちWWFと第三者機関が透明性を持ってみていますので、世間に向かって“削減出来ている”と宣言出来ることが大きいと思います」

 手塚「絶対値で達成目標を持つということは自信が無いとなかなか出来ませんね」小西「他の企業さんも凄く疑問だったようで、記者会見の後に相次いで問い合わせが来ています。日本のメーカーさんは原単位で目標を持っていますので、ソニーさんがどうして踏み切ったのかという点を聞かれます」冨田「先ほどお話しした2005年の目標は売上高での原単位を採用しました。ただこれは環境の管理をしていく上では厄介な問題なんです。売り上げというのは年によって上下します。そうすると環境に対する努力の結果が見えにくい、コントロールしにくい目標だと痛感しました。逆に絶対値にしますと積み上げて整地化することが出来ますので、精度の高い目標設定が出来ます。これは過去5年間、それ以上前から具体的な方策をうって、経験を積んでいたので出来ることです」

 手塚「ソニーさんはワールドワイドに展開している企業ですが、この『クライメート・セバーズ・プログラム』に参加したことでどういった影響が出ると思いますか?」小西「発展途上国はこれからCO2が増える一方なので、ソニーが現地工場で省エネに取り組んでいる姿を地元企業が見てくれるというの大きな意味があると思います。又絶対値で目標を持ちながら売り上げを伸ばし、業績も拡大していく道があるということをワールドワイドに実際に示していただくということが大きなことだと思っています。京都議定書の数値が達成可能だということを産業界から言っていただくことだと私たちは思っています」


本多有香さん 安藤直人さん

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