EarthDreamingロゴ 放送内容
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4月 中島 悠
4月 嵯峨生馬
4月 今関 勝
4月 中溪宏一
5月 山川冬樹
5月 近藤 篤
5月〜
6月
浜崎貴司
6月〜
7月
羽仁カンタ
7月 中溪宏一
7月 嵯峨生馬
7月〜
8月
本多有香
8月 冨田秀実
小西雅子
8月〜
9月
安藤直人
9月 小西雅子
9月〜
10月
鈴木幸一
10月 中野シロウ
10月 山田啓雄
11月 川端由美
11月 浜崎貴司
12月 赤星たみこ
12月 山岸尚之
12月 2006年を振り返って
1月 塩田明彦
1月〜
2月
中溪宏一
2月 つやまあきひこ
2月〜
3月
中島 悠
3月 山岸尚之
3月〜
4月
北澤 肯
12月17日ゲスト: WWFジャパン 気候変動担当オフィサー
山岸尚之さん

山岸尚之1 手塚「まず地球温暖化の現状についてお教えください」山岸「京都議定書の発効された2005年は、NASAの発表によると今までで最も暑かった年でした。またハリケーン『カトリーナ』も温暖化との関係があるのではないかと言われています。温暖化は地球の極で顕著に出るのですが、北極の海表の面積が年々小さくなっています。それを受けて北極熊が影響を受け、絶滅の危機にさらされているという現象も起きています」

 手塚「2008年から2012年までに、先進国全体で1990年期で5%の削減するという目標がありますが、5%で済むのですか?」山岸「今、国際社会で一致した数字があります。それは2度という数字です。地球温暖化というのは一般的に地球全体の平均気温の上昇のことを指すと言うか代表されます。温暖化のきっかけになったのは産業革命で、化石燃料を使うようになったからです。その産業革命前と比べると0.6度ぐらい上昇していると言われています。この上昇を2度未満に抑えようと言うのが国際社会において共通の目標になりつつあります。その2度を達成するには、世界全体の温室効果ガスの排出量を、2050年までに半分ぐらいに落とさなければならないと科学の世界で言われています。そういうことをふまえると5%という数字は決して充分な数字ではありません」


山岸尚之2 手塚「先月アフリカ、ケニアの首都ナイロビで、国連気候変動会議が介されました。山岸さんはこれに参加されたのですね」山岸「開催期間は11月6日〜17日です。前回の会議は京都議定書を発効して国際的な効力を持った初めての会議でした。その中で前々からやらなければいけないことがありました。京都議定書は2008年〜12年までの約束しか決めていません。では2013年以降をどうするのか。その話し合いを去年から始めなさいと議定書の中に書いてあるのです。それで去年、その話し合いを始めるための、いくつかの場所を会議の中に作りました。しかし国際会議は“何を話し合うか”ということだけでも揉めるんです。今回の会議はそこの部分で決着がついていないので、その続きをやりました」

 手塚「どのくらいの国が出席されたのですか?」山岸「国の代表団としては100カ国以上参加しています」手塚「それ以外にもWWFジャパンのような組織や団体も参加されているのですね」山岸「我々のようなNGOの他、企業の団体も参加されます。また議員が個人的に来られていたり、研究機関も来られています」

 手塚「日本政府は具体的な提示をされたのですか?」山岸「2013年以降の約束は、先進国だけではなく途上国も何らかの形で参加する体制にしたい、という考えを持っています。それを実現出来る話し合いの場をきっちりと作る、というのが一点。もう一つは2013年以降の目標は、科学的な検証に基づいて決めるべきだと、主張していました。というのは京都議定書の目標は政治的に決まったところがあって、日本の6%という数字は科学的に決まったわけではなく、政治的にこのぐらい出来そうだ、ということで決まりました。ですからきっちり決めたいということでした」

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12月24日 ゲスト:山岸尚之さん

山岸尚之3  手塚「先月行われた国連気候変動会議ではWWFジャパンはどういうことで参加されたのですか?」山岸「今回の会議は来年の会議で2013年以降どうするのかと言う具体的な中身の議論を始めらるステップとして考え、主張しました」

 手塚「会議期間中、WWFは他にどのような活動をされていたのですか?」山岸「会議と同時にサイドイベントを行っています。そこでイベントを行いました。それは『温暖化の目撃者』というイベントで、実際に温暖化の影響を受けている地域の方を招いて、その方々の言葉って語って頂くものです。今回はアフリカでの開催でしたので、アフリカの方をお招きしました」

 手塚「ケニアの会議で議決されたことはいくつあったのですか?」山岸「細かい内容も含めると結構な数になります。2013年以降の約束に関して決まったことは、先進国の約束に関することが1つ、途上国も含めて話し合う場所に関することが1つあります。その他重要なことが決まったのは、温暖化の影響に対して如何に対応するか、これを専門用語で『適応』と呼んでいますが、これに関することで大きなものが2つ決まりました。アフリカは気候変動に対して特に脆弱なところです。それは経済発展が遅れているという影響があるからです。ですから今回アフリカでこの会議が開かれたので、『適応』の分野で何らかの大きな進展があると期待されました。しかしその期待ににマッチするほど大きな一歩は踏み出せませんでしたが、後退といえることではなかったので、その意味は大きかったと思います」


山岸尚之4 手塚「私が気になっているのは京都議定書に参加していないアメリカなんですが、山岸さんから見てアメリカの立場はどのように変わっていくと思われますか?」山岸「現アメリカ大統領の政権間は大きな変化が政府として出てくるとは、僕はほとんど期待していません。ただアメリカ全体を見渡してみると、州レベルでは面白い動きが出てきています。カリフォルニア州では2050年までに温室効果ガスの排出量を80%減らすですとか、ニューヨークを中心とした東部7州は、排出量取引を導入するということを検討していて、今のところ2009年から始める予定になっています。それに加えて議会でも排出量取引制度をアメリカ全体で導入するべきだ議論が、まぁこれは否決されてしまうんですが、そういう考えを持った方もいます。ですからホワイトハウスの外側では面白い動きが出てきています。アメリカというのが伝統的にいわれているのは、自分たちが準備出来ていない国際条約に対しては絶対に参加して来ない。だけど自分たちが準備出来ているものは率先してやるという...。けしからん伝統なんですが(笑)でもホワイトハウスの外側で活発に進んでいて、準備が出来てくると、『あるいは』という可能性が出てくるかもしれません」

 手塚「中国やインドに対してはどのようにお考えですか?」山岸「中国とインドを一緒にしてはいけないとよく言われるのですが、中国は規模だけを見れば世界第2位の排出国で、最近出てきた国際機関の調査によりますと、数年後にはアメリカを追い抜いて世界第1位の排出国になるだろうと予測されています。中国自身もその辺りのことはしっかり認識していて、今回の国際交渉でも途上国の削減目標に一番否定的だったのは中国でした。ただ国内では再生可能エネルギーに関する法律を作ってみたり、エネルギー効率改善に関する目標値を掲げてみたりですとか、やらなければいけないという認識はあるようです。インドも同じような認識はあると思いますが、ただインドは一人当たりの排出量をみると、アメリカなどよりものすごく低いんです。ですから先進国が動くということをこれからも主張していくと思います」


赤星たみこさん 2006年を振り返って

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