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1月18日ゲスト:イラストレーター、多摩美術大学教授
秋山孝さん |
手塚「秋山先生とは'93年の私のアトム展というイラスト展以来のお付き合いです」秋山「お久しぶりです」手塚「一番皆さんが分かりやすい秋山さんのイラストというと、旅行雑誌“じゃらん”の表紙ですね。最近はエコロジーや環境問題のキャンペーンのポスターを手掛けられています。まずは代表作“WILD
LIFE-HELP(骨格鳥)”という作品についてお聞きしたいのですが」秋山「これはポスターの作品で1986年にワルシャワの国際ポスタービエンナーレで金賞を取りました。これでヨーロッパの人にも知られるようになりました。この内容はチェルノブイリの事故の時で、自然破壊が急速に進んでいる事へのアンチテーゼでもありました」手塚「秋山さんの作品はポップで可愛いんですが、モチーフは毒があるというか...」秋山「難しい内容が多いので、言葉よりも絵の方が伝わりやすいのでその手法を使っています」
手塚「1987年に“Sick-The Earth”という作品を発表されていますね」秋山「これは僕たちが住んでいる環境を象徴的に伝えるにはどうしたらいいのかと考えたんです。それで擬人化した方が分かりやすいと思って、地球が病気になった姿を描いたんです。
僕がこういう事を始めた70年代というのは英語の辞書に“Ecology”というのがなかったんです。でも今は普通に使われています。やっと時代が追いついたという感じですね」 |
手塚「2000年に発表された地雷廃絶日本キャンペーンのためのポスター“No!
LAND MINE”これは...」秋山「これはボランティアセンターから来た話なんで描きました。日本からたくさんの人が地雷除去にボランティアとして参加しているんです。それと日本も地雷を作っていました。それを中止させると言うことも重要なテーマでした。また世界地雷廃絶会議というのがあって、そのシンボルイメージとしても使いました」手塚「世界的にも使われたんですか?」秋山「世界的にというよりは日本の人たちがそのポスターを持っていくんです。そうするとみんなが自分がやっていることの象徴を欲しがって、それで広まったんです」
手塚「2001年には“What's justice?・何が正義か”というポスター。これは?」秋山「2001年はテロなどが起きました。それでボランティアセンターの友人が“これでいいのか?あなた立ち上がらないの?”って言われたんです。それで色々なコピーを何人かで議論して考えて、これにしたんです」手塚「これはキャンペーンということではないのですか?」秋山「ボランティアの人は現場が落ち着くといきますよね。その時にこれを持っていくんです。またインタビューを受けるときもそのポスターを後ろに貼って、言葉とイメージを一緒にして伝えるんです」手塚「細かいことを描かないので、分かりやすいですよね」秋山「いろんな枝葉を取ってシンプルにすることによって、本質が見えて来るんです。そうすると見る側も読みとりやすくなるんです。デザインするときに、あれも入れてくれ、これも入れてくれ、と言われます。でもこれはなしにしましょう、あれもなしにしましょう、これだけにしましょう、と決めていきます」 |
1月25日 秋山孝さん |
手塚「美術大学に入ろうと思ったのは?」秋山「高校1年生の時に最終決定をしました。でも子供の時は絵を描いて生活が出来るとは思っていなかったのですが、兄がデザイナーになったので僕も好きだからなろうかなと思って...兄弟の影響が大きいですね」手塚「秋山さんがいろいろある美術の中から、イラストを選んだ理由は?」秋山「絵描きは貧しく、人生を耐えて耐えて生きていくイメージがあったので(笑)日本画は大観のような渋くって、ご飯も食べないで絵を描くようなイメージが...日本画をやってる人に怒られるかな?(笑)で、兄の部屋に行ったときにビートルズのポスターが貼ってあったんです。他にもそういうポップなポスターが壁一面に貼ってあって、それが粋だなと思ったんです。また当時アニメーションも盛んだったので、こういう仕事をやってみたいと思ったんです」
手塚「秋山さんの今後の予定をお聞かせ下さい」秋山「簡単まちうけ工房というi-mode用の待ち受け画面を作りました」手塚「どのくらいの数があるのですか?」秋山「数は把握していないですね。30ぐらいだと思います。エコロジーや季節をテーマに作っています。あと大学ではイラストレーション学というのを教えています。ですからキャンパスの中で、学生のための展覧会の企画や、研究発表などをやっています」 |
手塚「イラストレターというと言葉とか説明がいらないじゃないですか。世界的にそういうお仕事をされていて良かった事というのは?」秋山「僕が一番思ったのは、言葉がそれほど堪能ではないんですが、その絵を通じて、世界中に友達が出来たと言うことです」
手塚「地球環境やエコロジーなど、感じていらっしゃることは?」秋山「そういうことを考えるのは一筋縄ではいかないなと思います。それは経済の問題もあるし、社会の欲望、戦争の問題等があるからです。ではその中で何をやらなければいかないかと言うと、僕は一つ一つの問題をみんなが知るということだと思います。知識を与える、得ることが重要だと思います。また国境を越えることを大事だと思います。国と国を越えてお互いを理解し合う。そのためにはフレンドシップというのが重要だと思います。それには所謂“裸の付き合い”をするということですね」
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伊藤瞭介さん |
寺薗淳也さん |