EarthDreamingロゴ 放送内容
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4月 立川談志
4月 毛利 衛
4月 藤井フミヤ
5月 安在尚人
5月 坂本徹也
5月 近藤 篤
6月 羽仁カンタ
6月 故・手塚治虫講演より
6月 上田壮一
7月 今井絵理子
7月 杉山清貴
8月 船越令子
8月 大野由紀恵
8月 小島あずさ
8月 大宮美智枝
9月 KONISHIKI
10月 西垣成雄
10月 疋田 智
10月 斎藤 誠
10月〜
11月
高樹沙耶
11月 上岡 裕
11月 渡邉英徳
11月 柴田政明
12月 大塚明夫
12月 安寿ミラ
12月 この1年を振り返って
1月 伊藤瞭介
1月 秋山 孝
2月 寺薗淳也
2月 藤子不二雄A
2月 つやまあきひこ
2月 丸田信之
3月 皆川孝徳
3月 大矢寛朗
3月 持丸和朗
4月13日 ゲスト:立川談志さん
立川談志1 4月7日は鉄腕アトムの誕生日。ということで手塚治虫や鉄腕アトムに関わりの深い方をお迎えしてお送りする「鉄腕アトム生誕記念スペシャル」と言うことで立川談志さんです。

 手塚「談志さんとはよく父のパーティでお会いしましたが、こうして二人だけでお会いするというのは初めてです。と言うわけでまず最初に父、手塚治虫と談志さんのお付き合いから伺いたいと思います」立川「私個人としては宝島を見て衝撃が走ったんですが、最初はオサムシと言っていて、後にオサムになった。それで先生にあったときに“本当はオサムシなんですよ”“便所の回りのキタネ〜虫?”“そうそうあれあれ”と言うような話をしました。私の尊敬の定義は価値観が同じで、相手のレベルまでこちらが達していないと。その空間を埋める行為が“尊敬”だと思っているんですよ。で先生を尊敬しているから、先生の言うことは素直に聞けますよね。でも先生のことだから高いところから私を見るようなことはしない。逆に先生の方が僕を尊敬しているんだよと感じさせてくれる優しさがありましたね。私にとってイヤなところが一つもない、大きさも見せない、威張らない。対談したときにもっと威張った方がいいよと、言ったぐらいだ」手塚「それは談志さんの前だからじゃないですか?」立川「えっ、知らないよ。威張ってる?」手塚「威張らないですね。厳しいことは言うけれど」

 立川「でね、なんでこういう人をライバルにするんだろうなと思うんですよ。手塚治虫がそんなことでガタガタ言っちゃダメだいって言う...ある時先生に石ノ森章太郎が“マンガは手塚治虫しか無いよ”って言ってたよと言ったら“そう言ってましたか!!”て言ったんです。意識してたんですね。意識する必要が全くないはずなのに。そう言うライバル視する優しさが...」手塚「優しさなんですか?」立川「俺は優しさだと思うんだけど、先生から見ると小心という言い方も出来るかもしれないですよね。それが負けず嫌いに繋がるかもしれないですけどね〜」

 立川「先日ある酒場であった学校の先生と義務教育の話なんかしてた時に、今義務教育で教えなきゃならないことは学業と意味において全部とは言わないが必要ない...ならね義務教育全部手塚治虫にしちゃえばいい」手塚「それはちょっと(笑)」立川「極端に言えば先生のマンガを見ることだと、そっちの方がよっぽどいいね。で全部を100とするとその内の2ぐらいは談志の落語を入れといて貰って...」手塚(笑)立川「この間先生の本をまた読み直してみてね、良いんだよねやっぱりね。すごいんだよな〜。どうにもなんないスよ。比べるもんじゃない。天才は手塚治虫一人...」


立川談志2 手塚「手塚のマンガを読んで、今の地球で言えるようなことはあれば...」立川「人間が自然に適さない生物として生まれてしまってそれを補うのが文明。それを押し進めてきた知性があるなら、それを止める知性もあるだろうそう言う人間が次の世代にでてくるだろうと、私は解釈した。それは先生無理でゴザンスと。すべてある物は好奇心であると私は解釈してるんです。だから好奇心がある限り知性では止められないと思う。先生がなんと言うか分からないけど...次の人類に期待しようと思ったら、次の人類は好奇心をあまり持たない人類と言うことになるかな」手塚「 人間が好奇心を持っているから科学も生まれたという...」立川「手塚マンガも好奇心があるから。だって及びもつかない好奇心を描くじゃないんですか。 まだ分かるのもありますよ、でも実感としてわかないと言うのがいっぱいある。ついてこられないと言うのがある。私の落語にもそういうのがある、 イリュージョンみたいな物を盛り込んだ...でも観客は興味を持って笑ってる。先生は説明出来ないことも科学に裏打ちされて読者を納得させられる。私は説明出来ない物をそのまま出してしまう。そこが違う所じゃないかな」手塚「それは手塚が読者を意識していると言うところではないでしょうかね。談志さんは読んで貰ってこそ、聞いて貰ってこそと言うのはないんですか?」立川「無いね」手塚「無いんですか」立川「俺が発光体だからね」手塚(笑)立川「少なくも私を見に来る観客なんだから確認するためにやってると言えますね。先生もそうじゃないかな」手塚「分かって貰いたくて描いてるわけではない。でも読者におもしろくないと言われるのが怖いんですね」立川「私だって笑わして帰すのいつでも出来るんだ。今日の客はそうじゃないだろうと、だから居眠りすりゃ帰れって言うことになって」手塚「怒っちゃって(笑)自分勝手な(笑)」

 手塚「今手塚が生きていたら何を言いたいですか?」立川「今みたいな話をするね。ことによったら私の言ったことの一つぐらいは認めてくれるような気がします。でもそれは先生が亡くなった後の空間を俺が生きているだけですから、もし生きていたら先生に巻き込まれてこんな話はしないかもしれない。“だから描いてるだろう”と言われてしまう」

 立川「あまり亡くなったとは思えないだよね。先生はノスタルジーではない、残した作品で現在を語っているんだよ。もし現在生きていたとしたら、もっとすごい物を描いてると思うけど、根底にある物は変わらないと思う。人類、地球という物を優しく感じ...愛するというのは手塚治虫のためにあるような言葉だな。“当時まだ描きたい物があったけど、精一杯描いて俺はもう死んでるじゃないか。死という犠牲を払ってるじゃないか。これ以上の愛がどこにある”と言われたら一言もないね」手塚「意味のある死...」立川「あるどころの騒ぎじゃない。愛とは手塚治虫の人生なり」


筑紫みずえさん 毛利衛さん

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