手塚「まずは寺薗さんのご紹介をかねて、宇宙航空研究開発機構についてご説明下さい」寺薗「昨年10月1日に発足した新しい組織なんです。宇宙開発事業団、宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所の3つの組織が合体して出来た組織で、略称として"JAXA(ジャクサ)"と言います。主に日本の宇宙開発ですとか、宇宙科学、航空技術の研究開発を行っている組織です。具体的にはロケットの打ち上げ、人工衛星の開発、宇宙科学...月や火星、もっと遠い星の探査、新しい旅客機の開発などです」手塚「寺薗さんはその中でどういったお仕事をされているのですか?」寺薗「広報部に所属しています。イベント等での講演をする仕事が多いのですが、元々...今もそうですが、月の研究をしています。日本の月探査の立ち上げですとか研究開発を行っています」
手塚「月探査に付いてお聞きしたいのですが、懐かしい所ではアポロ計画ですよね。それ以降あまり聞かなくなってしまいましたが、今現在どの様になっているんですか?」寺薗「1972年最後のアポロ17号が月に行ってから、世界的に月の探査が全く行われなくなってしまったんです。何故かと良く聞かれるのですが、想像するにその頃からスペースシャトルとか宇宙ステーションなど、もっと地球に近い所の宇宙開発に力を入れるようになったからだと思います。それがここに来てまた月探査を始めようと言う気運が高まってきました。1994年にアメリカが小さな“クレメンタイン”という月探査機を、その4年後の98年にまたアメリカの探査機“ルナ・プロスペクター”が打ち上げられました。それでアポロ計画から30年ほど経って、アポロの成果もいっぱいあったのでまた月に戻ろうという気運が世界の科学所の間に高まってきました」手塚「もう一度月に行ってみようと思う物なんですか?」寺薗「科学者にとって見ての月というのは、地球と月というのはペアだと言うことです。地球を知るためには月を知らないといけない。地球と月の生い立ちを両方知らないとストーリーとして組めないんです。あとは純粋に行ってみたいという好奇心で言えば、火星は遠いんです」 |